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術前のイピ・ニボ2剤併用は高リスク3期メラノーマに高い奏効率

本分野において免疫療法という初の臨床試験により、術前化学療法にに二剤併用での免疫チェックポイント阻害薬の使用は可能であるが、現在の治療レジメンを適用するには注意が必要でもあることが示唆された。

手術前のチェックポイント阻害剤の併用(術前補助化学療法)により、高リスク病期3期メラノーマ患者で高い奏効率が得られた。ほぼ半数の患者には手術の時点で病変は消失していた。一方で、副作用の発生率が高かったため本試験は早期に終了した。

この第2相試験はテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが主導した。メラノーマ患者に対する、免疫チェックポイント阻害剤を使用した術前補助化学療法についての初のランダム化比較試験の結果が、Nature Medicine誌で報告された。

患者は、PD-1阻害剤であるニボルマブ、またはニボルマブとCTLA-4チェックポイント阻害剤であるイピリムマブの併用のいずれかを投与された。それぞれの薬剤は、T細胞の別個のオフスイッチを阻害し、免疫システムが自由にがんを攻撃できるようにする。手術後もすべての患者はニボルマブを投与された。

併用群では、11人中8人(73%)の患者に腫瘍の縮小がみられ、5人(45%)は、手術の時点で病変は消失していた(病理学的完全奏効)。73%の患者がグレード3の副作用を有したため、64%の患者に投薬の遅延が発生し、数人の患者においては手術が予定していた時期より遅延した。グレード4の副作用はみられなかった。

ニボルマブ群では、12人中3人(25%)に腫瘍の縮小と病理学的完全奏効、8%の患者にのみグレード3の副作用がみられた。2人の患者は、術前に転移が生じ病期4期へと進行した。

「この試験では、PD-1阻害剤単独による治療によって中程度の奏効率がみられました。われわれはこの群において2人の患者において術前に転移が生じ手術を行うことができなかったことついては懸念しています」と、メラノーマ腫瘍学助教である筆頭著者のRodabe Amaria医師は語った。「チェックポイント阻害剤の併用療法はより有効性が高いものでしたが、その代償として重大な副作用がありました。われわれはこの治療法をより最適なものにする必要があることが、この試験で明らかになりました」。

それぞれの治療群において病理学的完全奏効を達したすべての患者は、以後再発・転移無く経過した。24カ月時点の全生存率は、併用群で100%、ニボルマブ群で75%であった。

「これらの患者における術前補助化学療法の利点は、術前補助療法後に行う手術により病理組織学的な効果の評価が可能であることです。どの腫瘍細胞がリアルタイムに術前補助療法にどの程度反応したか測定することができ、どの患者が将来的に持続的効果が得やすいか予測することができる点です。術前補助化学療法後,手術により腫瘍組織を得て、なぜ腫瘍が治療に反応しない可能性があるのか、その耐性についてより詳しく解析することも可能となります。これにより、将来的には個々の患者に適した治療を行うこともできます」と、本試験の共同統括著者である、病理学およびトランスレーショナル分子病理学准教授のMichael Tetzlaff医学博士(M.D. Ph.D.)は語った。

免疫チェックポイント阻害剤は転移メラノーマに対して有効であり、高リスク病期3期患者に対する手術後の再発リスクを低下させるのにも有効であった。しかし、非臨床モデルにおいて、免疫チェックポイント阻害剤を用いた術前補助療法は、手術後に薬剤を投与する術後補助療法よりも優れているというエビデンスがある。

Amaria医師と、腫瘍外科学およびゲノム医学准教授である統括著者のJennifer Wargo医師は、科学的発見を患者の生命を救う臨床的進歩へと一層発展させるための共同的な取り組みであるMDアンダーソンムーンショットプログラム(商標)を通して、医師主導試験を開始した。

この試験の結果を受けて、研究チームは、試験をニボルマブ+LAG3免疫チェックポイント阻害剤であるrelatlimab[レラトリマブ]の安全性および有効性を探索するように再デザインした。この併用療法はニボルマブ単独よりも有効であり、CTLA-4阻害剤とPD-1阻害剤の併用療法よりも副作用が少ない可能性があると、Amaria医師は考察を報告している。

奏効と耐性のバイオマーカーを特定する

「術前補助療法を行うこの環境は、反応のバイオマーカー、耐性の機序、および、一般的に使用されるこれら2つの治療レジメン(ニボルマブ、ニボルマブ+イピリムマブの併用療法)の異なる効果について研究するのに理想的な状況です」と、がん医学指導者である共同筆頭著者のSangeetha Reddy医師は語った。「この試験において、われわれは既知の反応のバイオマーカーを確認し、われわれが現在研究中の治療効果に関する新規バイオマーカーも観察しました」。

臨床試験中に複数の時点で得られた生検および血液サンプルの解析により,以下が明らかになった。

術前補助療法前(ベースライン)の腫瘍へのリンパ球浸潤の程度および総遺伝子変異量は、治療反応と相関していた。

術前補助療法開始後早期に得られた生検は、ベースラインにおける生検よりも、どのような患者が両方の治療に対して反応するか予測するのに優れていた。

術前補助化学療法として用いられる免疫チェックポイント阻害剤に対する反応や耐性と相関する複数の免疫マーカーにおける多くの差異が、新たな空間プロファイリング技術を用いた分子分析によって特定された。

抗PD-1療法と、CTLA-4阻害剤とPD-1阻害剤の併用療法とを比較すると、奏効例と非奏効例ではT細胞受容体シークエンシングにより異なるパターンが特定された。PD-1単独療法への反応者には、あらかじめ存在するが阻害されているT細胞レパトアが、治療中さらに広範に存在するようになることが示された。一方、併用療法はT細胞レパトアのより多様な変化と関連していた。

この試験は、オランダがん研究所のChristian Blank医学博士(M.D., Ph.D.)とTon Schumacher博士により、前述の術前補助療法の試験に並行して共同実施された。彼らは、類似の患者集団においてCTLA-4阻害剤とPD-1阻害剤を併用した術前補助化学療法と術後化学療法の使用を比較する試験を行った。

「彼らの試験における知見は興味深く、術前補助化学療法を受けた患者では、術後化学療法としてチェックポイント阻害薬を投与された患者よりも多数の腫瘍常在性TCRが末梢血に広く存在することを示しています。このことは非臨床モデルにおいてみられた結果を裏付けるものであり、この知見は、術前補助化学療法がの方が(術後補助療法に比べて)より優れているであろうことを示唆しています」と、Wargo氏は語った。

MDアンダーソンが主導するこの研究チームは現在、これらの試みを調和させるために、国際的なメラノーマ術前補助化学療法共同事業体において世界中の他の人々と協力している。

Bristol Myers Squibb社は薬剤および臨床試験費用を提供した。試験デザイン、試験実施、データ収集、解析、または結果の解釈には関与しなかった。腫瘍および血液サンプルの附随試験には、MDアンダーソンMelanoma Moon Shot(商標)およびパーカーがん免疫療法研究所の資金提供を受けた。

Amaria氏、Reddy氏、Tetzlaff氏、およびWargo氏の共著者は以下のとおりである。Hussein Tawbi M.D., Ph.D., Michael Davies M..D., Ph.D., Isabella Glitza M.D., Ph.D., Wen-Jen Hwu, M.D.,., Adi Diab M.D., Michael K. Wong M.D., Scott Woodman M.D. PhD, Patrick Hwu M.D., Sapna  Patel M.D., Lauren Simpson, R.N., Liberty Posada, all of Melanoma Medical Oncology;  Merrick Ross M.D., Janice Cormier M.D., Richard Royal M.D., Richard Ehlers M.D., Anthony Lucci M.D., Jeffrey Lee M.D., Jeffrey Gershenwald M.D., Elizabeth  Burton, Lauren Haydu Ph.D., Vancheswaran Gopalakrishnan Ph.D., Alexandre Reuben, Ph.D., Miles Andrews, Ph.D.,all of Surgical Oncology; Carol Lewis M.D., Ehab Hanna M.D., Neil Gross M.D., Randal Weber M.D., Stephen  Lai M.D., Amy Hessel M.D., all of Head and Neck Surgery; Jorge Blando, D.M.V., Padmanee Sharma M.D., Ph.D., and Jim Allison, Ph.D., all of Immunology, Denai  Milton  of Biostatistics; Robin Kageyama Ph.D. and Danny Wells Ph.D. of the Parker Institute for Cancer Immunotherapy; Linghua Wang Ph.D., Shaojun Zhang Ph.D., Christine N. Spencer Ph.D. of Genomic Medicine, Alexander  Lazar M.D., Courtney  Hudgens., and Victor Prieto M.D. of Pathology.

翻訳串間貴絵

監修中村 泰大(皮膚悪性腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター)

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