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Erdafitinibは、FGFR3変異陽性の進行尿路上皮がんに有望

MDアンダーソン主導の第2相試験では、免疫療法で効果が得られなかった患者にFGFR阻害剤が有効である可能性が示唆される

 

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者主導の国際第2相試験で、FGFR3遺伝子の変異を有する転移性尿路上皮がんあるいは尿管がん患者に対する経口FGFR阻害剤erdafitinib(ERDA)による治療は十分な耐容性および高い奏効が認められた。

 

分子標的治療薬は、以前に免疫療法薬で効果が得られなかった患者群においても有効性が認められ、治療選択肢のない患者にもerdafitinib(ERDA)が有効である可能性を示唆している。この結果は、試験責任医師であり、Genitourinary Medical Oncologyの教授でもあるArlene Siefker-Radtke医師により本日の2018年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表され、また「Best of ASCO」にも選ばれた。

 

「尿路上皮がんの治療選択肢は限られているため、患者に役立つまでにはまだ長い道のりがあります。経口薬であることの利便性を有し、約40%の奏効率を有する治療法があることは、未だ対処されていない必要性を確実に満たすものです」とSiefker-Radtke氏は述べた。

 

膀胱がんの大部分を占める尿路上皮がんは、膀胱、尿管および尿道の内部を覆う尿路上皮細胞に生じる。アメリカがん協会(ACS)によると、この1年間に、米国では81,000人以上が膀胱がんと診断され、これにより17,000人以上が死亡している。

 

数十年間、尿路上皮がんの標準治療はシスプラチンを中心に服用する化学療法であったが、最近では5つの新しいチェックポイント阻害薬が承認されているとSiefker-Radtke氏は説明した。しかし、これらの免疫療法では、腫瘍縮小患者の割合で定義される全奏効率(OR)はわずか15〜20%であると彼女は述べた。

 

Erdafitinibは、FGFR3を含むすべてのFGFRタンパク質の活性を阻害する経口薬である。FGFR3の遺伝的変異は、転移性膀胱がん患者の約15〜20%に認められ、本疾患の進行を促進すると考えられている。さらに、FGFR3変異を有する腫瘍は免疫活性化の徴候を示さないと考えられ、これらの腫瘍が免疫療法にも奏効しない可能性を示す根拠が増えているとSiefker-Radtke氏は説明した。

 

国際非盲検第2相試験では99人の患者が登録され、1日8mgを28日間投与するという最適化されたERDA服用が中央値で5サイクル行われ、著明な有害事象がなければ9mgへの増量が許可された。すべての患者は、FGFR3変異あるいはFGFR2またはFGFR3融合が確認された転移性または外科的に切除不能な尿路上皮がんであった。化学療法を伴う前治療に追加して、またはその代わりに、免疫チェックポイント阻害薬が認可された。

 

治療に関連した有害事象は管理可能であり、患者のわずか10%が症状の悪化により治療を中止した。治療関連死はなく、グレード4の事象もみられなかった。ほとんどの有害事象がグレード1と2であり、高リン血症(血清リン高値)(72人の患者、グレード3以上が2人)、口内炎(口と唇の炎症)(54人の患者、グレード3以上が9人 )、および下痢(37人の患者、グレード3以上が4人)が含まれる。

 

「ERDA治療は十分に耐容可能でした。 投与量の減量はほとんど必要なく、多くの患者は治療を続けることが可能でした」とSiefker-Radtke氏は述べた。「血清リン高値やその他の毒性を示す根拠があったとしても、通常、薬剤投与を継続している期間については、症状を軽減するのに十分なものでした」。

 

ERDAによる治療は、腫瘍の消失を意味する完全寛解が患者の3%、腫瘍の縮小を意味する部分寛解が患者の37%であり、全奏効率40%で当初の目的を達成した。加えて39%の患者が進行することなく安定した状態であった。試験の予備データは、全生存期間中央値が13.8カ月であることを示している。

 

以前に免疫チェックポイント阻害薬の治療を受けていた22人の患者の中で、ERDA治療は59%の患者で全奏効が得られた。

 

「今後の研究による確認が必要になりますが、FGFR変異を有する患者には、免疫療法と比較してFGFR標的療法がより有効かもしれません」とSiefker-Radtke氏は述べた。「われわれは尿路上皮がんの個別化療法の領域に踏み込んでいくという、エキサイティングな時を迎えています」。

 

転移性尿路上皮がんおよびFGFR3変異を有する患者に化学療法あるいはチェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブと比較した際のERDAの有効性を評価する第3相試験が現在進行中である。第2相試験に基づいて、米国食品医薬品局(FDA)は今年初めにERDAを画期的治療法に指定し、これにより転移性尿路上皮がんに対する薬剤の開発と審査が迅速化された。

 

この研究は、Janssen Research&Development、LLCによって資金提供された。 Siefker-RadtkeはJanssenの科学諮問委員会に勤務する。

 

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翻訳橋本奈美

監修峯野知子(薬学・分子薬化学/高崎健康福祉大学)

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