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子宮頸部前がん病変の同定でAIが好成績

  • 2019年3月22日
  • 発信元:NCI(米国国立がん研究所)

米国国立衛生研究所(NIH)およびGlobal Goodの研究者らが率いる研究チームは、女性の子宮頸部のデジタル画像を分析し、治療が必要な前がん病変を正確に同定できるコンピュータアルゴリズムを開発した。この人工知能(AI)アプローチは、 自動目視評価と呼ばれているが、特に医療資源が少ない環境において、子宮頸がん検診に大変革をもたらす可能性がある。

この方法を開発するために、研究者らは統合データセットを使用して、ディープラーニング(深層学習、機械学習)アルゴリズムを「トレーニング」し、医用画像などの複雑な視覚入力におけるパターンを認識できるようにした。このアプローチは、国立がん研究所(NCI)およびIntellectual Ventures社の基金である Global Goodの研究者らにより共同で開発され、その所見は国立医学図書館(NLM)の専門家らによって別個に確認された。その結果は、2019年1月10日に国立がん研究所のジャーナルに掲載された。NCIとNLMは国立衛生研究所(NIH)の機関である。

「われわれの研究結果から、ディープラーニング・アルゴリズムでは、日常的な子宮頸がん検診で収集した画像を使用して、未治療のままだとがんになる可能性がある前がん病変を同定できると言えます」と、NCIのがん疫学および遺伝学部門公衆衛生学医師であり、この研究の筆頭著者であるMark Schiffman氏は述べた。「実際、画像のコンピューター分析は、顕微鏡下(細胞診)でのPap検査専門のレビュー担当者より前がん病変の同定において優れていました」。

今回の新方法は、医療資源が少ない環境において特に価値が高い可能性がある。このような環境における医療従事者は現在、VIA(酢酸を用いた目視検査)と呼ばれる検診方法を使用している。この方法では、医療従事者が子宮頸部に希酢酸を塗布し、肉眼で子宮頸部を観察して、病気の可能性を示す「白色変化」の有無を調べる。VIAはその簡便さと低コストのため、より高度な検診方法が使用できない地域で広く使用されている。しかしながら、それは不正確であることが知られており、改善が必要である。

自動目視評価も同様に容易に実施できる。医療従事者は、携帯電話または同様のカメラ機器を使って子宮頸がん検診ができ、1回の来院で検診と治療ができる。さらに、この方法は最小限のトレーニングで実施できるため、医療資源が限られている国では理想的である。そうした国々では子宮頸がんは女性における病気や死亡の主な原因である。

アルゴリズムを作成するため、研究チームは、1990年代にコスタリカで行われた子宮頸がん検診研究の期間中に収集されNCIに保管されていた写真から6万枚以上の子宮頸部画像を使用した。この調査研究には9,400人以上の女性が参加し、追跡調査は18年間続いた。 同研究が前方視的な疫学研究であったため、研究者らは、どの子宮頸部の変化が前がん病変になり、どれがならないかについてほぼ完全な情報を得た。写真はデジタル化された後、治療が必要な状態と必要ではない状態を区別できるようにするディープラーニング・アルゴリズムのトレーニングに使用された。

総括して、このアルゴリズムは、コスタリカでの研究中に診断された全症例の予測において、あらゆる標準的な検診検査よりも優れた診断能力を示した。自動目視評価は、専門の目視評価者(AUC = 0.69)や従来の細胞診(AUC = 0.71)より高い精度(AUC = 0.91)で前がん病変を同定した。AUC0.5は偶然と言ってもよいくらいの検査方法であることを示しているのに対し、AUC1.0は完全な正確性で疾患を同定する検査方法であることを示している。

「このアルゴリズムが、HPVワクチン接種の進歩、新たなHPV検出技術および治療の改善と組み合わされると、たとえ医療資源が少ない環境であっても、子宮頸がんを抑制できると考えられます」と、Global Goodの執行副社長であるMaurizio Vecchione氏は述べた。

研究者らは、さまざまなカメラやその他の画像処理オプションを使用して、世界中の地域の女性から集めた子宮頸部前がん病変および正常な子宮頸部組織での代表的な画像のサンプルで、アルゴリズムをさらにトレーニングする計画である。この手順が必要となる理由は、異なる地域の女性の間で子宮頸部の外観がわずかに異なるためである。このプロジェクトの最終目標は、一般に広く利用される最良のアルゴリズムを作成することである。

翻訳畔柳祐子

監修喜多川 亮(産婦人科/東北医科薬科大学病院)

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