【世界最大がん臨床研究学会ASCO2023】-治療の最適化/治療機会の改善/治療開発の新知見を発表

米国臨床腫瘍学会(ASCO)

2023年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で患者の治療に影響を与える最新のがん臨床研究について議論するため、世界中から腫瘍学の専門家がシカゴに集結する。患者への治療の最適化、がん治療を受ける機会の改善、新しい治療法の開発などのトピックが総会の公式プレスプログラムで重点的に取り上げられる予定である。

2023年ASCO年次総会は、6月2日から6日までシカゴで開催され、またオンラインでも開催される。今年のテーマは「Partnering With Patients:The Cornerstone of Cancer Care and Research患者とパートナーを組む:がん治療と研究の礎)」である。

5,500以上のアブストラクト(演題抄録)がASCO年次総会で発表または公開される。5月25日(木)午後5時(米国東部時間)にasco.org/abstractsで通常のアブストラクトが公開される。プレナリーアブストラクト(最もインパクトある発表演題)を含むレイト・ブレーキング・アブストラクト(LBA:当日発表演題)は、総会での発表当日の午前7時(米国中部時間)/午前8時(米国東部時間)に公開される。公開制限の全日程はオンラインで閲覧可能。

公開制限付き総会前プレスブリーフィング(バーチャルイベント)-5月22日(月)午後4時〜5時30分(米国東部時間)

5月25日の通常のアブストラクトの公開に先立ち、5月22日にメディア向けの公開制限付きバーチャルプレスブリーフィングを開催し、6つのアブストラクトに焦点を当てる。以下の研究は5月25日午後5時(米国東部時間)に公開制限が解除される。

 ・ 乳がん患者の侵襲性無病生存率に対する電話での減量介入の影響を評価したランダム化第3相試験(アブストラクト12001)
 ・ 消化管がん患者の死亡率における人種間格差に対するメディケイド拡大効果を検証した研究(アブストラクト6546)
 ・ 医療システム強化モデルを用いて、米国とメキシコの国境における持続可能な小児白血病治療を検証する研究(アブストラクト1502)
 ・ 切除可能な膵臓がん患者における低侵襲膵体尾部切除の安全性を評価するランダム化試験
(アブストラクト4163)
 ・ 低リスクの骨髄異形成症候群患者を対象としたラスパテルセプトとエポエチンアルファの有効性と安全性を比較した第3相試験(アブストラクト7003)
 ・ 治療抵抗性、再発性、転移性の子宮頸がん患者を対象に、ペムブロリズマブおよび化学療法とプラセボおよび化学療法を比較した第3相試験(アブストラクト5500)

公開制限付き総会前プレスリリース(バーチャルイベント)-5月31日(水)午前9時30分〜11時(米国東部時間)

6月2日と3日のレイト・ブレーキング・アブストラクト(LBA)の公開に先立ち、5月31日にメディア向けの公開制限付きバーチャルプレスブリーフィングを開催し、3つのアブストラクトに焦点を当てる。

 ・ 低リスクの早期子宮頸がん女性に対する広汎子宮摘出術と単純子宮摘出術を比較するランダム化第3相試験(アブストラクトLBA5511)
6月2日(金)午前7:00(米国中部時間)/午前8:00(米国東部時間)に公開制限を解除
 ・ HR+/HER2-早期乳がんの閉経前・閉経後患者を対象に術後療法としてリボシクリブと内分泌療法を検証する第3相試験(アブストラクトLBA500)
6月2日(金)午前7時(米国中部時間)/午前8時(米国東部時間)に公開制限を解除
 ・ 新たに進行卵巣がんと診断された患者を対象としたデュルバルマブ、パクリタキセル/カルボプラチン、ベバシズマブ併用療法後、維持療法としてデュルバルマブ、ベバシズマブ、オラパリブ併用療法を行うことを検証したランダム化第3相試験(アブストラクトLBA5506)
6月3日(土)午前7時(米国中部時間)/午前8時(米国東部時間)に公開制限を解除

年次総会中に公開予定の研究内容

年次総会期間中の6月3日(土)午後1時~2時(米国中部時間)、6月4日(日)午前8時~9時(米国中部時間)にプレスブリーフィングを開催する。現地でのプレスブリーフィングで紹介するレイト・ブレーキング・アブストラクト(LBA)は以下のとおり。

 ・ 局所進行直腸がんに対する直腸間膜全切除の前に実施する術前化学放射線療法と術前FOLFOX化学療法後を比較  したランダム化第3相試験(アブストラクトLBA2)
6月4日(日)午前7時(米国中部時間)/午前8時(米国東部時間)に公開制限を解除
 ・ EGFR変異非小細胞肺がん切除患者におけるオシメルチニブによる術後補助療法後の生存率を評価する第3相試験(アブストラクトLBA3)
6月4日(日)午前7時(米国中部時間)/午前8時(米国東部時間)に公開制限を解除
 ・ 残存または再発のグレード2の神経膠腫患者を対象にボラシデニブとプラセボを比較するランダム化第3相試験(アブストラクトLBA1)
6月4日(日)AM7:00(米国中部時間)/AM8:00(米国東部時間)に公開制限を解除
 ・ 進行古典的ホジキンリンパ腫患者を対象としたニボルマブとブレンツキシマブベドチンを比較する第3相試験(アブストラクトLBA4)
6月4日(日)午前7時(米国中部時間)/午前8時(米国東部時間)に公開制限を解除
 ・ 高葉酸受容体アルファ発現を有するプラチナ抵抗性進行卵巣がん、原発性腹膜がんまたは卵管がんを対象にミルベツキシマブソラブタンシンと医師の選択化学療法を比較評価する第3相試験(LBA5507試験)
6月4日(日)午前7時(米国中部時間)/午前8時(米国東部時間)に公開制限を解除
 ・ HER2発現固形がん患者に対するトラスツズマブデルクステカンの有効性と安全性を検証する試験(アブストラクトLBA3000)
6月5日(月)午前7時(米国中部時間)/午前8時(米国東部時間)に公開制限を解除
 ・ 原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫患者を対象として、経過観察と放射線治療とを比較する前向き試験(アブストラクトLBA7505)
6月6日(火)午前7時(米国中部時間)/午前8時(米国東部時間)に公開制限を解除

プレスブリーフィングはすべてASCOのMedia Headquarters(メディア本部)で録画し、資格を持つ報道記者に公開する。また、各日の注目アブストラクトやアブストラクトの正式な公開日を記したプレスブリーフィング詳細日程はオンラインで閲覧可能。

メディアリソース
メディア登録:年次総会のプレスブリーフィングへの参加や現地のシカゴでの総会に参加登録ご希望の方は、ASCOのMedia Headquarters(https://profile.asco.org/media/workflow)にアクセスのこと。順を追った登録方法がオンラインで閲覧できる。

5月22日の総会前プレスブリーフィングに参加する場合、5月17日(水)までにMedia Headquartersへの提出を完了すること。現地参加の場合は事前登録が必要で、5月17日までに登録を完了すること。

年次総会メディアリソースセンター:プレスリリース、プレスブリーフィングの日程、公開制限の方針、高解像度の写真、Virtual Press Room(第三者機関による企業や団体のプレス資料のオンライン収納庫)についてはasco.org/AMMRCにアクセスのこと。

キャンサーネット:がんの診断、統計、治療、サバイバーシップなど、がん専門医が認めた総合的な最新情報を掲載したASCOの一般向けウェブサイトを参照のこと。サイト内の情報は信頼できるリソースのため、正確で情報量が多く、幅広い読者に受け入れられる報道をするうえで役立つ。

  • 監訳 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
  • 翻訳担当者 松長愛美
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2023/05/09

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

 

がんに関連する記事

ストレス誘発性の免疫変化はがん転移を助長する可能性の画像

ストレス誘発性の免疫変化はがん転移を助長する可能性

過去数十年における研究から、お金の心配、仕事の問題、家族の緊張などの慢性的なストレスは、体内に化学変化を引き起こすことが証明されている。こうした変化は、血圧の上昇、炎症、特定のホルモン...
‘NCI-MATCH’ の次に来るものは?ー最新の精密医療がん臨床試験の画像

‘NCI-MATCH’ の次に来るものは?ー最新の精密医療がん臨床試験

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ8年以上前、NCIは、世界初の精密医療がん臨床試験であるNCI-MATCHに着手した。NCI-MATCHは、腫瘍に特定の遺伝子変異が存在する...
バーチャル マインドボディ・フィットネスが がん患者に予想外の効果の画像

バーチャル マインドボディ・フィットネスが がん患者に予想外の効果

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログがん治療中の人にとって、バーチャル・マインドボディ・フィットネス教室に参加することは、治療に伴う問題で入院するリスクが減るなど、重要な利点が...
FDAが遺伝性がんのリスクを評価する血液検査を承認の画像

FDAが遺伝性がんのリスクを評価する血液検査を承認

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ米国食品医薬品局(FDA)は、特定のがんの発症リスクを高める可能性のある遺伝的な遺伝子変異を検出する血液検査に対して、販売承認を与えた。FD...