乳癌生存患者の長期的見通しが有意に改善:再発リスク低減のため、タモキシフェン5年投与後にレトロゾールの服用を検討すべきであると結論 | 海外がん医療情報リファレンス

乳癌生存患者の長期的見通しが有意に改善:再発リスク低減のため、タモキシフェン5年投与後にレトロゾールの服用を検討すべきであると結論

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乳癌生存患者の長期的見通しが有意に改善:再発リスク低減のため、タモキシフェン5年投与後にレトロゾールの服用を検討すべきであると結論

米国国立がん研究所(NCI) 臨床試験結果

New Treatment Significantly Improves Long-Term Outlook for Breast Cancer Survivors:International clinical trial concludes women should consider taking letrozole after five years of tamoxifen treatment to continue to reduce risk of recurrence
(2003/10/9、最終更新:2004/6/10)海外臨床試験によると、5年間タモキシフェン療法終了後レトロゾールを服用した閉経後の早期乳癌の生存者は、プラセボ服用女性に比べ、著しく再発リスクが減少した。

 

 

2004年6月10日更新
ニューオーリンズで開かれているASCO年次総会において、2004年6月8日、レトロゾールの多国間臨床試験の最新解析結果が発表されました。現在入手可能な中央値2.5年までの追加フォローアップをあわせた解析において、診断時のリンパ節転移の有無(リンパ節陽性およびリンパ節陰性)にかかわらず、癌の局所および遠隔再発率および新しい乳癌の発生を低減させるのに、レトロゾール(フェマーラ)が有効であることが明らかとなりました。乳癌の遠隔転移率はプラセボと比較して40%低下していました。今回の追加フォローアップをあわせた新解析でさらに重要だったのは、リンパ節陽性患者の全般的生存率がレトロゾールの場合39%改善していたことです。

 

NCI Cooperative Group 乳癌臨床試験グループコーディネーターの Jeffrey Abrams医師は、「追加フォローアップにおいて骨折や心臓に関わる副作用の増加が認められなかったということは、生存率に関する朗報と同じくらい、非常に興味深い点であると言えます。リンパ節陰性患者においては生存率の有利性はまだ明らかになっていませんが、その結果はリンパ節陽性腫瘍で認められたものに匹敵しています。」と、述べました。

 

本試験の患者のフォローアップはさらに10年から15年間継続します。患者に対するタモキシフェン投与を、レトロゾールのようなアロマターゼ阻害薬にどのタイミングで切り替えるのが最適か、またこのような薬剤をどれくらいの期間投与すべきか、といった点について検討するための試験がさらに計画中または実施中です。

 

原文
カナダのグループが行った多国間臨床試験において、最初の5年間タモキシフェン投与を受けた後レトロゾールを投与した閉経後初期乳癌患者の生存者では、プラセボ投与を受けた患者と比較して癌再発率が有意に減少していることが明らかとなりました。本試験の結果は本日のオンライン版the New England Journal of Medicine 先行掲載されています。

 

結果が良好であったので臨床試験は早期に中断され、試験に参加していた世界中の5,187例の患者に通知されました。レトロゾール投与群の患者はそのまま投与を継続し、プラセボ投与群の患者は希望すればレトロゾール投与を受けることができるようになりました。

 

「乳癌治療における今回の重大な進歩は、何万人もの患者の見通しを改善するであろう。これは、腫瘍細胞の重要な代謝経路を阻害する薬剤を用いて癌の進行を遮断する能力のもうひとつの例である。」と、本試験をアメリカ合衆国で実施したNCI部長がAndrew von Eschenbach医師が述べています。研究者達により、タモキシフェン療法を5年間受けた後レトロゾール投与を受けると癌なしで生存できる可能性がかなり高くなることがわかりました。全体では、プラセボ投与の132例で再発が認められたのに対し、レトロゾール投与群では75例でした。全般的にみれば、レトロゾールは再発率を43%低減し、試験に参加してから4年間にプラセボ投与群では13%が再発したのに対し、レトロゾール投与群では7%だけでとなりました。乳癌による死亡も減少しました。プラセボ投与を受けた乳癌患者17例が死亡したのに対し、レトロゾール投与群では9例でした。

 

タモキシフェンは閉経後乳癌患者の乳癌再発予防に広く用いられてはいるものの、5年を経過すると効果を示さなくなります。研究者の間では、これは腫瘍が耐性を持ち始めるのがその理由であると考えられています。トロントのPrincess Margaret病院Paul Goss医師は以下のように述べています。「乳癌再発患者の半数以上は、初期診断後5年以上経過後に再発しています。再発の危険性を減らすために、タモキシフェンを5年間使用することが我々にできる限界なのだと長年の間考えてきました。タモキシフェン使用後の現在の乳癌再発数とその死亡数を約半数に減らすことによって、今回の我々の試験が希望の新時代への先導役となるでしょう。」 Goss医師は乳癌治療と予防に対する新規ホルモン療法の有数の専門家ですが、今回のレトロゾール多国間試験を着想し、議長を務められました。

 

乳癌治療のホルモン療法のひとつであるレトロゾールは、多くの乳癌において主要な成長刺激因子であるエストロゲンを作るアロマターゼという酵素の能力を制限することにより作用を現します。

 

メイヨークリニックの癌専門医であるJames Ingle医師は、「今回の結果に基づけば、タモキシフェン投与を約5年間受けたホルモン受容体陽性腫瘍のすべての閉経後患者は、乳癌再発リスクを低減するために、レトロゾールの服用について医師と相談した方がよい。」と、述べています。ミネソタ州RochesterのIngle医師は合衆国での本試験を指揮しました。

 

アメリカNCIおよびNCI臨床試験Cooperative Groupとの共同で、カナダ癌学会の資金によって、Queen’s大学のカナダ臨床試験グループカナダ国立癌研究所により本臨床試験が調整されました。レトロゾール(これはフェマーラRとして知られています)を製造するノバルティス社により、臨床試験に用いる薬剤が提供されました。

 

患者の試験への参加期間は平均2.4年、最長は5年でした。レトロゾール投与を受けた患者ではそれまでに罹患した側の乳癌の再発数の減少、反対側での新規の乳癌発症数の減少、および胸部以外への癌の拡散例数の減少が本試験において明らかとなりました。

 

レトロゾールは1日1回投与の薬剤ですが、この薬の副作用は閉経期中の女性に起こるものと非常によく似ています。試験参加症例において、副作用は全般的に軽度なものでした。レトロゾールの長期使用が骨強度や他の臓器に及ぼす影響をさらに徹底的に評価するために、試験に参加した患者を引き続き追跡することになります。これらの影響がよくわかるまでは患者をよく調査しなければなりません。

 

「カナダ癌学会はこの試験で重要な貢献ができたことを喜ばしく思っています。今年1年で2万人以上のカナダ人女性が乳癌と診断され、そのうちの過半数が本薬剤に適しているでしょう。すなわち、これらの患者達の未来に癌がない見込みは大いに改善されるのです。」このように述べているのはカナダ癌学会Cancer Control PolicyのBarbara Whylie医師です。

 

NCI Cooperative Group 乳癌臨床試験コーディネーターのJeffrey Abrams医師は、「今回の大規模試験は1988年に始まったばかりですが、臨床の現場を変えるような重要な結果がすでに得られています。これは試験に参加した患者と医師の努力のおかげであり、非常に多くの人々の生命によい影響を与えるものとなるでしょう。」と、述べています。

 

臨床試験に参加した患者は、カナダ、合衆国、イギリス、ベルギー、アイルランド、イタリア、ポーランド、ポルトガルおよびスイスの病院や癌センター、および癌施設を通じて組み入れられました。EORTCと国際乳癌研究グループが臨床試験のうちヨーロッパで行った部分を調整しました。

 

カナダ癌学会はカナダでは最も大きい癌研究の慈善基金であり、Canada Clinical Trials Group NCIの援助を通じて臨床試験の基金となっています。

 

(しげどん 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

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