悪性神経膠腫の定位手術的照射について総括レビュー/米国放射線腫瘍学会(ASTRO) | 海外がん医療情報リファレンス

悪性神経膠腫の定位手術的照射について総括レビュー/米国放射線腫瘍学会(ASTRO)

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

悪性神経膠腫の定位手術的照射について総括レビュー/米国放射線腫瘍学会(ASTRO)

米国放射線腫瘍学会(The American Society for Therapeutic Radiology and Oncology 、ASTRO) による、悪性神経膠腫に対する定位手術的照射の役割についてのエビデンスにもとづいたレビュー

The American Society for Therapeutic Radiology and Oncology(ASTRO) evidence-based review of the role of radiosurgery for malignant glioma.
Tsao MN, Mehta MP, Whelan TJ, Morris DE, Hayman JA, Flickinger JC, Mills M, Rogers CL, Souhami L.The American Society for Therapeutic Radiology and Oncology, Fairfax, VA.
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2005 Sep 1;63(1):47-55. PMID: 16111571 原文へ

【目的】
成人の悪性神経膠腫患者に定位手術的照射を用いることについてのエビデンスを系統的に検証する

[pagebreak]


【方法】
このエビデンスにもとづいたレビューにおいて強調されるべきキーポイントの臨床的な質問を特定した。転帰として検討されたのは全生存率、QOLもしくは症状の制御、脳腫瘍の制御率や奏効率、毒性である。MEDLINE(1990?2004 June Week 2), CANCERLIT(1990?2003), CINAHL(1990?2004 June Week 2), EMBASE(1990?2004 Week 25), and the Cochrane library(2004 issue 2) のデータベースがOVIDを用いて検索された。さらに、Physician Data Query(米国国立癌研究所の癌に関するデータベース、PDQ)、American Society of Clinical Oncology(ASCO)(1997?2004)、ASTRO(1997?2004)、そしてEuropean Society of Therapeutic Radiology and Oncology(ESTRO)(1997?2003) の会議録が検索された。文献検索からのデータは、チェックしたうえで表にした。この過程にはエビデンスレベルの評価を含めた。

【結果】
新たに診断された悪性神経膠腫の患者に対する治療では、外部照射に追加照射として定位的手術照射を行った1つの無作為化比較試験、5つの前向きコーホート試験、そして7つの後ろ向き試験があった。外部照射とcarmustine(BCNU)投与に引き続いて定位的手術照射を行うことで、外部照射単独とcarmustine(BCNU)投与に比較して全生存率、QOL、再発様式においてなんら恩恵を与えないというLevel I のエビデンスがある。外部照射単独治療に比較して、定位的手術照射を追加することにともなう毒性について Level I-III のエビデンスがある。前向き試験と後ろ向き試験の結果には、患者選択のバイアスによる影響があるかもしれない。通常の外部照射後の再発に対して救済的に定位的手術照射を用いることに関しては無作為試験は無く、3つの前向きコーホート試験、そして5つの後ろ向き試験がある。平均的な成績は希薄であり、絶対的な勧告にいたるには不完全である。定位的放射線治療(分割照射)を新たに診断された悪性神経膠腫の患者の外部照射後の追加照射として施行することについては、3例の前向き試験があるだけである。新たに診断された悪性神経膠腫の患者に対して、主要な治療法として、通常の外部照射無しで定位的放射線治療単独で治療したものはわずか1つの前向き試験だけである。再発もしくは進行性の悪性神経膠腫の患者に対してはわずか3つの前向き試験と2つの後ろ向き試験が報告されている。

【結論】
悪性神経膠腫の患者に対しては、外部照射とcarmustine(BCNU)投与に引き続いて定位的手術照射を行うことで、外部照射単独とcarmustine(BCNU)投与に比較して全生存率、QOL、再発様式においてなんら恩恵を与えないというLevel I-III のエビデンスがある。定位的手術照射の追加は毒性の増加を伴う。悪性神経膠腫の患者で再発もしくは進行が見られた場合、利益/障害に関してのエビデンスは不完全である。新たに診断された悪性神経膠腫の患者、もしくは、進行/再発例に対して定位的放射線治療を用いることの利益/障害に関してもまた、エビデンスは不完全である。

(平 栄(放射線腫瘍科) 翻訳寄稿)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward