FDAが悪性黒色腫(メラノーマ)の治療にコビメチニブを承認

米国食品医薬品局(FDA) Oncology Approved Drug

米国食品医薬品局(FDA)は、2015年11月10日、 BRAF V600EまたはV600K変異を有する切除不能または転移性の悪性黒色腫(メラノーマ)患者の治療に対し、ベムラフェニブとの併用でコビメチニブ[cobimetinib](商品名:Cotellic、Genentech社)を承認した。コビメチニブは、BRAFが野生型の悪性黒色腫患者の治療には適応されない。

コビメチニブとベムラフェニブとの併用は、未治療のBRAF V600変異陽性、切除不能または転移性悪性の黒色腫患者495人を対象として行われた多施設共同、二重盲検、無作為化、実薬対照試験において無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の延長が示されたことに基づいて承認を受けた。BRAF V600変異陽性は、cobas 4800のBRAF V600検査で変異が検出された患者とされた。患者はすべてベムラフェニブ1日2回960 mgを経口投与され、これと併用でコビメチニブ60 mg(n=247)またはプラセボ(n=248)を28日サイクルの1~21日目に1日1回経口投与する群に無作為に割付け(1:1)された。 患者の年齢の中央値は55歳(範囲、23~88歳)であり、患者の58%が男性、93%が白人、5%では人種が報告されなかった。試験開始時において、患者の60%が病期M1c、72%がECOG performance status 0、45%が血清乳酸脱水素酵素(LDH)高値であり、10%に補助化学療法歴があり、脳転移治療歴がある患者は1%未満であった。

本試験では、PFSに統計学的に有意な延長が示された[HR:0.56(95% CI:0.45,0.70),p < 0.001]。PFS中央値は、コビメチニブとベムラフェニブ併用群およびベムラフェニブ単剤群でそれぞれ12.3カ月(95% CI:9.5, 13.4)および7.2カ月(95% CI:5.6, 7.5)であった。また、OSの中間報告にも統計学的に有意な延長が示された[HR:0.63(95% CI:0.47, 0.85);stratified log-rank p-value=0.0019]。OS中央値は、コビメチニブとベムラフェニブ併用群およびベムラフェニブ単剤群でそれぞれNR(未到達)(95% CI:20.7, NR)および17カ月(95% CI:15.0, NR)であった。確定奏効率は コビメチニブとベムラフェニブ併用群およびベムラフェニブ単剤群でそれぞれ70%(95% CI:64, 75)および50%(95% CI:44, 56)であった(p < 0.001)。

安全性データは、コビメチニブを1回以上投与した患者247人で評価された。よくみられた副作用は、下痢(60%)、光過敏性反応(46%)、悪心(41%)、発熱(28%)および嘔吐(24%)であった。よくみられた(5%以上)グレード3または4の副作用は、下痢(6%)であった。コビメチニブを投与した群でよくみられたグレード3または4の臨床検査値異常は、γ-グルタミルトランスフェラーゼ高値(21%)、クレアチンホスフォキナーゼ高値(14%)、低リン酸血症(12%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ高値(11%)、リンパ球減少症(10%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ高値(8%)、アルカリホスファターゼ高値(7%)、低ナトリウム血症(6%)および低カリウム血症(5%)であった。

コビメチニブ投与のリスクで重篤なものは、新たな原発悪性腫瘍、出血、心筋症、高度の皮膚反応、重篤な網膜症および網膜静脈閉塞、肝毒性、横紋筋融解症および高度の光過敏性反応であった。

コビメチニブの推奨用量および用法は、28日サイクルの1~21日目に1日1回60 mgの経口投与である。

この適応に対するコビメチニブの開発プログラムはFast Track(ファストトラック、優先承認審査)の指定を受け、本申請はPriority Review(優先審査)指定を受けた。これらの優先審査プログラムに関する内容は業界向けガイドライン「Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics(重篤疾患のための迅速審査プログラム-医薬品および生物学的製剤)」に掲載され、以下のウェブサイトで閲覧可能。

http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf.

処方情報の詳細は以下のウェブサイトで閲覧可能。

http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2015/206192s000lbl.pdf

医療従事者は、医薬品および医療機器使用との因果関係が疑われる重篤な有害事象をすべて、オンライン http://www.fda.gov/medwatch/report.htmの様式に記入してFAX送信(1-800-FDA-0178)、またはオンラインで提供される郵便料金支払い済アドレスに送付、または電話(1-800-FDA-1088)によりFDAの MedWatch報告システムに報告しなければならない。

翻訳担当者 石岡優子

監修 小宮武文(腫瘍内科/カンザス大学医療センター)

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