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2010/09/07号◆インサイドNCI「小児腫瘍学のDr.Crystal Mackall氏に聞く」

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2010/09/07号◆インサイドNCI「小児腫瘍学のDr.Crystal Mackall氏に聞く」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2010年9月7日号(Volume 7 / Number 17)


日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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◇◆◇ Dr. Crystal Mackall氏に聞く ◇◆◇

インサイドNCI:小児腫瘍学のDr. Crystal Mackall氏に聞く

NCIの小児癌支部長であるMackall氏が、NCIでの研究や大きな進歩を遂げつつある小児癌の注目分野について語る。

【You Tubeスクリプト訳】

Rick Manrow氏:ようこそ、インサイドNCIです。私はNCIコミュニケーション・教育室の医師、リック・マンローです。今日のゲストはNCI癌研究センターの小児腫瘍学部門からクリスタル・マコール医師です。ようこそ。

Crystal Mackall氏:どうぞよろしく。

Manrow氏:ここ数十年、癌、化学療法、放射線療法の分野での進歩は目覚しいものがありますが、一方で、生物学的療法も台頭してきています、たとえば、あなたの研究の中心となっている免疫療法などですね。
現在行っている研究について話していただけますか。

Mackall氏:小児癌に対し、最善の標準治療に加えて免疫療法を行うことで、これまでの成果をいかにして発展させていけるか、研究を続けているところです。小児癌患者に行う治療の多くは、腫瘍を縮小できる一方、免疫系にかなりのダメージを与えるのです。免疫系は癌と闘う手段の一つだと考えると、当然そのダメージを軽減したいわけです。免疫系の破壊といった副作用を受けることなく、それらの治療の恩恵を受けたいですから。ですから、私の研究はその免疫系をいかに再構築するか、それも、標準療法の抗腫瘍効果を増大できるように、迅速に再構築する方法を主眼にしています。

Manrow氏:小児腫瘍学部門では他にどのような研究が行われていますか?

Mackall氏:主に、他の腫瘍に比べ研究成果が遅れている腫瘍の研究を行っています。ですから、われわれは肉腫の研究にも力を入れているのです。肉腫が成長に必要とする因子を枯渇させる効果のある、新たな治療法の開発に取り組んでいます。
遺伝学およびゲノム学も小児腫瘍学で大きな関心が高まっている分野です。腫瘍細胞が生存、また成長するのに必要とする遺伝子について、腫瘍細胞の内側の活動を調べる手段はますます増えています。また、いわゆる遺伝性の癌体質症候群についても研究しています。生まれつき癌になりやすい体質の子供達がいます。なんらかの理由で癌になりやすい遺伝子を受け継いでいるのです。小児癌に関する心理社会的問題を学ぶことで、患者や家族によりよいサポートができるようになるよう努めています。また、当センターでは非常に革新的な臨床試験を行うことができるため、他の施設では十分な研究ができない、まれな腫瘍を何種類も研究しています。

Manrow氏:過去数十年で小児癌治療において、長期寛解、あるいは治癒という点においても、驚異的な前進をしましたが、それには代償を伴いましたよね?

Mackall氏:はい、そこが重要な点なのです。今日、癌の診断を受けた子供の約75%が最終的には治癒するとされています。これは大いに誇れることではあるものの、患者の25%が治癒しないという意味でもあるのです。これは真っ先に取り組むべき課題です。加えて、治癒した患者の多くは、治癒のためのとても大きな代償を支払っています。つまり、ここ数十年来の標準治療には長期間持続する副作用が数多くあり、なかには 回復不能のものや、患者の生活の質を極度に、著しく極度に制限するものもあります。子供達に対してより効果的、かつ毒性の低い治療方法を考えねばならず、これは小児腫瘍学分野の大きな挑戦です。

Manrow氏:小児癌研究で近い将来、研究が特に進むと期待できる分野はありますか。

Mackall氏:大変有望な分野が、少なくとも2つあります。1つはゲノム学で、現在用いられている技術は大変強力です。この技術力のおかげで同じ実験から得られる知見は3,4年前と比べても、 対数的に増えているのです。
もう1つ、特に期待できるのが免疫療法の分野です。われわれの研究の一例をあげますと、患者の腫瘍サンプルを採取し, 治療終了後に使用できるワクチンをつくりました。このワクチンの作用で、どんな微小残存病変であれ、免疫系が反応するようになります。患者自身の腫瘍からワクチンを作るのです。われわれが目指すのは、癌と診断された患者一人一人のニーズに合わせた治療を行えるようになることです。

Manrow氏:なるほど、大変興味深いお話でした。今日はありがとうございました。
癌研究センターや小児腫瘍学部門についての詳しい情報は、センターのウェブサイトccr.cancer.govか、NCIのウェブサイトwww.cancer.govへどうぞ。
インサイドNCI、リック・マンローでした。

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河原 恭子 訳
寺島 慶太 (小児科/テキサス小児病院)監修

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