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新規切断術による下肢切断後の運動機能の回復と痛みの軽減

下肢切断術を受ける人に対して、従来の義肢装具にありがちな消耗性疼痛や持続的な組織破壊を抑制して、運動機能の劇的な回復が可能となる革新的な外科手術法がある。

オッセオインテグレーションと呼ばれるこの手術法は、通常、大腿骨の中に1本の金属製の棒を外科的に埋め込み、体外に突き出た部分をスナップ式に義肢に留める。

オハイオ州立大学総合がんセンター アーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC-James)の腫瘍専門整形外科医らは 、オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの形成外科医と協力し、同大学の新たな包括的四肢プログラムを通じてこの複雑かつ難解な手術を実施している。

腫瘍専門整形外科医のJoel Mayerson医師によれば、オッセオインテグレーション・システムは、従来の義肢による消耗性皮膚創傷や疼痛を抑えて運動性を高める長期的な選択肢である。

Mayerson医師(OSUCCC – Jamesの周術期サービス部門長、オハイオ州立医科大学教授)は、次のように説明した。「この技術により、義肢がより自然に機能し、残肢にかかる圧力が軽減し、摩擦、水疱形成、組織の劣化、皮膚トラブルなど、ソケット義肢に関連する痛みを防止できます」。

オッセオインテグレーションは、義肢をより快適にし、着脱を容易にすることで、他の高度な切断術の利点を引き出すことができる。例えば、標的筋再神経支配(TMR)は、残存肢の神経手術によって義肢をより自然に動かせるようにする技術で、切断後の痛みが大幅に軽減することがわかっている。

Mayerson医師は次のように述べている。「義肢装具を再構築するこの方法は、患者が脳で義肢を操作できるようにする電極を残存肢に装着できるため、切断術を受けた人が経験する慢性疼痛も大幅に軽減できます。正常動作と同様に脳を使って身体の一部を動かす、つまり『スター・ウォーズ』の『ルーク・スカイウォーカー効果』のようなものを生み出しているのです。そして、最終的には、TMRにより、神経が自然の手足の内部と同様に発火するため、より流動的で直感的な義肢の動きが実現します」。

オハイオ州立大学は、オッセオインテグレーションやTMR、その他の高度な切断技術を提供する米国初の病院システムの1つである。腫瘍専門整形外科と形成外科との協力によって、がん、糖尿病、軍傷やその他の事故による四肢欠損に悩むすべての人々の生活を改善することを目的とした、新しい包括的かつ四肢再建的な高度切断プログラムの基礎を形成している。

包括的なオンコプラスティックかつ義肢的なアプローチ

2021年秋、オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターは、軍事医療プログラムを立ち上げ、メリーランド州ベセスダのウォルターリード国立軍事医療センターから軍医のJason Souza医師を採用し、その任務責任者、整形外科再建プログラムのディレクターに任命した。この役割の一環として、彼は、がん患者を含む切断の経験を有する患者の義肢のケアのため、包括的かつ統合的なモデルを開発する取り組みを主導していく。

Souza医師はこう語る。「がんと闘病のケアには、非常に多くの共通点があります。どちらのモデルも、サバイバーシップと長期的な再建に関する問題への対処が大部分を占めています。私たちが、軍事医療から学んだことを腫瘍再建分野に応用できる素晴らしい機会です」。

軍事医療プログラム全体の一環として、包括的なオンコプラスティックおよび義肢ケアのプログラムは、OSUCCC– Jamesの形成外科と腫瘍整形外科学チームの既存の強みを生かし、TMRなどの研究ベースの技術を統合し、手足を失ったがん患者や複雑な再建を必要とする患者に恩恵をもたらすこととなる。

翻訳平 千鶴 

監修遠藤 誠(肉腫、骨軟部腫瘍/九州大学病院 整形外科)

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