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家族性白血病の遺伝子研究で長年の謎が解明

 

数十年にわたる医学上の謎が、テネシーにあるカリフォルニア大学サンフランシスコ校(USCF)およびセントジュード小児研究病院の研究者らによって解明された。研究チームは家族性血液疾患の原因となる1組の遺伝性遺伝子変異を発見した。この遺伝子変異は時として白血病に至る場合がある。

 

この研究は5家族の兄弟姉妹16人におけるDNA解析に基づいた研究であり、これらの変異を有する小児の中には自然に回復する者がいたことが報告された。また、家族性白血病がより軽度である患者に対して侵襲性が高く危険な骨髄移植を医師が避けるのに役立つ可能性のある別の遺伝子マーカーが示された。

 

家族性白血病を取り巻く謎は、USCFのがん専門医Kevin Shannon医師が、有名なUCSFの遺伝学者であるYuet Wai Kan医師(FRS)率いる研究室の主任研究員であったころの30年以上前に遡る。 Shannon医師らのチームは、家族のうち数名の子供が血球数が少ない状態[骨髄異形成症候群(MDS)]および急性骨髄性白血病(AML、重篤でしばしば死に至る血液のがん)を発症する可能性のある数家族に出会った。通常、2対の第7染色体が存在するところ、これらの患者には1対しか認められなかった。この病状はモノソミー7として知られる。

 

1989年に、当時の最新技術を用いてShannon医師は第7染色体の領域に的を絞ることに成功した。その領域は家族性モノソミー7症候群と呼ばれる病状の原因となっている。この特異的な遺伝子を特定する試みは当時失敗に終わったが、Shannon医師らのチームは同様の病歴を有するその他の家族から血液サンプルの収集・貯蔵を開始した。

 

今回の研究(2018年7月26日、JCI Insight誌にて発表)はShannon医師の研究室に所属する研究者、Jasmine Wong博士が陣頭指揮をとっている。Wong博士は研究室に所属する前にShannon医師が1989年に発表した論文を読み、この10年間、家族性小児白血病の原因となる遺伝学の理解に努めている。

 

「Shannon医師の論文を読んで、親たちにとって、2人以上の子供がこの本当に重篤な白血病にかかってしまう状況になることが、一体どのようなことだろうかと考えました」とWong博士は述べた。「一人目の子供が発症した際、おそらく2人目の子供が骨髄ドナーになるかもしれないと確認しようとするでしょう。その結果、2人目の子供も同じ病気にかかっていることがわかってしまうのです。これは非常にショックです。また、本当に困惑する科学上の謎です。」

 

Wong博士は、Shannon医師が長年にわたり収集してきた家族性モノソミー7症候群の多数の血液サンプルを集めて整理し、遺伝子系統樹あるいは系図を作成した。また、UCSFの小児腫瘍学者Mignon Loh医師の協力を得て新たな患者を特定した。Mignon Loh医師は今回の論文の著者でもある。

 

よくあることだが、Wong博士と統括共著者であるJeffrey Klco医学博士が所属するセントジュード小児研究病院の研究室による協力の結果、今回の貴重な新発見が最終的に得られた。この協力体制では、Jeffrey Klco医学博士と共同筆頭著者であるVictoria Bryant博士が、Wong博士が特定した家族のうち5家族の組織サンプルにおける遺伝性DNA変異についてディープシーケンシングを行った。

 

データから、第7染色体に局在する遺伝子、SAMD9およびSAMD9Lの変異はモノソミー7症候群と強く関連していることが判明した。しかし、患者の健康な兄弟姉妹や両親でこれらの変異を保有しているにもかかわらず何ら症状を示さない者が多数いることも判明している。

 

研究チームは、実際にMDSやAMLの症状を呈した患者はある一連の続発性遺伝子変異も有している事を明らかにした。この一連の続発性遺伝子変異によって症状がより重篤になっているようだ。一方でこれらの変異がない場合、全く症状が出ないことが多い。あるいは血球数が減少し始めるものの治療なしで自然に回復した。

 

この知見はまた、別の血液疾患に関連している可能性がある、と著者らは述べた。「第7染色体上の遺伝子変異はAMLおよびMDS患者に極めて頻繁に認められます。また第7モノソミーに伴う悪性腫瘍の予後は不良で、既存の治療法が奏功しません」とWong博士は述べた。「第7染色体上には860を超える遺伝子があるため、非家族性MSDおよび非家族性AMLにおけるSAMD9SAMD9L の働きについて、また、これらの遺伝子が、第7染色体に局在するその他の遺伝子や、その他の染色体上に局在するがん遺伝子と相互作用する機序について理解できれば興味深いことになると思います。」

 

Shannon医師はこの発見の一端を、30年前のKan医師の指導によるものとしている。「Kan医師は私をとても信用してくれました。当時、Kan医師の研究室は白血病を研究していませんでしたし、研究室開設以来研究したことが無かったのです。それなのに、このまれな白血病を研究したいと希望している若手主任研究員であった私を信じてくれたのです」とShannon医師は述べた。「JasmineやJeffのような若手科学者らは私が渡したバトンを将来につなげてくれています。また、願わくば家族性血液疾患患者の生活と転帰を継続的に向上できればと思います。」

 

Shannon医師は、UCSF小児科の教授であり、臨時的に小児科部長を務めている。また、Pediatric Molecular OncologyのRoma and Marvin Auerback Distinguished Professorである。Kan(Louis K. Diamond)医師はUSCF血液学部長である。Shannon医師、Kan医師の両者はUCSFのヘレン・ディラー・ファミリー総合がんセンターに所属している。Klco医学博士はセントジュード小児研究病院病理学部門の助手である。

 

この研究の詳細についてはセントジュード小児研究病院のプレスリリースを参照のこと。

 

翻訳三浦恵子

監修喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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