FDAがリスク軽減計画を必須としてオピオイド鎮痛剤Onsolisを承認
FOR IMMEDIATE RELEASE:2009年7月16日
Media Inquiries: Karen Riley, 301-796-4674; karen.riley@fda.hhs.gov
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA
FDAがリスク軽減計画を必須としてオピオイド鎮痛剤Onsolisを承認
米国食品医薬品局(FDA)は本日(7月16日)、一部の癌患者における突出痛(定時の鎮痛剤では効果のない突然の重度な疼痛)を管理するための薬剤としてOnsolisを承認した。Onsolisは、口腔内粘膜を介して強力なオピオイド・フェンタニルを送達させる薬剤であり、吸収性フィルムを頬内側に貼り付けることでフェンタニルを送達させる。本剤は、癌患者における突出痛の管理に適応され、その対象は、18歳以上であり、オピオイド鎮痛剤を1日中使用しており、高用量のオピオイド製剤の追加投与が必要で、安全に使用できる患者である。このような患者は、オピオイド製剤を継続的に使用しているためにオピオイドに対する忍容性があると考えられる。
フェンタニルは乱用や誤用の可能性があるため、Onsolisは「リスク評価・軽減方策(Risk Evaluation and Mitigation Strategy:REMS)」とともに承認された。これは、医薬品や生物学的製剤に伴うリスクを管理する上で必要な計画書である。
FDAの医薬品評価研究センター(CDER)麻酔、鎮痛およびリウマチ製剤部門(Division of Anesthesia, Analgesia and Rheumatology Products)長を勤めるBob Rappaport医師は、「Onsolisにより、オピオイドに対する忍容性のある患者は強力な疼痛緩和を得られるであろう。しかし、オピオイドに対する忍容性のない患者の場合、過量投与、突然の重篤な呼吸困難や死亡に至る可能性がある。このため、FDAが必須とするREMSに記載された安全対策のもと、Onsolisおよび強力なオピオイド製剤の使用を熟知した医療従事者のみが、Onsolisを処方するべきである」と述べている。
2007年FDA改正法により、医薬品や生物学的製剤のベネフィットがそのリスクを上回るようにするため、医薬品や生物学的製剤にREMSを付随させることを要請する権限がFDAに与えられた。
REMSの一部として、OnsolisはFOCUSプログラムとよばれる配給制限プログラムを介してのみ入手可能となる。このプログラムのもと、プログラムに登録された医師、患者および薬局のみが、Onsolisを処方、調剤および購入できる。FOCUSプログラムでは、医師や薬剤師にトレーニングを行い、教育的資料を提供している。また、薬剤の発行前に患者にカウンセリングの電話をかけ、本剤の適切な服用方法について十分に指導されていることを確認する。処方箋発行は、患者の自宅に本剤を直接に配達する登録薬局によってのみ行われる。
Onsolisは枠入りの警告をつけて承認された。同警告には、偏頭痛、歯痛や術後疼痛の管理、間欠的にオピオイドを使用する患者、必要なときのみ服用する場合には、本剤を使用しないよう記載されている。また、子供の手の届かない所に本剤を保管し、他のフェンタニル製剤の代わりには使用しないよう警告している。
FDAは2月、異なる種類の長時間作用型・徐放性オピオイド製剤についてREMSを要請すると発表した。FDAは利害関係者とともに大規模な公聴会などの一連の会議を開催し、このREMSの発展方法についてさらに考えるため、一般からの意見書を応募した。
CDER副所長のDouglas Throckmorton医師は、「Onsolisに対するREMSは、同剤に対して特別に作成されたものであり、長時間作用型・徐放性オピオイド製剤に対するREMSのモデルとは考えるべきではない。これらの他の製剤に対する包括的なREMSを作成することは複雑な作業である。一般からの意見書をすべて審議するために必要な時間を十分かけ、患者が薬剤を入手することと患者を守ることという双方の目的に向けて慎重に進むこととなる」と述べている。
Onsolisは、Aveva Drug Delivery Systems社(フロリダ州ミラマー)が製造し、BioDelivery Sciences International社(ノースカロライナ洲ローリー)のライセンスのもと、Meda Pharmaceuticals社(ニュージャージー州サマセット)が販売している。
詳細は下記を参照のこと。
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm172039.htm
******
******
齊藤芳子 訳
林正樹(敬愛会中頭病院) 監修
******
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
FDAニュースに関連する記事
米FDAが治療歴のある切除不能/転移性HER2陽性胆道がんにザニダタマブを迅速承認
2024年12月10日
米FDAが胃または胃食道接合部(GEJ)腺がんにゾルベシキマブと化学療法の併用を承認
2024年12月8日
米FDAが、KMT2A転座を有する再発/難治性の急性白血病にレブメニブを承認
2024年12月2日
米FDAが新たに診断された慢性骨髄性白血病(CML)にアシミニブを迅速承認
2024年11月26日