FDAがC型慢性肝炎にVoseviを承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日、C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子1型~6型を有し、肝硬変(肝臓病)を認めないか、軽度の肝硬変を認める成人の治療薬として、Vosevi(商品名)を承認した。Voseviは、既承認薬の2剤(ソホスブビル、velpatasvir)と新薬voxilaprevirを配合する固定用量の錠剤である。HCVに対して、NS5Aと呼ばれるタンパク質を阻害する直接作用型の抗ウイルス 剤ソホスブビルまたは他剤による治療歴がある患者を対象とした承認ではVoseviが最初となる。

「直接作用型抗ウイルス薬によってHCVの増殖は抑制され、多くの場合、HCV感染は治癒します。Voseviを使用することで、過去に、他のHCV薬による治療で効果がなかった患者の治療選択肢が広がります」と、FDA医薬品評価研究センター抗菌剤室(Office of Antimicrobial Products)長のEdward Cox医学博士は述べた。

C型肝炎はウイルス性疾患であり、肝機能障害または肝不全の原因となりうる肝臓の炎症を引き起こす。米国疾病対策予防センターの推定によると、米国では270万人~390万人が慢性HCVに感染している。長期にわたり慢性HCV感染症を患っている患者の中には、黄疸(眼球や皮膚の黄染)や、出血、腹水貯留、感染症、肝臓がんなどの合併症を発症したり、死亡する可能性がある。

6タイプ以上の異なるHCV遺伝子型またはウイルス種が存在するが、これらは遺伝的に異なるウイルス群である。ウイルスの種類を把握することにより、推奨治療の情報を得ることができる。HCVを保持する米国人の約75%が遺伝子1型、2025%が遺伝子2型または3型に感染している。また、少数の患者が遺伝子4型、5型または6型に感染している。

肝硬変を認めない、または軽度の肝硬変を認める成人約750人が参加した2つの第3相臨床試験において、Voseviの安全性および有効性を評価した。

1つ目の試験は、過去にNS5A阻害剤投与で治療効果が得られなかった遺伝子1型の成人患者にVosevi12週間投与し、プラセボ投与群と比較した。なお、遺伝子2型、3型、4型、5型または6型の患者は全員がVosevi投与を受けた。

2つ目の試験は、過去にソホスブビル投与で治療効果が得られなかった(NS5A阻害剤は除く)遺伝子1型、2型、3型の成人患者にVosevi12週間投与し、既承認薬のソホスブビル+velpatasvir投与群と比較した。

両試験の結果、12週間の治療終了後の血液検査において、Vosevi投与群患者9697%でウイルスが検出されなかったことから、患者のウイルス感染は治癒したことが示唆される。

Voseviの推奨治療は、ウイルスの遺伝子型や治療歴によって異なる。

Vosevi投与患者に最も多くみられた有害反応は、頭痛、疲労、下痢、悪心であった。

リファンピシンを服用中の患者に対し、Vosevi投与は禁忌である。

B型肝炎ウイルス(HBV)およびHCVに重感染している成人患者で、HCV直接作用型抗ウイルス薬で治療中か治療が終了し、HBV抗ウイルス薬の投与を受けていなかった患者に、HBVの再活性化が報告されている。直接作用型抗ウイルス薬で治療された患者に発症するHBVの再活性化は、一部の患者で重篤な肝障害が生じることや、死亡につながる可能性がある。医療専門家はすべての患者に対し、Vosevi投与開始前に、現在のHBV罹患状況または既往歴の有無について検査しなければならない。

FDAは本申請に対し、優先審査および画期的治療薬指定を認めた。

FDAGilead Sciences Inc社に対しVoseviを承認した。

翻訳担当者 岐部幸子

監修 関屋 昇(薬学博士)

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