転移性腎細胞癌(mRCC)患者に対する第一選択全身療法としてリンゴ酸スニチニブ1(SU11248)とインターフェロンα(IFN-α)を比較検討する第3相ランダム化試験

Phase III randomized trial of sunitinib malate(SU11248) versus interferon-alfa(IFN-α) as first-line systemic therapy for patients with metastatic renal cell carcinoma(mRCC)

サブカテゴリー:腎癌
カテゴリー:泌尿生殖器癌
ミーティング:2006年度ASCO年次総会

アブストラクトNo.:LBA3
引用:Journal of Clinical Oncology, 2006 ASCO Annual Meeting Proceedings Part I. Vol 24, No. 18S(June 20 Supplement), 2006: LBA3
著者:R. J. Motzer, T. E. Hutson, P. Tomczak, M. D. Michaelson, R. M. Bukowski, O. Rixe, S. Oudard, S. T. Kim, C. M. Baum, R. A. Figlin

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アブストラクト

背景
mRCC患者におけるスニチニブ(SU11248、スーテントR)の第2選択治療としての単剤療法を評価するための、2つの多施設第2相試験で、約40%の奏効率を示した(JCO 2006;24:16-24;Proc ASCO 23, 380s)。この国際的、ランダム化第3相試験では、未治療mRCC患者でスニチニブとIFN-αの有効性および安全性を比較した。

試験方法
未治療明細胞mRCC患者を、スニチニブ投与群(6週サイクル:50mg経口1日1回を4週間、その後2週間の休薬)、またはIFN-α投与群(6週サイクル: 9MU皮下注週3回)に1対1にランダムに割り付けした。主要評価項目は、無進行生存期間(PFS)とした。副次的評価項目は、客観的奏効率、全生存率、および有害事象であった。計画された690名のサンプルサイズに基づき、その臨床試験は、20週から27週まで(4.6ヵ月から6.2ヵ月、両側非層別化ログランク検定、有意水準:0.05)のPFS中央値で35%の改善を検出するための検出率(パワー)を90%となるようデザインされた。主要評価項目であるPFSに関する計画された分析結果を、本報告で述べる。

結果
2004年8月から2005年10月まで、750名の患者がランダムに割付された:375名はスニチニブ投与群、残りの375名はIFN-α投与群。投与前の患者背景は、よくバランスが取れており、対象患者年齢の中央値は60歳で、投与前の腎摘出は90%であった。第三者の独立した評価者により評価されたPFS中央値は、スニチニブ投与群では47.3週(95% CI 40.9、未到達)であったのに対し、 IFN-α投与群では24.9週(95% CI 21.9, 37.1)[ハザード比 0.394(95% CI 0.297, 0.521)(p<0.000001)]であった。第三者の独立した評価者による客観的奏効率は、スニチニブ投与群で24.8%(95% CI 19.7, 30.5)であったのに対し、IFN-α投与群では4.9%(95% CI 2.7, 8.1)(p<0.000001)であった。試験担当医師の評価による客観的奏効率は、スニチニブ投与群で35.7%(95% CI 30.9, 40.8)であったのに対し、IFN-α投与群では8.8%(95% CI 6.1, 12.1)(p<0.000001)であった。632名(85%)は生存中で、スニチニブ投与群で49名が死亡しIFN-α投与群で65名が死亡した。スニチニブ投与群で8%が有害事象が原因で試験を中止したのに対し、IFN-α投与群では13%が有害事象が原因で試験を中止した。

結論
これらの結果は、mRCC患者の第一選択治療において、スニチニブはIFN-αよりもPFSと客観的奏効率で統計学的に有意な改善を示す。

翻訳担当者 湖月みき

監修 瀬戸山修(薬学)

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