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FDAが悪性胸膜中皮腫の一次治療にニボ+イピ併用を承認

アスベスト繊維の吸入により発現するがん、中皮腫に対する16年ぶりの承認

速報

2020年10月02日

本日、米国食品医薬品局(FDA)は、手術による切除が不能な悪性胸膜中皮腫成人患者の一次治療薬として、オプジーボ(販売名:ニボルマブ)とヤ―ボイ(販売名:イピリムマブ)の併用療法を承認した。本治療は、中皮腫に対して16年ぶりに承認された薬剤レジメンであり、FDAが承認した二つ目の全身療法である。

FDAのOncology Center of Excellence室長兼FDA医薬品評価研究センターOffice of Oncologic Diseasesの室長代理を務めるRichard Pazdur医師は、「本日、ニボルマブとイピリムマブの併用が承認され、悪性胸膜中皮腫患者の全生存期間を改善する新しい治療を提供することができた。2004年、FDAはこの疾患に対してペメトレキセドとシスプラチンの併用を承認し、これが10年以上もの間FDAが承認した唯一の治療であったが、ようやく患者にとって重要な治療選択肢が加わった」と述べている。

悪性胸膜中皮腫(MPM)は、アスベスト繊維の吸入によって肺を裏打ちする膜に発生するがんであり、生命を脅かす疾患である。毎年約2万人の米国人が診断されている。中皮腫の多くは(胸膜に発生する悪性の)悪性胸膜中皮腫(MPM)であり、患者は診断時に切除不能な(つまり手術では除去できない)ことが多い。現在利用可能な治療では、全生存期間は一般的に不良である。ニボルマブおよびイピリムマブはいずれもモノクローナル抗体であり、併用するとT細胞の機能が高まり、腫瘍の増殖を減少させる。

この併用療法は、治療歴のない切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)患者605人を対象とした無作為化非盲検試験によって評価された。患者は、最長2年間にわたる6週間毎のイピリムマブの静脈内投与と2週間毎にニボルマブの静脈内投与、または、最長6サイクルのプラチナ併用化学療法を受けた。治療は、疾患進行または許容できない毒性が認められるかまたは2年間の治療終了まで継続した。試験の目的は、ニボルマブとイピリムマブの併用によって、化学療法と比較して全生存期間が改善するか否かを判断することであった。解析時点で、ニボルマブとイピリムマブの併用投与を受けた患者の全生存期間の中央値は18.1カ月であったのに対し、化学療法を受けた患者の全生存期間の中央値は14.1カ月であった。

悪性胸膜中皮腫(MPM)の患者でニボルマブとイピリムマブを併用した場合に最もよくみられた副作用としては、疲労、筋骨格痛、発疹、下痢、呼吸困難、悪心、食欲減退、咳、そう痒症(かゆみ)などが挙げられる。イピリムマブは、肺(肺炎)、大腸(大腸炎)、肝臓(肝炎)、内分泌腺(内分泌疾患)、腎臓(腎炎)などの健常な臓器の炎症など、免疫関連副作用として知られる重篤な状態を引き起こす可能性がある。患者は、免疫系、肺や呼吸、肝臓に問題がある場合、臓器移植を受けたことがある場合、妊娠している場合や妊娠を予定している場合は、治療開始前に医療従事者に伝える必要がある。

FDAは Bristol-Myers Squibb社に承認を与えた。

本審査は、FDA Oncology Center of Excellenceが主導するProject Orbisの下で実施された。Project Orbisは、国際的なパートナー間で抗がん剤の同時申請および審査を可能とする枠組みである。Project Orbisは、国際的なパートナー間で抗がん剤の同時申請および審査を可能とする枠組みである。本審査では、FDAはオーストラリア医薬品行政局(TGA)、ブラジル保健規制庁(ANVISA)、カナダ保健省、スイス医薬品局(Swissmedic)と共同で申請を審査している。その他の規制当局では、申請審査が継続中である。FDAは目標期日より約5カ月早く承認した。

FDAは、米国保健福祉省の機関であり、ヒトおよび動物用医薬品、ヒト用ワクチンとその他のバイオ医薬品、医療機器の安全性および有効性を保証し、公衆衛生を保護している。また、米国の食糧供給、化粧品、栄養補助食品、電子放射線を放出する製品の安全性およびたばこ製品の規制に関する責務も担っている。

翻訳木村素子

監修田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学)

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