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ニボ+化学療法またはニボ+イピ併用療法が進行食道扁平上皮がんの全生存期間を改善

米国臨床腫瘍学会(ASCO)の見解

「進行食道がん患者さんは現在、治療選択肢がほとんどありませんが、その一部の患者さんはこれから免疫療法の恩恵を得ることになります。ニボルマブとイピリムマブの免疫療法薬2剤による併用療法は、化学療法を使用しない初めての一次治療であり、そのような患者さんに効果があることが示されました」と米国臨床腫瘍学会(ASCO)副会長および最高医学責任者Julie R. Gralow医師(FACP:米国内科学会フェロー、FASCO:米国臨床腫瘍学会フェロー)は述べた。

2021年ASCO年次総会で発表される第3相試験のデータによれば、標準的な化学療法と比べ、免疫療法薬2剤の併用療法、および化学療法に免疫療法薬1剤を組み合わせた併用療法は、いずれも進行食道扁平上皮がん(ESCC)患者、とりわけ免疫チェックポイント関連タンパク質であるPD-L1陽性患者の全生存期間(OS)を延長することがわかった。

【試験の概要】

焦点:
ニボルマブ(販売名:オプジーボ)+化学療法薬、ニボルマブ+イピリムマブ(販売名:ヤーボイ)、化学療法薬単独のいずれかを投与した食道扁平上皮がん患者の生存期間を検証する。

対象:
治療歴がない切除不能な進行・再発・転移食道扁平上皮がん患者970人

結果:
・PD-L1発現量1%以上の患者における全生存期間について、ニボルマブ+化学療法薬群(15.4カ月)およびニボルマブ+イピリムマブ群(13.7カ月)は化学療法薬単独群(9.1カ月)と比べ有意な改善を示した。
・無作為に割り付けた全患者における全生存期間について、ニボルマブ+化学療法薬群(13.2カ月)およびニボルマブ+イピリムマブ群(12.8カ月)のいずれも化学療法薬単独群(10.7カ月)と比べ有意な改善を示した。
・PD-L1発現量1%以上の患者における病勢進行までの時間(無増悪生存期間:PFS)について、ニボルマブ+化学療法薬群は化学療法薬単独群よりも有意な改善を示した。
・有害事象(AE)および重篤な有害事象(グレード3以上)は3群とも同程度であった。治療に起因する投与中止例はニボルマブ+化学療法薬群で高い傾向がみられた。

意義:
ニボルマブ+化学療法薬またはニボルマブ+イピリムマブが今後、食道扁平上皮がんの優れた一次治療となる可能性がある。

【主な結果】

本試験(CheckMate 648試験)では、ニボルマブ+化学療法薬(シスプラチン+フルオロウラシル)およびニボルマブ+イピリムマブはいずれも標準化学療法と比べ全生存期間を有意に改善した。主要複合評価項目であるPD-L1発現量1%以上の患者における全生存期間について、ニボルマブ+化学療法薬群(15.4カ月)およびニボルマブ+イピリムマブ群(13.7カ月)は化学療法薬単独群(9.1カ月)と比べ有意な改善を示した。

無作為に割り付けた全患者の全生存期間について、ニボルマブ+化学療法薬群(13.2カ月)およびニボルマブ+イピリムマブ群(12.8カ月)のいずれも化学療法薬単独群(10.7カ月)と比べ有意な改善を示した。

PD-L1発現量1%以上の患者における無増悪生存期間について、ニボルマブ+化学療法薬群は化学療法薬単独群よりも有意な改善を示した。

再発および転移食道扁平上皮がんまたは上部消化管がんに対する治療法の進歩は他のがんより遅れている。現在、進行食道扁平上皮がん患者の初回治療としてシスプラチンとフルオロウラシルによる化学療法が標準であるが、予後は依然として思わしくない。

ニボルマブはチェックポイント阻害薬として知られる治療薬の部類に属する免疫療法薬であり、腫瘍細胞表面上のタンパク質(PD-L1)を阻害することで腫瘍細胞に対する免疫系応答を改善する。イピリムマブもチェックポイント阻害薬であり、T細胞上のタンパク質であるCTLA4を標的とし、腫瘍細胞に対する応答を改善する。

ニボルマブは、前治療の化学療法に不応性または不耐性を示す進行食道扁平上皮がん患者の生存期間を改善することが示されている。[1] ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は複数種類の腫瘍に有意な臨床的効果が認められており、食道扁平上皮がんに対し併用療法を検討するきっかけとなっている。[2]

「この2つの治療法により臨床的に意義のある生存期間の改善が得られたことは、免疫療法ががん治療に与える影響を明確に示しており、がんがすでに転移した状態で診断されることが多い一部の患者さんに新しい治療の選択肢をもたらすでしょう」と、Royal Marsden 病院(英国サットン)の腫瘍内科専門医である筆頭著者のIan Chau医師(FRCP:英国王立内科学会フェロー)は述べた。

有害事象および重篤な有害事象(グレード3以上)は3群とも同程度であった。投与中止例(治療に起因する)は、ニボルマブ+化学療法薬群で多い傾向がみられた。

【試験について】

本ランダム化第3相試験では、治療歴がない切除不能な進行・再発・転移食道扁平上皮がん患者970人を登録し、ニボルマブ+化学療法薬(フルオロウラシル+シスプラチン)、ニボルマブ+イピリムマブ、化学療法薬単独のいずれかに無作為に割り付けた。これらの試験治療群に割り付けた患者に、最大24カ月間、または病勢進行もしくは許容できない毒性のいずれかが生じるまで投与を継続した。

主要評価項目は、腫瘍細胞のPD-L1発現量が1%以上の患者での全生存期間および無増悪生存期間であった。副次評価項目は、無作為に割り付けた全患者での全生存期間および無増悪生存期間であった。

【次のステップ】

全生存期間、無増悪生存期間、全奏効率について患者の追跡調査を引き続き行う。

参考文献:
1. Kato K, Cho BC,Takahashi M, et al. Nivolumab versus chemotherapy in patients with advanced oesophageal squamous cell carcinoma refractory or intolerant to previous chemotherapy (ATTRACTION-3): a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet. 20:1506-1517, 2019.
2. Klein O, Kee D, Markman B, et al. Immunotherapy of Ipilimumab and Nivolumab in Patients with Advanced Neuroendocrine Tumors: A Subgroup Analysis of the CA209-538 Clinical Trial for Rare Cancers. Clin Cancer Res. 26:4454-4459, 2020

翻訳伊藤美奈子

監修野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)

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原文掲載日

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