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腸内マイクロバイオームがメラノーマの免疫療法に影響を及ぼす

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腸内マイクロバイオームがメラノーマの免疫療法に影響を及ぼす

MDアンダーソン 月刊OncoLog誌2017年7月号

MDアンダーソン OncoLog 2017年7月号(Volume 62 / Issue 7)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

免疫チェックポイント阻害剤に反応を示す転移メラノーマ患者の腸内細菌遺伝子特性には特徴がある

個々の腸内マイクロバイオームは1兆個以上の細菌や微生物で構成されるが、がんなどのさまざまな疾患によって変化しうる。腸内マイクロバイオームとがんとの関連性は依然としてほとんどわかっていないが、研究者らは、転移メラノーマ(悪性黒色腫)患者におけるマイクロバイオームと免疫療法に対する反応との関連性を明らかにした。

 

ここ数年で、腸内マイクロバイオームとそれが健康維持に与える影響について多くのことが分かってきた。これまで、米国、中国、そして欧州の試験責任医師らは、数百人の微生物のゲノム塩基配列を決定し、数百万の遺伝子を分類した。

 

つい最近、前臨床研究によってメラノーママウスにおけるマイクロバイオームと免疫チェックポイント阻害剤に対する反応との関連が示された。この結果をヒトで再現できるかどうかを調べるため、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターの腫瘍外科およびゲノム医療科准教授でMelanoma Moon Shot Programの共同リーダーのJennifer Wargo医師(M.M.Sc.)が率いる研究者らは、転移メラノーマ患者における腸内細菌遺伝子特性と免疫チェックポイント阻害剤に対する反応との関連性について調査した。

 

「われわれの研究結果は重要な意味を持っており、免疫チェックポイント阻害剤での治療の前に患者の腸内マイクロバイオームのプロファイリングをした方がよいのではないかということを示しています」とWargo氏は述べた。「さらに、われわれのデータは、免疫チェックポイント阻害剤に対する反応を高めるために、腸内マイクロバイオームを調節できるかもしれないということも示しています」。

 

バイオマーカーの探索

Wargo氏らは、免疫チェックポイントタンパク質PD-1(プログラム細胞死タンパク質1)を阻害する薬剤に反応を示すバイオマーカーを同定するために尽力してきた。「抗PD-1療法は、転移メラノーマ患者の多くに有効ですが、すべての患者に有効なわけではありません」とWargo氏は述べた。「しかも、反応が持続しない患者もいます。われわれは、奏効率を高める方法だけでなく、反応の持続性を高める方法も解明したいと考えています」。

 

大規模試験の一環として、研究者らは、PD-1阻害剤での治療の前に転移メラノーマ患者から口腔および糞便検体を採取した。細菌分類群を同定するための標準的な技術である16S rRNA遺伝子の塩基配列決定により、各患者の腸内細菌叢の特性を明らかにした。

 

Wargo氏らは、固形がんの治療効果判定のためのガイドラインを用いてPD-1阻害剤に対する患者の反応を評価し、解析のために患者を2グループ(奏効者および非奏効者)に分類した。「この試験に入る前、われわれは治療に対する反応と関連する特定の腸内細菌特性を同定することを期待していました」とWargo氏の研究所の大学院生研究助手のVancheswaran Gopalakrishnan氏(B.D.S.)は述べた。

 

PD-1阻害剤に対する奏効者30人および非奏効者13人の早期解析の結果が、2017年米国臨床腫瘍学会・がん免疫学会臨床免疫腫瘍学シンポジウムで発表された。口腔マイクロバイオームでは差は認められなかったが、PD-1阻害剤に対する奏効者は非奏効者と比較し、治療前の腸内マイクロバイオームにおいて、細菌全体の多様性の高さとルミノコッカス科に属する細菌の割合の高さが認められた。対照的に、非奏効者の腸内マイクロバイオームはバクテロイデス目に属する細菌が豊富であった。

 

「これらの結果に基づき、免疫チェックポイント阻害剤に対する奏効者と非奏効者の腸内マイクロバイオームには明らかな特性が存在すると感じています」とGopalakrishnan氏は述べた。「そしてこれらの特性は治療に対する反応に影響する可能性があります」。

 

今後の取り組み

「われわれの結果は、免疫療法に対する反応を予測するための腸内マイクロバイオームの多様性と構成のさらなる特徴づけ、および治療効果を高めるための腸内マイクロバイオームの調節、というさらなる2つの研究領域を示しています」とWargo氏は述べた。

 

Wargo氏、Gopalakrishnan氏らは、治療反応に関わる可能性のある機序を解明するためにすでに複合的な技術を用いている。例えば、全ゲノム・ショットガン法は、今回の試験における奏効者と非奏効者の腸内マイクロバイオームの機能的能力の差などの、さらなる差を明らかにする可能性がある。

 

研究者らは、治療反応に対する腸内マイクロバイオームの影響についてさらに理解するために尽力するとともに、転移メラノーマ患者の腸内マイクロバイオームを、より有益な腸内マイクロバイオームを生成するために変更する臨床試験を計画中である。研究者らは、この有益な細菌遺伝子特性が、患者がPD-1阻害剤に対して反応する可能性を最大限に高めると考えている。

 

【画像キャプション訳】

MDアンダーソンの研究者らは、免疫チェックポイント阻害剤に反応したメラノーマ患者と反応しなかった患者の腸内細菌遺伝子特性の差を明らかにした。例えば、反応しなかった患者の腸内マイクロバイオームは、Bacteroides biacutis(写真)などのバクテロイデス目に属する細菌が豊富であった。画像は米国疾病対策予防センター/V.R. Dowell Jr.氏(1972)の厚意による。

 

For more information, contact Dr. Jennifer Wargo at 713-745-1553 or jwargo@mdanderson.org.

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳生田 亜以子

監修小宮 武文(腫瘍内科/カンザス大学医療センター)、、

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