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平滑筋肉腫患者・家族の希少がん研究プロジェクト「Count Me In」

新たな平滑筋肉腫プロジェクトは、既存の取り組みであるCount Me In’s Osteosarcoma Projectに加わり、患者と協力して希少がんの科学的発見を加速させている。

Count Me In(カウント・ミー・イン、「私を参加させて」の意味)は非営利のがん研究の取り組みであり、平滑筋肉腫という希少がんの患者に自身のデータを共有して研究に参加することを求め、それによりがんに関する新たな発見と理解を深めることを目的としている。平滑筋肉腫プロジェクト(Leiomyosarcoma Project: LMS)は、骨肉腫プロジェクト(Osteosarcoma Project: OS)―Count Me Inが提供する患者参加型のもう一つの希少がん研究の取り組みー と共に、患者固有の健康データを容易に共有することでがん研究のペースを加速させることを目的としている。

特に、平滑筋肉腫や骨肉腫などの希少がんは、治療法が限られているため患者データの入手が非常に重要である。平滑筋肉腫は、平滑筋の軟部肉腫であり、体内のほぼすべての部位に発生する可能性がある。骨肉腫は主に10~30歳の青少年や若年成人に発症するまれな骨がんであり、米国では、毎年約3,000人の患者が新たに骨肉腫または平滑筋肉腫と診断されている。骨肉腫と平滑筋肉腫はそれぞれ異なるがんであるが、治療法は過去40年間大きな進歩はない。Count Me Inは、研究者に患者データを提供することで、将来の治療法に大きな影響を与えるような知見を得ることを目的としている。

「LMS プロジェクトおよび OS プロジェクトは、希少腫瘍の領域において患者が研究に参加できる素晴らしい機会です。患者、データ、肉腫情報提供団体を結集することで、これらの希少でしばしば難治性の腫瘍においてこれまでにない最大のゲノムデータセットが作成されるでしょう。また、このプロジェクトによって新しいデータが生成され、研究成果を患者さんと直接共有できることに大変わくわくしています。私たちは共に学び共に新たな世界を構築していくことを楽しみにしています」と、ダナファーバーがん研究所 肉腫センターの臨床研究部長で、LMS Project for Count Me In のClinical Championである Suzanne George 医師は述べている。

Count Me Inは、米国とカナダのがん患者を対象としたプロジェクトである。このプロジェクトを通じて、参加者は医療記録、生体試料、個人のがん体験などを共有する。その後、Count Me Inはこのデータを分析し、臨床データ、ゲノムデータ、分子データ、患者報告データをデータベース化し、世界中の科学者や医療コミュニティが簡単にアクセスできるようにする。すべての情報は非特定化された後、最終的に世界中の研究者に公開されて影響力のある発見を促進する。

患者は、プロジェクトのオンラインポータルから、いつでも簡単に自己登録することができる。唾液や血液のサンプルを提供するためのキットが届き、患者固有の健康情報を研究者と共有することが求められる。

「骨肉腫の研究に大きく貢献するために慈善家や研究者である必要はないのです。骨肉腫プロジェクトでは、迅速かつシンプルに、いつでも骨肉腫に対する変化に影響を与えることができます。必要なのは、自分の力を使って仲間の骨肉腫の患者さんを助けたいという気持ちだけです。私たちは共に治療法を生み出すことができ、骨肉腫プロジェクトはその実例となるものです」と、骨肉腫のサバイバーであり、MIBエージェント(小児骨肉腫の主要な非営利団体)事務局長のAnn Graham氏は語った。

Count Me Inは、転移性乳がん、血管肉腫、転移性前立腺がん、食道がん、胃がん、原発性脳腫瘍、大腸がんなどを対象とした既存の患者参加型の研究プロジェクトで、さらに多くのがん種について研究している。

Count Me Inは、患者が関わって発見に至った情報を常に患者に提供してきた。現在、骨肉腫と平滑筋肉腫の参加者は、研究者が各自のサンプルを研究して得た情報を直接受け取ることができる。

「平滑筋肉腫のような希少で悪性度の高いがんと共に生きることは、効果的な治療法の欠如や、多くの場合、悲惨な予後と向き合うことを意味します。平滑筋肉腫の患者は、研究の共同パートナーとして関与し力を発揮することでこの状況を変える力を持っているのです。Count Me Inは研究成果を患者と自由に共有することを約束しています。これは、私たちのデータがどのように利用され、そこで得られた知識が研究や発見にどのように直接影響を与えているかを知る機会が得られることを意味します。平滑筋肉腫患者と研究者とのユニークな共同研究、オープンで透明性の高い知識と洞察の共有は、平滑筋肉腫の将来の方向性を変える力を持っています。私たち平滑筋肉腫コミュニティは、研究者に自分たちを見てもらい、平滑筋肉腫に特有の画期的な発見に対する危機感を共有し、より良い未来への希望を持って私たちと協力してもらう必要があるのです」と、平滑筋肉腫患者で支持者のStacey Simpson Duke氏は述べている。共有された研究成果を受け取ることを選択した参加者には、Count Me Inスタッフが参加者自身の遺伝的変異やがん関連の遺伝子変異に関する情報を送付する。参加者とのデータの共有は直接的な関与をさらに一歩進めることであり、研究参加により得られる利益をより多く患者に提供する。Count Me Inは、今後さらに多くのがん研究プロジェクトにおいて、共有した研究成果を提供できるさらなる機会を探っていく予定である。

Count Me In、骨肉腫プロジェクトおよび平滑筋肉腫プロジェクトについての詳細は、以下を参照。

Count Me In: https://joincountmein.org

骨肉腫プロジェクト: https://osproject.org

平滑筋肉腫プロジェクト: https://lmsproject.org

Count Me Inの骨肉腫プロジェクトおよび平滑筋肉腫プロジェクトは、Cancer Moonshot Initiativeの一環であるParticipant Engagement and Cancer Genome Sequencing (PE-CGS) Grantによる連邦政府の助成により実現された。

 

監訳:遠藤誠(肉腫、骨軟部腫瘍/九州大学病院)

翻訳担当者青山真佐枝

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