抗CTLA-4抗体による治療後に進行したメラノーマ患者に対するニボルマブのランダム化第3相臨床試験結果

議題:メラノーマ/免疫腫瘍学

抗CTLA-4抗体およびBRAF変異陽性の場合はBRAF阻害剤による治療を行い、治療中または治療後に進行した転移を有するメラノーマ患者に対する、ニボルマブによる治療と、治験担当医師の選択による化学療法を比較すると、ニボルマブは忍容性が良好でより高い全奏効率を示した。ニボルマブに奏効した大多数の患者に持続的な腫瘍縮小がみとめられた。スペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2014)プレジデンシャル・シンポジウム2において、Lee Moffitt Cancer Center & Research Institute(米国フロリダ州タンパ)のJeffrey Weber医師が非盲検ランダム化第3相試験の結果を発表した。

抗CTLA-4抗体およびBRAF阻害剤による治療中または治療後に進行したメラノーマ患者に対する有効な治療が必要である。

ニボルマブは完全ヒト型IgG4モノクローナル抗体で、PD-1免疫チェックポイントであるタンパク質を抑制する。過去の試験においてニボルマブは単剤で、治療歴を有する進行したメラノーマ患者に対し、有意義な臨床活性と管理可能な程度の安全性プロファイルとともに、1年63%、2年48%、3年41%と有望な全生存率を示した。

今回の非盲検第3相試験では、抗CTLA-4抗体、およびBRAF V600変異陽性がみられる場合はBRAF阻害剤による治療を行い、治療中または治療後に進行したメラノーマ患者を無作為に2:1に割り付け、

・ニボルマブ3mg/kgを2週間毎に静脈内投与(治療患者268人)

または

・治験担当医師が選択した化学療法(ダカルバジン1000mg/m2を3週間毎、または、カルボプラチン曲線下面積[AUC]6+パクリタキセル175mg/m2併用を3週間毎)(治療患者102人)

を投与し、病勢進行あるいは許容できない毒性の発現まで治療を行った。ニボルマブ群の患者は、治験担当医師により臨床的な利益を得られていると判断された場合、初回の病勢進行の後に治療を継続することも可能であった。

患者の層別は、

・PD-1リガンドの発現状況(PD-L1陽性対PD-L1陰性または不確定:免疫組織化学的手法により、5%以上の腫瘍細胞膜の染色がみられた時にPD-1陽性状態とした)

・BRAF遺伝子の状態(BRAF野生型対BRAF V600変異型)、

・過去に受けた抗CTLA-4抗体による治療に対する最良総合効果(最良総合効果が完全奏効、部分奏効または安定状態であるものを臨床的な利益と定義)対臨床的な利益なし(病勢進行)

に基づいて行った。

除外基準は、脳転移を有する、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体または抗PD-L2抗体による前治療を受けたことがあり、毒性グレード4またはイピリムバブによる前治療で生じた有害事象によりインフリキシマブを使用した眼内メラノーマとした。

主要評価項目は独立画像評価委員会による客観的奏効率および全生存率を得ることであった。副次目的は、生存率分析時点においてニボルマブ治療と、治験担当医師の選択による化学療法(ICC)の、無増悪生存期間を比較すること、客観的奏効率と全生存率の効果予測バイオマーカーとして、PD-L1発現を評価することなどであった。しかし、客観的奏効率の中間解析時点で全生存率分析は行わなかった。

奏効率はランダム化から9週間後、および最初の12カ月間は6週間毎、その後は12週毎にRECIST 1.1規準に基づき評価した。

客観的奏効率は、ニボルマブで治療した患者120人とICCを受けた患者47人に対して最低6カ月の追跡期間を含めて予定どおり評価した。

ベースライン時の年齢、性別、転移ステージはどの群にも偏りはなかったが、脳転移の既往およびLDH値の上昇が、ニボルマブ群の患者に若干多くみられた。

治療期間の中央値は、ニボルマブ群で5.3カ月、ICC群で2カ月であった。治療中断の理由として最も多かったものは病勢の進行で、ニボルマブ群で43%、ICC群で61%であった。

客観的奏効率は独立放射線評価委員会により確認され、ニボルマブ群とICC群でそれぞれ32%と11%、奏効までの期間の中央値はそれぞれ2.1カ月(範囲:1.6カ月~7.4カ月)と、3.5カ月(2.1カ月~6.1カ月)であった。

ニボルマブ群では、患者36人(95%)が現在奏効中であるため、奏効期間中央値は未達である(範囲:1.4+カ月~10+カ月)。ICC群の奏効期間中央値は、3.6カ月(範囲:1.3+カ月~3.5カ月)で、患者4人(80%)が現在奏効中である。

ICCよりもニボルマブでより高い臨床活性が一貫してみられ、それは治療前のPD-L1発現状態、BRAF変異状態、および抗CTLA-4抗体で得られた効果に関連しなかった。

標的病変の腫瘍50%以上の縮小がみられたのは、ニボルマブに奏効した患者のうち82%(31人/38人)、およびICCで奏効した患者のうち60%(3人/5人)であった。ニボルマブによる治療を受けた患者のうち、患者10人(8%)に、免疫反応パターンがみとめられた(30%以上の標的病変の腫瘍の縮小)。

治療薬に関連するグレード3~4の有害事象がニボルマブ群で9%、ICC群で31%認められた。治療薬に関連する有害事象(全グレード)が原因で治療を中断したのは、ニボルマブ群で2%、ICC群で8%であった。ニボルマブ群で治療薬に関連して出現したグレード3~4の各有害事象で2%以上報告されたものはなかった。治療薬に関連し、特定の有害事象に分類されるグレード3~4の有害事象全例が回復した。最も多く用いられた免疫抑制剤はコルチコステロイドであった。

治験薬の毒性に関連する死亡はみられなかった。ニボルマブ群の患者1人には癌性リンパ管症と肺炎の疑いがあり、それに伴いグレード5の低酸素症、おそらく間質性肺炎がみられた。治療医師は、この患者の死因を「治験薬による毒性」ではなく「その他」に分類した。

結論

本試験の著者らは、抗CTLA-4、およびBRAF変異があればBRAF阻害剤による治療を行っても病勢が進行した進行メラノーマ患者において、ニボルマブ単剤治療は治療医師の選択による化学療法と比較して、優れた効果を示したと結論づけた。ニボルマブ治療に関連する有害事象の大多数は低グレードであり、推奨されている治療アルゴリズムにより管理可能な程度であった。主要評価項目のうち、全生存期間に関するデータは発表時点ではまだ得られていない。

Ignacio Melrero医師は試験結果について議論し、癌の免疫療法はもう非現実のものではないと述べた。Melero医師は、進行性メラノーマの治療にニボルマブが日本で、ペンブロリズマブが米国で承認されたことを強調した。さらに、化学療法がBRAF野生型の治療オプションではなくなる可能性もあるが、最良の結果はまだ得られておらず臨床試験が重要となると述べた。これは特に併用療法に当てはまることである。腫瘍生検によるバイオマーカー解析に関しては、抗原性、免疫原性、免疫エスケープ、T細胞浸潤なども考慮にいれるべきである。Melero医師によると、PD-L1は単一パラメータとしては十分ではない。傾向としては、複数のパラメータに基づくスコア(腫瘍PD-L1の状態を数値によってグレード分類する、など)を目指すことになるであろう。固形腫瘍の中で、変異が最も多くみられるのはメラノーマと非小細胞肺癌であり、他の腫瘍では低頻度である。この点でもメラノーマは新規治療という氷山の頂点にある。

翻訳担当者 平沢沙枝

監修 林 正樹 (血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院)

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