OncoLog 2015年5月号◆House Call「医師とのコミュニケーションに関するヒント」
MDアンダーソン OncoLog 2015年5月号(Volume 60 / Number 5)
Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL
House Call:医師とのコミュニケーションに関するヒント
定期的な健康診断であれ、深刻な病気の治療時であれ、最善の診療を受けるには効果的なコミュニケーションが不可欠です。診療時間がますます短くなり、落ち着いて受診できないと感じることが増えている今日、限られた時間内に最善の医療を受けるには、自由かつ明確にコミュニケーションを図ることが重要です。その一方で、患者は医師との会話に不安を覚えたり、尋ねるべきことや尋ねる方法がわからなかったりすることが多いのも事実です。ここでは、受診の際に医師と効果的にコミュニケーションをとる方法についていくつかのヒントを紹介しましょう。
準備して受診する
適切な診断や診療を受けられるかどうかは、それまでの症状などに関して医師に伝える情報の質に左右される場合があります。
まず、普段とは違う身体の変化や反応のような症状をメモに残しましょう。あらゆる症状について、いつ始まったか、持続時間、強度の変化などを具体的に記録します。服用中の処方薬や市販薬のリストは常に新しく書き換えます。このとき、ハーブ、ビタミン剤、ホメオパシー療法など、補完的または代替的な薬やサプリメントを服用していれば必ず知らせましょう。これらは、症状の一因となっていたり、処方薬を阻害する場合もあるためです。
また、自分の病歴(過去の症状や診断の内容、大きな手術歴、現在の状態)を記録し、家族の病歴全般(高血圧、がん、または糖尿病などの疾患が多い家系であることなど)を書き出しましょう。以上のリストを用意し、受診の際に医師に伝えます。初診の場合はこれが特に重要です。
積極的に参加する
受動的な患者でいるのではなく、医療チームの一員として自身の治療に積極的に参加する必要があります。また、自分の健康上の懸念や病気について学ぶこともよいでしょう。自分の健康に関して、情報に基づいた意思決定を行うために必要なすべての情報を収集してください。
質問する
積極的に参加し、準備を整えるためには、質問や懸念を書き出しておきましょう。そして、重要度の順に一覧にしたりマークを付けたりしておきましょう。聞き忘れることがないよう、受診の際にはそのリストを参照します。用意した質問やその場で疑問に感じたことはためらわずに尋ねましょう。患者が自身の状態とそれに対する治療を理解することを医師らも望んでいます。
説明を求める
治療方針や手技について少しでも理解できないことがあれば、納得いくまで説明してもらいましょう。医師が専門用語をあまり使わずに説明すれば解決する場合もあります。重要なことは、患者が満足のいく治療をきちんと理解することです。
医師の説明を自分の言葉で反復して理解しているかを確かめる。こうすることで、理解できている点を確認し、まだ理解が十分でない点について説明を受けることができます。
コミュニケーション上のその他のニーズを伝える
ニーズに合わせて医師がコミュニケーション方法を調整することができるよう、視覚や聴覚に関してサポートが必要な場合は、医師にその旨を伝えましょう。例えば、あなたに話すときに医師が特定の方向を向く必要がある場合や、大きめの文字または別の言語で印刷された情報用資料の提供が必要な場合などもあります。
同行者を伴う
診察に家族や友人に同行してもらうとよいでしょう。同行者は、代わりにメモを取ったり、一緒に話を聞いたり、あなたが忘れそうな情報を記憶したり、介助したりすることができます。
自分の診療チームを知る
自分の診療チームや主治医のスタッフのことをよく知っておきましょう。看護師や医師のアシスタントは、豊富な知識を備えた、あなたの診療チームの重要なメンバーであり、診療に関する基本的な情報やガイダンスを提供することができます。なにか尋ねたいことがあるときに主治医以外で答えてくれるスタッフは誰か、診療チームのメンバーに電話やメールで連絡する方法などについて尋ねておきましょう。
医師と患者の関係の構築は段階的なプロセスであるが、重要なプロセスである。正確な情報を提供し、医師の指示やアドバイスを的確に理解することは、最善の医療を受けるための一助となります。自分の診療チームを知り、同行者を伴い、周到な準備をし、不明な点を尋ねるなどのすべてが、診療チームとの時間を最大限に活用することに役立つでしょう。
– U. Arizor
詳細については、かかりつけ医にご相談ください。またはMDアンダーソンのiCareサイト、www.nih.gov/clearcommunication/talktoyourdoctor.htm、www.patient-pilot.comを参照してください。
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
がん医療に関連する記事
早期承認薬、5年後の確認試験で臨床効果を示したのは半数未満
2024年4月19日
抗がん剤不足の危機的状況をASCO副会長が議会で証言
2024年2月27日
米国がん免疫療法学会 2023(皮膚、大腸、肺がん他):MDA研究ハイライト
2023年11月30日
アブストラクト:153...
MDアンダーソン研究ハイライト:ASTRO2023特集
2023年11月6日