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ASH2022:AMLの新規3剤併用療法、olverembatinib、c-Myc/GSPT1分解剤ほか

血液腫瘍の治療の進歩に焦点を当てた主要な発表

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、MDアンダーソンの専門家による基礎、トランスレーショナル、臨床のがん研究を紹介している。本特集では、2022年米国血液学会(ASH)年次総会におけるMDアンダーソンの研究者による、白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、その他の血液腫瘍の患者の転帰を改善するための革新的標的治療、新しい併用療法そして新規標的に関する発表を紹介する。

以下の研究に加え、近日発表予定のプレスリリースでは、急性白血病患者の治療の進歩に関する画期的な臨床研究(抄録番号 61、213、709)および特定の遺伝子変化を原因とする急性白血病患者に対する新規メニン標的治療(抄録番号 63)が紹介される。MDアンダーソンが発表したASH年次総会の内容に関する完全な情報は、MDAnderson.org/ASHに掲載されている。

新規トリプレット療法は、管理可能な安全性と抗白血病活性を示す(抄録番号62

高齢/不適応または再発/難治性(R/R)の急性骨髄性白血病(AML)患者におけるアザシチジン(AZA)(販売名:ビダーザ)およびベネトクラクス(VEN)(販売名:ベネクレクスタ)による近年の治療改善にもかかわらず、これらの患者の長期生存率は依然として低い。CD123抗原はほとんどのAML芽細胞および白血病幹細胞に発現しているが、正常な造血幹細胞での発現レベルは低い。Naval Daver医師が主導する国際共同第1b/2相試験では、CD123陽性のR/R患者ならびに高齢/不適応患者を対象に、AZA、VENおよび新規インドリノベンゾジアゼピン偽二量体(IGN)ペイロードを有するCD123高親和抗体-薬剤結合(ADC)であるpivekimab sunirineの併用療法を評価した。予備データでは、この併用療法が治療が困難な複数の患者群に対して、管理可能な安全性と有望な抗白血病活性を有していることが示唆されている。現在、R/R患者および新規診断患者を対象としたフロントライン治療の拡大が進行中である。Daver医師は12月10日にこの結果を発表する予定である。

Olverembatinibはポナチニブ抵抗性の CML および Ph+ ALL 患者に有望性を示す(抄録番号 82

Olverembatinibは、遺伝子型に関係なく、慢性骨髄性白血病(CML)およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)に対して活性を示す、新規第3世代BCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である。Elias Jabbour医師が主導したこの第1b相試験では、TKIであるポナチニブによる治療に反応せず、少なくとも2回のTKI治療歴をもつ、全病期のCMLおよびPh+ ALL患者を対象にOlverembatinibの評価が行われた。Olverembatinibは、ポナチニブまたはアシミニブ(いずれも TKI)に耐性を示す CML患者や、利用可能なすべてのTKI への耐性と関連するT315I 変異を有する患者を含む、TKI不応性の CML および Ph+ ALL 患者において強力な抗白血病作用を示し、忍容性も良好であった。この解析は、Olverembatinibが、CMLおよび Ph+ ALL患者、特に既存治療への耐性により代替療法を必要とする患者にとって有効な治療選択肢となる可能性があることを示唆している。Jabbour医師は12月10日にこの結果を発表する。

CLL のフロントライン治療としてのイブルチニブとベネトクラクスの長期経過観察の肯定的な評価(抄録番号 95

イブルチニブ(販売名:イムブルビカ)とベネトクラクスの併用療法は、慢性リンパ性白血病(CLL)患者にとって有効な選択肢である。第 2相試験の結果、この併用療法は、治療歴のない高リスクの高齢患者80人において、12サイクルの治療後に88%の完全寛解率を達成することが実証された。今回、Nitin Jain医師らは、この試験の120人の患者の中央値4年の追跡調査後の最新データを提供した。その結果、4年無増悪生存率は94.5%、全生存率は96.6%であった。治療2年目および3年目に骨髄陽性の微小残存病変(MRD)を有する患者において併用療法を継続したところ、一部の患者でMRDが検出されなくなった。Jain医師は12月10日にこの研究結果を発表する。

新規c-Myc/GSPT1分解剤はAMLにおいて TP53非依存性の細胞死を引き起こす(抄録番号:199

c-Myc遺伝子は、バーキット白血病/リンパ腫、TP53変異型およびベネトクラクス耐性急性骨髄性白血病(AML)で高発現しており、まだ標的にはなっていないが重要ながん原遺伝子である。Yuki Nishida医学博士、Michael Andreeff医学博士らは、最初の活性型c-Myc分解剤であるGT19715を開発し、改良を加えた。異種移植モデルにおいて、この薬剤はc-Mycと、白血病幹細胞の生存に重要なタンパク質であるGSPT1の両方を減少させることができる。また、バーキット白血病/リンパ腫のモデルでは、循環芽球細胞を除去し、生存期間を延長させることができる。さらに、GT19715は、TP53変異の有無にかかわらず細胞死を誘導し、成熟したAML細胞と比較して、AML幹細胞/前駆細胞においてより高い有効性を示した。本試験は、c-Myc/GSPT1分解作用を有するGT19715の前臨床試験での治療可能性を示すものであり、今後の臨床開発の進展が期待される。本結果は、12月10日にNishida医学博士が発表する。

 

監訳:佐々木裕哉(血液内科/筑波大学)

翻訳担当者大澤朋子

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