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低リスク早期睾丸腫瘍では、手術後に必要なCTスキャンの回数はより少ない

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低リスク早期睾丸腫瘍では、手術後に必要なCTスキャンの回数はより少ない

米国国立がん研究所(NCI) 臨床試験結果

Fewer CT Scans Needed after Surgery for Low-Risk, Early-Stage Testicular Cancer
2006年American Society of Clinical Oncology(ASCO)年次総会での発表によると、ある種の、低リスク、早期睾丸腫瘍患者において、手術後の経過観察期間に2回のCTスキャンは5回のCTスキャンと同程度に再発を発見するのに効果的である。

 


キーワード 精巣癌、非セミノーマ胚細胞腫瘍、コンピューター断層撮影法(CT)

要約
一部の低リスクな初期精巣癌の患者に対して、手術後のフォローアップの時期において、CT検査の回数が2回でも5回でも再発発見率は同等です

 

出典 米国臨床腫瘍学会(ASCO)総会、アトランタ2006年6月5日

 

背景
60歳以下の男性における精巣腫瘍は、その95%が精巣中の胚細胞(精子を形成する細胞)で起こります。精巣癌にはセミノーマ(精上皮腫)と非セミノーマの二種類があり、いずれも発生率はほぼ同じですが、発生の仕方や広がり方が異なります。

 

Ⅰ期の非セミノーマ精巣胚細胞腫瘍患者(nonseminomatous germ cell tumors (NSGCT))で、手術後にさらなる治療を行わない経過観察を選択した場合、コンピューター断層撮影法(CT)スキャンはフォローアップの受診の重要な部分を占めます。一方で、CTスキャンを受けるには多額の費用が必要であり、さらに相当量の放射線を全身に浴びることになります。そのため、安全なフォローアップに十分な、術後CTスキャンの最低回数の決定が重要です。

 

臨床試験
1998年から2003年にかけて、イギリス、ノルウェー、オーストラリア、ニュージーランドにある32施設から414名のⅠ期非セミノーマ精巣胚細胞腫瘍の低リスク患者が、この第三相臨床試験に登録されました。彼らは、主治医と相談の上、手術後これ以上の治療を行わないことを決めた患者たちです。

 

登録された患者たちは、フォローアップとして「二回の腹部CTスキャン(手術後3ヶ月と12ヶ月)」または、「5回の腹部CTスキャン(手術後3, 6, 9, 12, 24ヵ月後)」を含む定期フォローアップにランダムに分けられました。統計解析の必要上、5回の群に比べて、2回の群により多くの患者が振り分けられました(5回:167名、2回:247名)。

 

胸部X線、身体検査、血液検査を含むフォローアップに必要な他の検査は、二つの群で同じ頻度で行なわれました。経過観察のための診察は、1年目は月1回、2年目は2ヶ月に1回、それ以降は3~6ヶ月に1回の割合で行いました。再発した場合、治験責任医師はその病期を記録しました。また、全生存率、再発を最初に発見した診断法、再発までの時期を二つの群で比較しました。

 

この臨床試験は、イギリスのNational Cancer Reserch Instituteに属するTestis Cancer Clinical Study Groupの多大な協力のもと行われました。この臨床試験の主執筆者はイギリスMiddlesexにあるMount Vernon Cancer CentreのG.M.Mead医師です。

 

結果
中央値40ヶ月フォローアップにおいて、医師たちは、CT2回の群では37名(15%)、5回の群で33名(20%)の再発を発見しました。二群間で、再発した癌の大きさや、再発した場所に大きな違いはありませんでした。

 

重要なことは、2回しかCTスキャンを受けていない群では、頻繁に受けた群(5回の群)の患者と比較して、再発時に予後不良群あるいは予後中間群の腫瘍が見られやすいということがなかったことです。つまり、検査回数が少なくても、深刻な病巣を見落とすことはないということです。どちらの群においても、死亡例はありませんでした。

 

コメント
5回の群において、より早く再発が発見できるというエビデンスがなかったことから、早期の低リスク患者に対して「フォローアップで頻繁にCTスキャンを用いる明らかな利点はない」とMead医師は述べています。
「適切に選ばれた患者にとっては、このような選択(CTスキャンの回数を減らす)は、経過観察の方針として妥当でしょう。」と、アメリカ国立癌研究所(NCI) Center for Cancer ResearchのGulley医師も同意しています。

 

制限事項
Mead医師はASCOの発表で、この試験に登録された患者は、平均的な非セミノーマ精巣胚細胞腫瘍と比較して再発の低リスク患者であると説明しています。非セミノーマ精巣胚細胞腫瘍では、全患者の約40%で癌が血管に広がり(「血管浸潤」と呼ばれる現象)、この現象は、再発の危険性を上昇させます。しかしながら、今回の臨床試験で血管浸潤が認められた患者は、10%のみでした。

 

この制限事項については、NCIのGulley医師も強調しており、「今回の臨床試験では、高リスク患者の割合が少ないため、(高リスク患者に対しては)この結果を薦めることはできない。」と述べています。

 

(こばやし 訳・Dr.榎本 裕(泌尿器科) 監修)

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