FDAが最も一般的な皮膚癌に新治療薬(Erivedge)を承認/FDAニュース
FOR IMMEDIATE RELEASE:2012年1月30日
Media Inquiries: Erica Jefferson, 301-796-4988
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA
FDAが最も一般的な皮膚癌に新治療薬(Erivedge [vismodegib] )を承認
米国食品医薬品局(FDA)は、本日、最も発症頻度の高い皮膚癌である基底細胞癌を有する成人患者に対して治療薬Erivedge(vismodegib)を承認した。本剤は、基底細胞癌が局所的に進行し手術や放射線治療の適用とならない患者、および癌が他の部位にまで転移した患者への適応となる。
Erivedgeは、FDAの優先審査制度による審査後に承認された初の転移性基底細胞癌治療薬である。この優先審査制度では、治療において高い効果が期待される薬剤を対象に6カ月間の迅速審査が実施される。本剤は、薬価収載日である2012年3月8日に先立って承認されたことになる。
基底細胞癌は、通常、徐々に増殖する無痛性の皮膚癌で、皮膚の最も外側の層(表皮)に生じ、皮膚が日光や他の紫外線に定期的にさらされた部分に発生する。
Erivedgeは1日1回経口投与される薬剤で、大部分の基底細胞癌、および毛包などごく少数の正常細胞で活性化するヘッジホッグ経路を阻害することで効果を発揮する。
「ヘッジホッグ経路などの癌に関与する分子経路について理解することで、特異的な疾患に対する標的治療薬開発への応用が可能になりました」と、FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長であるRichard Pazdur医師は述べた。「このアプローチはますます一般的になってきており、抗癌剤の開発はより迅速になっていくでしょう。このことは、潜在的に副作用がより少なく、より効果の高い治療法を利用できるようになるであろう患者にとっては大切なことなのです」。
Erivedgeの安全性と有効性は、局所的進行または転移がみられる96人の基底細胞癌患者を対象とした、1件の多施設共同臨床試験で評価された。本臨床試験の主要評価項目は客観的奏効割合(ORR)、つまり治療後に癌病変の完全かつ部分的退縮あるいは消失がみられた患者の割合とした。Erivedgeの投与を受けた転移性癌患者のうち30%に部分的奏効が認められ、局所的進行癌患者のうち43%の患者に完全または部分的奏効が認められた。
Erivedge治療を行った患者にみられた最も頻度の高い副作用は、筋痙攣、脱毛、体重減少、嘔気、下痢、疲労感、味覚異常、食欲低下、便秘、嘔吐、味覚消失であった。
Erivedgeは、患者および医療従業者に対して、胎児の死亡または出生時の重篤な影響の潜在的リスクを注意することを目的とした枠囲警告の記載を付けて承認となる。Erivedge治療開始前には、妊娠の有無について確認しなければならない。男性および女性患者に対し、これらのリスクおよび避妊の必要性について警告すべきである。
Erivedgeは、サウスサンフランシスコに拠点を置くロシュグループのGenentech社が販売している。
詳しい情報については以下を参照のこと:
FDA Voice Blog: Skin Deep: New Skin Cancer Therapies Offer Progress for Patients (皮膚について:皮膚癌に対する新治療薬の進歩)〔原文〕
FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)〔原文〕
FDA: Approved Drugs: Questions and Answers(承認薬:質問と回答)〔原文〕
******
佐々木亜衣子 訳
東 光久 (血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院・総合内科)監修
******
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
皮膚がんに関連する記事
MDアンダーソンによるASCO2023発表
2023年7月6日
テキサス大...
軟髄膜疾患のメラノーマに対する免疫療法薬の画期的投与法は安全で有効
2023年4月20日
髄腔内および静脈内への同時投与により一部の患者の転帰が改善
髄腔内(IT)の免疫療法(髄液に直接投与)と静脈内(IV)の免疫療法を行う革新的な方法は、安全であり、かつ、転移性黒色腫(メラノーマ)に起因する軟髄膜疾患(LMD)患者の生存率を上昇させることが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者による第1/1b相試験の中間解析によって認められた。
FDAが転移/再発局所進行メルケル細胞がんにretifanlimabを迅速承認
2023年4月2日
ステージ3のメラノーマにレラトリマブ+ニボルマブ術前免疫療法は安全かつ有効
2022年11月23日