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EGFRエクソン20挿入変異を有する肺がんにPoziotinibが高い奏効率

MDアンダーソンがんセンタームーンショット計画により、EGFRエクソン20挿入変異を攻撃できるpoziotinib(ポジオチニブ)が発見される

 

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでのムーンショット計画により再復活した分子標的療法は、高い治療抵抗性変異を保有する転移性の非小細胞肺がんの患者において、前例のない奏効率をもたらした。

 

第2相臨床試験において、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異が見られる非小細胞肺がん患者11人のうち8人(73%)で、ポジオチニブは腫瘍を少なくとも30%縮小した。部分奏効に達した8人の患者では30%~50%の範囲で縮小が見られた。一人の患者は3月に始まった臨床試験に入った。すべての患者に部分的な腫瘍縮小が認められた。

 

MDアンダーソンがんセンター胸部・頭頸部腫瘍内科の議長であり、がん研究におけるデイビッドブルートンジュニアチェアの所有者である、臨床試験主導者のJohn Heymach医学博士は「われわれは、これまで約2カ月の無増悪生存期間、そして他の治療法では奏効率が20%を下回るこれらの患者に対する効果的な薬剤を持っていなかった」と述べた。

 

Heymach氏は「これらの初期成績は、とても有望な結果である。われわれの研究は、ポジオチニブの構造がこの変異を攻撃するために最適である可能性を示している」と述べた。日本の横浜での第18回国際肺がん学会で、胸部・頭頸部腫瘍内科助教であるYasir Elamin医師により予備的結果が発表された。

 

MDアンダーソンがんセンターの肺がんムーンショット計画(ムーンショット計画の一部として、Heymach氏により共同で進められた)により実施された医師主導型臨床試験では、エクソン20挿入変異を有する患者グループについて、ポジオチニブの同定と開発における最新の結果を示した。2012年に立ち上げられたそのプログラムは、科学的発見に基づいたがんへの新しいアプローチの開発を推進する。

 

非小細胞肺がん患者の約2%(米国では毎年3500人)はEGFRエクソン20挿入変異を保有している。試験には27人の患者が登録し、50人までの登録が見込まれる。米国FDAで承認されているEGFRに対する他のチロシンキナーゼ阻害剤は、いずれもエクソン20挿入変異に対する効果は立証されていない。

 

11人の患者のうち6人は、主には発疹によるが、それだけでなく下痢、粘膜炎、手指爪や足趾の爪周りの組織の炎症である爪囲炎といった副作用が主な原因によりポジオチニブを減量して投与した。

 

前臨床研究は、ポジオチニブ対エクソン20に注目している

ムーンショット計画の一部である薬剤スクリーニングプログラムを通して、Heymach氏のチームがエクソン20に対するその可能性となる根拠を見つけた時、ポジオチニブは肺がんに対する一般的なEGFR阻害剤として試され、断念されていた。

 

博士研究員であるJacqulyne Robichaux博士は、MDアンダーソンがんセンターで2012年から治療された4000人を超える肺がん患者の腫瘍サンプルと詳細な臨床情報を含むGenomic Marker-Guided Therapy Initiative(GEMINI)を活用した。

 

Robichaux氏は、EGFRエクソン20の非小細胞肺がんの細胞株並びに患者由来の異種移植モデルを樹立した。そして肺がんムーンショット既存薬再開発計画の下で、それらに対しさまざまなEGFR阻害剤を評価した。

 

「ポジオチニブは、皆がテストする典型的なEGFR変異であるT790Mに対するよりも、エクソン20に対し飛躍的に良い効果を示すわれわれが発見した唯一の薬剤である」とHeymach氏は述べた。

 

実験治療科の準教授のShuxing Zhang薬学博士と連携する集学的チームは、広範な影響を説明する薬剤の構造的側面を同定した。

 

その後、Heymach氏と共同研究者たちは、最初にポジオチニブを開発したネバダ州のバイオテクノロジー企業であるSpectrum Pharmaceuticals社に接触した。後の協力項目には、進行した疾患を有する何人かの患者に対し、ポジオチニブの人道的使用と第2相臨床試験の迅速な進展が含まれる。

 

肺がんムーンショット計画は、前臨床同定および立証から臨床試験まで当初から資金提供してきた。グループの前臨床研究を記述した学術論文は、主要雑誌で審査中である。Spectrum社は、ポジオチニブを提供し、試験に部分的に資金提供した。

 

MDアンダーソンがんセンターの発見に基づき、その施設が、これらの変異を有するがんの治療のためのポジオチニブ使用に関する知的所有権を構築している。

 

Heymach、Elamin, Robichaux and Zhangの他の共著者は以下のとおりである。
胸部・頭頸部腫瘍内科のVincent Lam, M.D.、Anne Tsao, M.D.、Charles Lu, M.D.、George Blumenschein, M.D.、Jonathan Kurie, M.D.、Monique Nilsson, Ph.D.
実験治療科のZhi Tan、Baltimore
John HopkinsにあるBloomberg-Kimmel がん免疫療法施設のJulie Brahmer, M.D.,
Yale School of MedicineのAnna Truini, Ph.D.とKaterina Politi, Ph.D.,
Colorado School of Medicine大学のAdriana Estrada-BernalとRobert Doebele, M.D., Ph.D.
Perlmutter Cancer Center at New York University Langone Medical Schoolの
Shengwu Liu, Ph.D.とTing Chen, Ph.D.、Shuai Li, M.D.、Kwok-Kin Wong, M.D., Ph.D.
ネバダ州のヘンダーソンにいる構造薬学のZane Yang, M.D.,
Zhi Tan はまたMD Anderson UTHealth Graduate School of Biomedical Sciencesの卒業生である。

翻訳中野 駿介

監修稲尾 崇 ( 呼吸器内科/天理よろづ相談所病院 )

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