画像検査の不安『スキャンザイエティー』とは何か?がんサバイバーの対処法

がんと診断された人たちが画像検査を受ける際、さまざまな感情を引き起こす場合があります。検査前、検査中、検査結果を待つ間にストレスや心配を感じることが共通して見られます。このような感情はScanxiety(スキャンザイエティ)と呼ばれています。

診断や治療の経過観察、再発有無の確認のために実施される検査であっても、多くのがん患者やがんサバイバーにとって、検査に伴う感情をコントロールすることは困難な場合があります。検査の受診や検査の結果を待つことは怖く、信じられないほど不安をかき立てられるため、さまざまな程度のスキャンザイエティが人の生活の質に影響を与えます。

検査を勧められたり、検査を予定に入れたりするとすぐに不安やストレスを感じる人もいます。食事や睡眠に支障をきたす場合や、不機嫌に見えたり検査で頭がいっぱいに見えたりする場合もあり、ただ冷静さを失うだけのこともあります。心拍数の増加、いら立ち、手のひらの汗、吐き気などは検査前によく見られる症状です。また、検査前に経験する症状は、たとえ些細なものであっても、がんの再発に対する恐怖をすぐに引き起こすこともありますし、検査そのものが苦手で、検査中に閉所恐怖症になったり、造影剤を飲んだり静脈に針を刺すことに敏感になったりする人もいます。

スキャンザイエティを感じる人が多くみられる主な理由は、その多くが過去に好ましくない検査結果を受けた経験があるためです。このような経験は記憶に残っており、その記憶により不安、恐怖、無力感が増幅することがあります。

残念ながら、画像検査はがん治療やサバイバーシップケアに欠かせないものであることが多いため、スキャンザイエティと、スキャンザイエティが自分や看護する相手に与える影響を受け止める方法を学び、その負担を軽減する方法を考えることが大事です。スキャンザイエティを経験している人ができる最も重要なことの一つは、スキャンザイエティが自分に及ぼす身体的影響を確認することだと筆者は考えます。自分の身体がスキャンザイエティにどのように反応するのかを知ることで、自分のストレス反応をよりよく理解することが可能となります。呼吸が速くなる、頭痛、筋肉痛などすべてストレスの症状であり、その関連性を理解することで、ストレスが起こった際にどのように制御するかについて洞察を得ることができます。スキャンザイエティの負担を軽減する方法としては、気持ちをそらす、瞑想、大切な人からのサポートなどがあります。

スキャンザイエティは正常な反応であると理解することを筆者は勧めています。辛いことを認め、思いやりを持って自分自身に接することです。がん専門の医師や看護師にもスキャンザイエティがあることを知っておくと良いでしょう。筆者が緊張するのは、患者のために研究結果を確認するとき、治療がうまくいっているか、再発の証拠がないかを確認したいと思うときですが、ストレスや影響を最も重く受けるのは患者とその愛する人たちであることを理解しています。

また、テスト結果を得るための計画を立てておくことも有効です。いつ、どのようにして結果を受け取るか計画を立てることです。電子カルテにより検査結果を電子医療ポータルに自動的に掲載することが可能であり、場合により医療チームが結果を確認する前に結果が掲載されることもあります。背景も知らず、質問をしたり次のステップの計画を立てたりする能力がないまま掲載された結果を見た時には心配や不安が増す場合があります。

結果がいつ出るのか、誰が結果を伝えるのか、電話、診察時、患者ポータルなどどのような方法で結果が伝えられるのかをケアチームに尋ねましょう。そうすれば、いつ結果が出るのかを何日も悩んだり心配したりすることがなくなります。このような知識は力を与え、結果を待っている間の不安に対処することができます。

翻訳担当者 松長愛美

監修 太田真弓(精神科・児童精神科/クリニックおおた 院長)

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