FDAが進行または転移胆管がんにイボシデニブを承認

2021年8月25日、米国食品医薬品局(FDA)は、FDAにより承認された検査でイソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)変異が検出された、治療歴のある局所進行または転移胆管がんの成人患者に対して、イボシデニブ(販売名:Tibsovo、Servier Pharmaceuticals LLC社)を承認した。 

本日、FDA は、イボシデニブ治療の対象となる胆管がん患者の選択に有用なコンパニオン診断システムとして、オンコマインDx Target Test(Life Technologies Corporation社)を承認した。

イボシデニブは、IDH1変異を有する局所進行または転移胆管がんの成人患者185人を対象とする、ランダム化(2:1)多施設共同二重盲検プラセボ対照試験(AG120-C-005、NCT02989857)において検討された。本試験では、ゲムシタビンまたは5-フルオロウラシルを含む1種類または2種類のレジメンを受けた後に進行を認めた患者を対象とした。患者は、イボシデニブ500mgの1日1回経口投与群、またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられ、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続された。

主要有効性評価項目は、独立審査委員会がRECIST1.1に基づいて決定した無増悪生存期間(PFS)であった。本試験では、イボシデニブ群の患者で統計的に有意なPFSの改善が示された(ハザード比[HR]0.37、95%信頼区間[CI]:0.25~0.54、p<0.0001)。全生存期間(OS)の解析では有意差はみられなかった(HR0.79、95%CI:0.56~1.12、p=0.093)。プラセボ群の患者の70%は、放射線学的に病勢進行が認められた後にイボシデニブ投与に切り替えられた。

胆管がん患者に最もよくみられた副作用(15%以上)は、疲労、悪心、腹痛、下痢、咳、食欲減退、腹水、嘔吐、貧血、発疹であった。

胆管がんに対するイボシデニブの推奨用量は、食事の有無にかかわらず1日1回500mgを経口投与し、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続する。

Tibsovoの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 工藤章子

監修 辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター)

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