メラノーマ(黒色腫)薬T-VEC、FDA承認へ推奨

キャンサーコンサルタンツ

米国食品医薬品局(FDA)諮問委員会は、転移性メラノーマ(黒色腫)治療薬として、治験薬T-VEC(talimogene laherparepvec)の承認を推奨した。バイオ医薬品会社アムジェン社は承認手続きを進める計画をこのほど発表した[1]。

今回の承認推奨は第3相臨床試験の所見に基づいており、この臨床試験でT-VEC は進行性メラノーマ患者に持続的な奏効を示した。この結果は2013年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表されている[2]。

T-VECは免疫療法の一種であり、特別に設計したウイルスを用いてがん細胞を破壊する。T-VECは腫瘍に直接注入され、腫瘍内で作用したのち体内の他部位のがん細胞に対して免疫反応を引き起こすことを目的としている。

進行性メラノーマ治療用T-VECを評価するために、研究者らは患者400人以上が参加する第3相臨床試験を実施した。参加者のメラノーマ病期は、手術で摘出できないIIIB期、IIIC期、または、IV期であった。これらの患者に対して、T-VECまたはGM-CSFで最長18カ月間の治療を行った。

試験の主要評価項目は持続的奏効(がんの部分または完全消失が少なくとも6カ月間持続)であった。

・持続的奏効は、T-VEC群の患者で16%、GM-CSF群の患者で2%であった。T-VEC群のなかで、持続的奏効はIII期メラノーマ患者で最も高い割合でみられた。

・全奏効率はT-VEC群の患者で26%、CM-CSF群で6%であった。

・T-VECで最も高い頻度で生じた副作用は、疲労、悪寒、発熱であった。

以上の結果によりT-VECが進行性メラノーマに効果を示すことが実証されたので、これがT-VECのFDA承認に十分な根拠となるとの諮問委員会の意見である。

メラノーマは、他のタイプの皮膚がんよりも、体の他の部位に広がりやすい(転移しやすい)ので危険である。研究者らは、メラノーマ治療により効果的な新薬開発に継続して努めている。

参考文献:
[1] Amgen to Discuss Details of the Biologics License Application for Talimogene Laherparepvec For Patients With Metastatic Melanoma [news release]. Amgen website. Available at:https://www.amgen.com/media/media_pr_detail.jsp?year=2015&releaseID=2041430. Accessed April 30, 2015.
[2] Andtbacka RHI, Collichio FA, Amatruda T et al. OPTiM: A randomized phase III trial of talimogene laherparepvec (T-VEC) versus subcutaneous (SC) granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF) for the treatment (tx) of unresected stage IIIB/C and IV melanoma. Presented at the 49th Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology. May 31-June 4, 2013; Chicago, IL. Abstract LBA9008.


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翻訳担当者 大木勝弥

監修 関屋 昇(薬学)

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