ロミプロスチムのFDA承認

商標名:Nplate™

・慢性免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病患者での血小板減少症の治療に承認(2008/08/22)

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2008年8月22日、米国食品医薬品局(FDA)はロミプロスチム皮下注射(Nplate™、製造販売業者:Amgen Inc.社)を、ステロイド剤、免疫グロブリン製剤、又は脾臓摘出術に十分な反応を示さない慢性免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病(ITP)患者における血小板減少症の治療に対して承認しました。本剤はトロンボポエチン(TPO)受容体作動薬で、骨髄巨核球を刺激し血小板を産生する薬剤です。

本剤の有効性及び安全性について、前治療を最低1回終了し、ベースライン時の血小板数が30,000/mcL以下の慢性ITP成人患者125人を対象とした二重盲検プラセボ対照試験2試験で評価した。これら2試験のうち1試験では脾臓摘出術を受けた患者を、またもう片方の1試験では脾臓摘出術を受けていない患者を組入れました。

患者を本剤又はプラセボ(2:1の割合で)無作為に割り付けた。本剤は投与経路を皮下投与とし、初回投与の週は1mcg/kg、その後血小板数が50,000/mcL~200,000/mcLに到達・維持する用量まで漸増しました。

「持続性のある血小板数増加」を、24週間の投与期間中では救済薬を使用せずに、投与期間の最後8週間のうち各週の血小板数が50,000/mcL以上が6回以上得られた場合と定義し、これを両試験の主要評価項目としました。

本剤投与の結果、非脾摘患者は61%が、また脾摘患者では38%が持続性のある血小板数反応を達成しました。持続性のある血小板数増加の達成例はプラセボ群では1人のみで、この患者は非脾摘患者であった(各試験の治療差:p<0.01)。2試験の解析結果を集計し、報告された重篤な出血はプラセボ群では10%、実薬群では6%でした。

プラセボ対照試験終了後、被験者100人を本剤の長期投与試験(延長試験)に組入れました。本試験の観察期間中(本剤投与期間中央値60週、最大96週)、大半の被験者が血小板数を50,000/mcL以上で維持しました。

全体として、慢性ITP患者271人に本剤を投与しました。確認された主な安全性問題としては、骨髄の細網線維の形成、及び本剤の投与中断による血小板減少症の(ベースライン時に対する)悪化のリスクが挙げられました。その他ITP患者で可能性のあるリスクには、長期投与による骨髄線維症、又は過剰な血小板増多による血栓症などがあります。

骨髄異形成症候群(MDS)を対象に本剤の有効性について調査した単群試験では、被験者44人中11人で病状進行の可能性があると報告され、このうち被験者4人が急性骨髄性白血病を発症していました。これらの被験者で本剤のリスク及び有用性を確認するためにランダム化対照試験が必要です。

慢性ITP患者を対象とした対照試験では、血液悪性疾患の発現率は低く、本剤及びプラセボ間で同等でした。本剤はMDS又は慢性ITP以外が病因である血小板減少症には適用となりません。

慢性ITP患者を対象とした比較試験で、最も多く報告された副作用は頭痛であった(実薬群では35%、プラセボ群では32%)。プラセボ群と比較し実薬群でより多く認められた主な副作用としては、関節痛、浮動性めまい、不眠、筋痛、肩痛、腹痛及び四肢の疼痛でした。副作用の重篤度は殆どが軽度から中等度でした。本剤に対する中和抗体の生成が被験者1人で認められたが、いずれの被験者でもTPOに対する中和抗体の生成は認められませんでした。

本剤の初回推奨用量は、皮下注射として週1回1 mcg/kgです。本剤は、必ず医療従事者が毎週投与すること。本剤の投与量は、出血のリスク軽減の必要に応じて血小板数≥50,000/mcLを達成するよう調節すること。また、本剤を血小板数の正常化を目的として使用しないこと。さらに、Nplate™ NEXUS(Network of Experts Understanding and Supporting Nplate and Patients Program:Nplateと患者を理解及び支援する専門家ネットワーク)に登録している医療従事者のみが本剤を処方できます。

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

翻訳担当者 菅原宣志

監修 東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院)

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