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新しい検査がHPV陽性女性の子宮がんスクリーニングのフォローアップに有用

  • 2018年11月30日
  • 発信元:米国国立がん研究所(NCI)ブログ~がん研究の動向~

新しい検査が、既定の子宮がんスクリーニングにおいて、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染陽性女性の臨床管理の改善に役立つとNCI主導による研究で示されている。

p16/Ki-67二重染色と呼ばれるこの検査は、HPV陽性女性を管理するための現在の標準である子宮頸部細胞診(パップテスト)と比較し、5年以内にHPV陽性女性に子宮頸部前がん病変が発生するかどうかをより正確に予測した。  

HPV検査が子宮頸がんスクリーニングの中心になるにつれて「課題はHPV陽性の女性たちをどのように適切に管理したり、トリアージ するかということです」と統括研究員であり NCIの癌疫学・遺伝学部門(DCEG)のNicolas Wentzensen医学博士は述べた。

二重染色検査は細胞診の検体でp16とKi-67という2種の特異的タンパクの有無を測定する。これまでの研究で、これらの2つのマーカーの組み合わせが、細胞診よりも、前がん病変を有するHPV陽性女性を特定するのにより有用であることが示唆されている。

本研究の筆頭研究員であるMegan Clarke医学博士(健康科学修士、DCEG研究員)は、「二重染色検査で陰性のHPV陽性女性は、どのくらいの頻度で、またどのくらいの間隔で定期スクリーニングを行うべきか」という命題に取り組むものであると述べた。

研究者らは、前向き研究で、二重染色検査陰性のHPV陽性女性では子宮頸部の前がん病変発生のリスクが確実に5年は少なかったことを10月11日付JAMA Oncology誌に発表した。そして、これらの女性が次回のスクリーニングを受けるまでに、3年間は安全に過ごすことができると結論を下した。

「これは大変重要な研究です。本研究は米国内で初めて行われたもので、二重染色検査は細胞診よりも有用なトリアージ検査であることが保証されています」。バージニア大学医科大学院外科病理学および細胞病理学副学長Mark Stole博士は述べた。

 

米国の子宮がんスクリーニング

性感染によるHPV型には多くの種類があり、そのうちのおよそ12種類が子宮がんやその他数種のがんの原因として知られている。HPV感染症は非常によくみられるものであるが、その多くが免疫システムでコントロールされ、がんには至らない。しかし、感染が数年間持続する場合には細胞が変化し最終的にはがんになる可能性がある。

子宮細胞のHPV感染の検査は、今や細胞の早期変化を検査する標準的な方法として推奨されている。そのため研究者らは、がんの原因となる可能性がありその結果フォローアップが必要になるHPV感染と、経過観察して問題がない感染とを識別する方法を探している。フォローアップの方法にはコルポスコピーがあり、その際、子宮の異常な部分の生検が実施される。生検で確認された前がん病変は、その後数種類ある方法の1つを用いて除去することができる。

子宮がんスクリーニングの最新のガイドラインでは、以下の3つのアプローチのうちの1つを推奨している。細胞診のみ、HPV検査のみ、HPV検査・細胞診2つの併用、である。米国予防医療専門委員会(USPSTF)によると、子宮がんリスクが普通である30歳から65歳の女性は、5年ごとのHPV検査か HPV検査・細胞診併用で問題なくスクリーニングできるという。

歴史的に、細胞診によりスクリーニングを行った全ての国々で、子宮がんの発生が大きく減少した。HPV検査を追加することで、さらにスクリーニングの精度が向上した。しかしこのアプローチにはいくつかの限界もある。

例えばHPV陽性の女性や細胞診で軽微な異常がある女性は、通常すぐにコルポスコピーが適用される。しかし異常が最終的に、子宮頸部前がん病変や子宮がんである割合は低く、これらの女性の多くがコルポスコピーを受ける必要はなかった可能性があることを意味しているとWentzensen博士は説明した 。

これらの限界のため、「HPV陽性女性をもっと効果的にトリアージできる、より有用なマーカーを見つけるよう非常に努力しています」同博士は述べた。

二重染色法は10年以上にわたって研究されてきたとStoler博士は述べた。p16の発現はHPV感染と強いつながりを持ち、Ki-67は前がん病変やがんでみられる急速な細胞分裂のバイオマーカーとして用いられる。

HPV陽性女性に対する見込みのあるトリアージ方法という観点から言えば、二重染色検査は「今利用できる方法ではおそらく最も進んだ方法です」とClarke博士は付け加え、この新研究はエビデンスを増やすことになる、と述べた。

 

HPV陽性女性に対するより良いトリアージ法となる検査の探求

研究を行うために、研究者らはカイザー・パーマネンテ北カリフォルニアで2012年1月から5月の間に既定のHPV検査・細胞診併用を受け、HPV陽性の結果を持つ30歳以上の女性1549人を追跡した。

細胞診が正常、つまり陰性の女性には1年後の併用定期検査を推奨する一方、細胞診が異常、すなわち陽性であった女性にはすぐにコルポスコピーを受けることを勧めている。コルポスコピーの結果では、正常、低度から高度の前がん病変、がんなど病態の範囲を明らかにすることができる。

細胞診を受けた患者の検体を用いて登録時に二重染色検査を行ない、その後5年間追跡した。

全体として研究に参加した女性の46%が二重染色検査陽性であり、51%が細胞診陽性であった。細胞診正常の女性よりも細胞診重度異常の女性が二重染色検査陽性を示すことが多いことを研究者らは発見した。

生検でも同じような結果が得られた。5年にわたる研究期間で、高度の前がん病変を呈した女性の77%と、がんを有する女性の91%が二重染色検査で陽性であった。

さらに研究チームは、細胞診結果と比較して、二重染色検査結果は子宮頸部前がん病変の5年発生リスクをより確かに示していることも発見した。

例えば細胞診陰性の女性と比べて、二重染色検査陰性の女性は5年以内に子宮頸部前がん病変が発生するリスクが低いことなどである。

これは、二重染色検査が陰性であれば、細胞診が陰性であるよりもその後5年間は前がん病変が発生しないだろうという強い安心感が得られるとWentzensen博士は説明した。

逆に二重染色検査陽性の女性は、細胞診陽性の女性よりもその後5年の間に子宮頸部前がん病変が発生するリスクが高い。この所見は、二重染色検査陽性は少数であることを加味して、HPV陽性の女性のトリアージに二重染色検査を用いると、不必要なコルポスコピーの減少につながることを示唆しているとClarke博士は指摘した。

子宮頸部前がん病変の5年発生リスクに基づき、研究者らは二重染色検査陰性の女性が再びスクリーニングを行うのは3年後でよいと判断した。

細胞診の感度を向上させる(前がん病変発生のリスクが高い女性をより、もれなく識別できる)二重染色検査の能力とその特異度(リスクが低い女性をより正確に識別できる)は素晴らしいものであるとStoler博士は述べた。

「感受性と特異性を 向上させる検査を行うことは非常に困難ですが、二重染色は検査の開発が(子宮がんの)生物学を踏まえて行われたためにそれが可能です」と続けた。

 

二重染色について

二重染色検査はすでに市場で取引されており、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどいくつかの国で使用されているとStoler博士は述べた。FDAによる使用認可を受けるための二重染色検査の臨床試験は現在進行中である。

将来的には、初期の子宮がんスクリーニングとしてHPV検査に続いて二重染色検査を行うことがHPV検査・細胞診併用の効果的な代替手段になる可能性があるとWentzensen博士 と Clarke博士は述べた。

二重染色検査関連の製造業者は、進行中の試験で、二重染色検査または細胞診のどちらかで陽性を呈するHPV陽性女性の子宮頸部前がん病変発生機序を分析している。加えてWentzensen博士らは多くのHPV陰性の女性を含む大規模女性集団で二重染色検査の結果を調査している。

「私はこれらの観察研究をもとに、検査方法を変更するための十分なデータが得られると考えています」と同博士は述べた。

さらにその検査はまもなく別の興味深い価値を持つ可能性があるという。二重染色検査の大きな利点は、異常な細胞が染料で強調され、そのために検知、測定しやすくなることであると同博士は述べた。

「現在、二重染色検査は手動で数値を出していますが、私たちはこの分析を自動測定することに取り組んでおり、重要なすばらしい結果を得ています」。二重染色検査を自動化することは、信頼性を高め使用しやすくするだろうという。

翻訳白鳥理枝

監修斎藤 博(がん検診/青森県立中央病院・国立がん研究センター)

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