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精巣がん術後再発を見つける安全な方法

早期で低リスクの精巣がんの手術を受けた男性は、その後数年間にわたり再発がないかどうかモニターされる。モニターにはCTスキャンによる定期的な画像検査を行うことが多いが、患者は放射線に曝されることになる。

放射線を必要としない別の画像技術であるMRIをルーチンに使用することは、精巣がんが進行する前に、ほとんどの再発を確実に発見するという点において、CTスキャンと同等の効果があるということが、新たな研究によって示唆されている。

この研究による結果は、医師が精巣がんの患者を経過観察するために使用するCTスキャンおよびMRIスキャンの頻度を安全に減らすことができる可能性があることも示唆している。英国の研究者らは、3月17日付のJournal of Clinical Oncology誌で報告した。

早期精巣がんと診断される男性は比較的若年である傾向があり、ほぼ全員が治癒する。そのため、医師は治療や治療後の経過観察による潜在的な副作用を最小限に抑えようとしている。

しかし、患者をモニターする最も安全な方法は明らかにされていないと、本試験の主任統計研究者であるFay Cafferty博士(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、医学研究評議会臨床試験ユニット)は指摘した。

この問題を調査するため、Cafferty医師らは、早期のセミノーマ精巣がんの手術を受けた男性669人を対象としたランダム化比較第3相臨床試験を立ち上げた。

本試験は、TRISSTと呼ばれ、以下の4つの異なるモニターを行った後の転帰を比較する。

・5年間にわたりCTスキャンを7回施行

・5年間にわたりMRIスキャンを7回施行

・3年間にわたりCTスキャンを3回施行

・または、3年間にわたりMRIスキャンを3回施行

追跡期間中央値6年の時点で、MRIスキャンを受けた患者および低い頻度でCTスキャンを受けた患者の転帰は、他の患者の転帰と比して悪化することはなかったと、研究者は明らかにした。

全体として、モニターによって再発が認められた男性は82人(12%)、そのうち進行期に発見されたのは10人(1.5%)であった。術後5年経過時点で、ほぼすべての患者が生存しており、がんに関連した死亡例は認められなかった。

「CTの代わりにMRIを使用する、またはスキャン回数を減らしたとしても、治療が成功する早期の段階で再発を検出することができます」とCafferty氏は述べた。「これらの方法は、がんが再発しないかどうか、効果的なモニターを行いながら、潜在的に害のある放射線への被ばくを減らすことができます」 。

累積被ばく線量の制限

まれではあるが、精巣がんは20~35歳の男性において最も多いがんである。

「精巣がんの患者は若年で長期間にわたり経過観察を行うため、CTスキャンによる累積被ばく線量について懸念しています」と、Samuel Haywood医学博士は述べる。クリーブランド・クリニックの泌尿器科医である同氏は、今回の英国の試験には参加していない。

TRISSTにおいて、長期の計画に参加した男性患者は、最初の2年間は6カ月毎に1回、次の3年間は1年に1回の検査を受けた。短期の計画に参加した男性患者は6カ月、18カ月、36カ月の時点のみの検査であった。

再発した82人のうち、5人を除く全員が3年以内に再発しており、3年以降のスキャンは必要ないことが示唆されたと、研究チームは記している。

「3年以降に再発した男性患者の人数が少数であることと、これらの再発した患者の治療に成功したことを考慮すると、放射線被ばくの潜在的な害は、3年を超えてもCTスキャンを継続することの利益を上回ることが判明した」と本試験の共著者であるRobert Huddart医学博士(ロンドンがん研究所)は報道発表にて述べた。

患者をモニターするための画像検査の頻度や種類に関わらず再発時に進行期病変が発見されることはまれであると、研究著者は明らかにした。

再発のうち進行期で発見されたのは、3回スキャン群で9人(2.8%)であったのに対し、7回スキャン群では1人(0.3%)であった。7回のスキャンで早期に発見できる可能性があったのは再発した9人のうち4人のみであったと、研究者は述べた。

追加検査の潜在的なリスクと利益を比較する

本試験の潜在的な限界は、この試験が比較的再発のリスクが低い男性患者のみを対象としていることである。したがって、Cafferty医師によると、この知見は再発のリスクの高い男性患者には当てはまらないおそれがあるということである。

英国の試験結果を受けて、早期セミノーマ精巣がん術後患者を医師がモニターする方法について、米国での決定が促進されることをHaywood 医師は期待している。米国では、米国総合がんセンターネットワークのガイドラインにより、最初の2年間にCTスキャンを4回受けることが推奨されている。

TRISSTの結果は「患者が受ける経過観察のモニターを安全に減らし、スキャンの種類を変更できる可能性を示唆しています」とHaywood医師は述べた。しかし、MRIスキャンの技術およびMRI画像の読影に必要な専門知識は、CTスキャンほど広く普及していないことに警告を発した。

Haywood医師のもう1つの懸念は、モニターの頻度が少なくなることで、一部の患者は治療後に経過観察している医師との連絡が途絶えてしまう可能性があることである。

さらに、「MRIはCTより高価である傾向があるため、MRIスキャンへの変更に保険が適用されるかどうかは、まだわかりません」とHaywood医師は付け加えた。

Cafferty医師らは、英国において、体への負担が少ないモニター方法の潜在的費用について知見を得るため、医療経済データの分析に取り組んでいる。MRIに伴う費用を考慮すると、MRI技術の使用を支持するための根拠がさらに必要であると、試験著者は記している。

「今回の知見によって、モニターの方法が変わることを期待しています」とCafferty医師は述べた。「スキャンの回数を減らすこと、特に3年経過後はスキャンをしないことは、放射線被ばくを減らすだけではなく、通院による患者および病院の負担を減らすことにもなります」。

翻訳担当者三宅久美子

監修榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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