Vorinostat(Zolinza)は再発性の神経膠芽腫(グリオーマ)に抗癌作用を示す/メイヨークリニック | 海外がん医療情報リファレンス

Vorinostat(Zolinza)は再発性の神経膠芽腫(グリオーマ)に抗癌作用を示す/メイヨークリニック

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

Vorinostat(Zolinza)は再発性の神経膠芽腫(グリオーマ)に抗癌作用を示す/メイヨークリニック

原文
Vorinostat(Zolinza)は再発性の神経膠芽腫(グリオーマ)に抗癌作用を示す
メイヨークリニック*
2007年6月3日

シカゴ-ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニックに本拠を置くNorth Central Cancer Treatment Group(NCCTG)の研究者らは、医薬品Vorinostatの新規の応用は再発した多形性神経膠芽腫(GBM)患者に活性を示すと報告している。今回の試験結果は、メイヨークリニックの癌専門医で試験の中心となった試験責任医師のEva Galanis医師により、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で本日発表された。

[pagebreak]


GBMは致死的な原発性脳腫瘍である。GBM患者の平均生存期間は12~16カ月である。この種の腫瘍は、脳の他の部位に急速に拡がる(転移する)ため、治療が困難で再発することが多い。腫瘍が再発した場合、治療の選択肢は限られており、患者の生存期間は平均3~4カ月である。

「従来の治療介入が再発したGBM患者の転帰に及ぼす影響はわずかである」とGalanis医師は述べる。「われわれは、手術、放射線療法および化学療法後に再発したGBM患者の治療にVorinostatを用いた際に、患者の15%で治療開始後6カ月以上腫瘍が再発しないことを認めた。これまでのNCCTG試験に登録された同様の対象患者の生存期間中央値は4~4.4カ月であったが,今回の試験に登録された患者の生存期間中央値は5.7カ月であった。」

脳腫瘍を標的するVorinostatの応用は今回の試験が初めてであった。Vorinostatは、2つ以上の全身療法で効果のなかった患者の皮膚T細胞性リンパ腫の治療薬として米国食品医薬局(FDA)の承認を受けている。([siteurl=modules/fda_files/index.php?page=article&storyid=61]注*FDAニュース[/siteurl])

今回の試験のもう一つの患者グループには、手術前にVorinostatによる治療が行われ、患者の切除腫瘍の遺伝子およびタンパク分析が実施された。この分析では、ヒストンアセチル化の増加が確認され、またVorinostatが膠芽腫の腫瘍に達して標的となる経路を妨げることを示唆する遺伝子変化が示された。Galanis医師は、研究者らはこの分析をすべての対象患者に展開する計画である、と述べている。これは、治療の恩恵を受ける可能性がより高い患者集団を明確に特定するのに役立ち、将来、治療の個別化を可能にすることになろう。

Vorinostatは、細胞中のDNAと密接に関連する酵素であるヒストン脱アセチル化酵素を阻害する経口抗癌剤としてFDAが承認した最初の薬剤である。DNA構造の構築を助けるタンパク質であるヒストンの脱アセチル化を阻害することにより、Vorinostatは、腫瘍細胞死をもたらす複数の重要な遺伝子およびタンパクの発現を変化させ、腫瘍の増殖を抑制する。

Galanis医師は、試験結果はVorinostatそれ自体が多形性GBMに抗癌活性を示すことを示唆している、と述べる。脳腫瘍患者の今後の臨床試験においてVorinostatと他の薬剤との併用について,計画を進めている。

今回のNCCTG試験は米国国立癌研究所(NCI)の支援の下に実施されたものであり、NCIはMerck & Co., Inc.社(ニュージャージー州Whitehouse Station)の協力を得て今回の試験で使用するVorinostat(Zolinza(TM))をメイヨーの癌専門医とNCCTGの研究者らへ提供した。

今回の試験に貢献したメイヨーのそのほかの試験責任医師は、以下の通りである。
Kurt Jaeckle, M.D.; Jan Buckner, M.D.; Matthew Maurer; Caterina Giannini, M.D.; Matthew Ames, Ph.D.; and Joel Reid, Ph.D.

NCCTGは、癌治療の進歩に向けてメイヨー・クリニックと共に臨床試験を実施している米国、カナダおよびメキシコにある400以上の地域密着型の癌治療クリニックのネットワークである。
本プロジェクトの共著者は以下の通りである。
first author Claudia Miller, Kechen Ban, Ph.D., and Melanie Dujka from the Department of Pediatrics Research; David McConkey, Ph.D., from the Department of Cancer Biology; Mark Munsell from the Division of Quantitative Sciences, all at M. D. Anderson Cancer Center; and Michael Palladino, Ph.D., from Nereus Pharmaceuticals.

******

豊 訳
瀬戸山 修(薬学)監修

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  3. 3BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  4. 4コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  5. 5若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  6. 6リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  7. 7乳がん検診におけるマンモグラフィの検査法を比較する新...
  8. 8治療が終了した後に-認知機能の変化
  9. 9アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  10. 10免疫療法薬の併用はタイミングと順序が重要

お勧め出版物

一覧

arrow_upward