2009/12/01号◆特別号:癌研究における人材育成「ディレクター最新報告:癌に対する勝利は意欲的かつよく訓練された人材の育成が鍵」 | 海外がん医療情報リファレンス

2009/12/01号◆特別号:癌研究における人材育成「ディレクター最新報告:癌に対する勝利は意欲的かつよく訓練された人材の育成が鍵」

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2009/12/01号◆特別号:癌研究における人材育成「ディレクター最新報告:癌に対する勝利は意欲的かつよく訓練された人材の育成が鍵」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2009年12月01日号(Volume 6 / Number 23)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

PDFはこちらからpicture_as_pdf ____________________

ディレクター最新報告

癌に対する勝利は意欲的かつよく訓練された人材の育成が鍵

米臨床腫瘍学会(ASCO)による2007年の調査で、癌専門医の必要性は、2020年頃には48%増加するとみられている。この深刻な状況の主要因は人口の老齢化によるものである。しかしながら、同調査では、増加する癌患者に対応すべき癌専門医の数は、その頃までに14%しか増加しないと指摘されていた。

このような統計は厳しいものかもしれないが、アメリカ中の大学病院を訪ねる度にその輪郭がより鮮明に見えてくる。科学的発見の場として際立ったこれら大学病院でさえも、数年後の臨床診療についての懸念に加え、癌研究の分野に新しい人材を引き込む必要性に常に迫られているのである。

われわれの研究所で働く博士課程や博士課程修了後(ポスドク)の優れた若い学生が将来を考えたとき、それが学術の世界であれ民間機関であれ、准教授としての仕事の機会が得られるかどうかも確信が持てないでいる。さらに大きな懸念は、国が積極的に十分な助成金を適切に交付し、輝かしいキャリアのための機会を支援してくれるという確証が微塵も得られないことである。学術界で研究してきた者として、また腫瘍外科医として長年、多くの優れた生徒と仕事をしてきた中で、人材育成こそが、私個人のレベルでも常に最優先の問題であり、癌研究の将来を考えるとき、非常に案じている問題でもある。

基礎研究、臨床研究やトランスレーショナル研究、治療、そして癌治療後ケアにわたり、癌に勝利できるかどうかは、意欲的でよく訓練された人材にかかっている。しかも、この人材は広範かつ患者ごとに異なるニーズに応じることができなければならない。こうしたニーズとは、2008年度米国医学研究会(Institute of Medicine)報告によるところの「広範な治療の選択肢、各患者の治療に関わる医療専門家の数、急性治療終了後に必要とされる経過観察、心理・社会的な影響、家族および介護者の重要な役割、数多くの臨床試験ならびに実験的治療」である。

複雑な問題に対して、癌の研究と癌治療には、きめ細かく、またある意味では問題ごとに異なる解決策が要求されていることを考えると、米国国立癌研究所(NCI)がどれほど熱心に人材育成の問題に継続的に取り組み続けているかを報告することを大変誇らしく思う。

この号でご覧になるとおり、NCIの活動は多方面にわたっている。それは、研究者主導型補助金を提供して異なる都市や国からの研究チームを召集することから、学内補助金の提供によりNCI 内部における研究チームの推進を図るに至るまでを網羅している。また、Integrative Cancer Biology Program(統合癌生物学プログラム)やPhysical Sciences in Oncology Initiative(腫瘍学イニシアチブにおける物理科学)といった画期的な取り組みを通じてさらに前進している。

重要なのは、NCIの従来の助成金体系は、新しく若い研究者を強力に支援し続けているということである。例えば、2009年度には米国再生・再投資法案(ARRA: American Recovery and Reinvestment Act) により拠出された適正な補助金を使い、NCIのR01 プログラム(Independent Research Project Grants)では209人の新しい研究者を登録した。その他にも多くの人材育成やキャリア開発を支援する機構があり、癌における基礎生物医学および挙動研究(臨床および患者指向の研究、癌予防、管理、癌の挙動、人口学)において用いられている。また他にも期待されるプログラムとしてハワード・テミン賞があり、指導者の下での研究環境から独自の研究ができる環境に移る橋渡しをしてくれる。

近年の厳しい予算の中にあっても、NCIは一貫して、人材育成にしっかりと関与していく責務を果たすべく、NCI内外の助成プログラムへの支援を行ってきた。加えて、ARRAから受けた資金をNCI で使うにあたり人材育成が最優先事項であり、とりわけ准教授クラスが学内でのポジションを上げられるよう支援することに取り組んでいる。ARRAから受けた助成金は7600万ドル以上が、研究大学(研究施設としての大学)である大学の新規研究に利用され、2000万ドルが癌研究チームの多様性を構築する費用として使われている。また1400万ドル以上が、癌研究の研修や、人材開発、教育、そして生物医学および癌の行動研究への再登録に利用されている。

私たちは、次世代の研究者に対してのみならず、既に立場を確立している研究者らの養成にも関与していかねばならない。彼らは、科学の場に急速に新しい展望をもたらしている最新の技術や技法に遅れないよう奮闘しているのである。これからは、患者は遺伝学的に分類され、個々の患者あるいは個々の癌の独自の特性に基づいて治療が行われるようになり、癌研究に携わる人々の目標は、この新しい時代を迎えて変わることであろう。

このNCIキャンサーブレティン特別号が、NCIや他の主要な機関からの数多くの助成を得る手掛かりとして役立つことを願っている。

—Dr. John E. Niederhuber
米国国立癌研究所所長

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岡田 章代 訳

林 正樹(血液・腫瘍内科医/敬愛会中頭病院)監修

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