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進行前立腺癌において化学療法が生存期間を延長する初のエビデンス

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進行前立腺癌において化学療法が生存期間を延長する初のエビデンス

米国国立がん研究所(NCI) 臨床試験結果

First Evidence That Chemotherapy Extends Life in Advanced Prostate Cancer
(2004/6/7)ホルモン治療に奏効しなくなった進行前立腺癌患者において、ドセタキセルを含む化学療法レジメンは生存期間中央値2-3ヶ月延長したと2つの大規模な第3相試験で示された。これらは、前立腺癌で化学療法が生存期間を改善しうることを示した初めての臨床試験である。

 

要約
製剤docetaxelを含んたレジメンの化学療法はホルモン療法が効かなくなった進行前立腺癌の患者の生存期間の中央値を2ヶ月から3ヶ月伸ばすことが2つの大規模第3相試験で確認されました。これらは化学療法により進行性前立腺癌患者の生存を延長することが可能であることを立証した初めての臨床試験です。

 

出典
2004年6月7日のAmerican Society of Clinical Oncologyの年次総会。

 

最終的な結果は2004年10月7日にNew England Journal of Medicine (ジャーナル要旨参照)

 

背景
前立腺癌の成長を促す男性ホルモンテストテスロンの体内におけるレベルを下げる療法はすでに他臓器に転移した前立腺癌の主な治療です。しかしながら、多くの患者が、2年から3年の治療後ホルモン療法に反応しなくなります。 現在、ホルモン療法が効かなくなった進行性前立腺癌に対する効果的な療法はありません。

 

製薬のプレドニゾンと mitoxantroneを使った化学療法は骨まで転移した進行前立腺癌の患者の痛みを減少させましたが、このレジメンは、生存期間の延長にはなりませんでした。これまで行われてきた異なった薬剤を使用した化学療法は患者の生存期間をのばす薬剤の確証や組み合わせの薬剤を見つけることができませんでした。

 

試験1(Southwest Oncology Group 他)
この試験はホルモン療法による反応が見られなくなった770人の進行前立腺癌の男性で行われました。対象はdocetaxelとestramustine群、プレドニゾンとmitoxantrone群に、無作為に割り付けられ治療がおこなわれました。後者の治療はホルモン療法による反応が見られなくなった前立腺癌患者に対して行われる現在唯一の承認された治療です。試験はSouthwest Oncology Group (SWOG)の主導の下に、国立癌研究所によって援助された多くの協力団体によって行われました。 (プロトコル概要参照) (See the protocol summary.)

 

試験1結果
平均32ヶ月の追跡後に、docetaxelとestramustineの投与を受けた男性の生存期間の中央値は18ヶ月でした。一方、プレドニゾンとmitoxantroneの投与を受けた男性の生存期間の中央値は16ヶ月でした、と主導の研究者、ニューヨークのコロンビア大学Daniel Petrylak博士は語っています。 docetaxelとestramustineの投与を受けた男性の病気の進行は2倍(6ケ月対3ケ月)遅くなりました。

 

重篤な副作用、特に胃、心臓障害は、docetaxel/estramustineグループにおいて、より頻繁に起こりました。しかしながら、化学療法から起こった副作用による死亡数は両方のグループではほぼ同様でした。

 

前立腺特異抗原(PSA)は、前立腺癌の男性で増加する酵素であり、 そのレベルはdocetaxel/estramustine の治療を受けた患者は、標準治療を受けた患者より減少しました、とPetrylakは加えました。 (ジャーナルの要約参照) (See the journal abstract.)

 

試験2 (Aventis Pharmaceuticals, Inc.)
この研究は米国、カナダ、ヨーロッパ、およびラテンアメリカの1,006人の男性の参加により行われました。 SWOG試験のように、すべての参加者はホルモン療法による反応が見られなくなった進行性前立腺癌でした。 対象者は無作為に3つの治療グループに割り付けられました:

・ 1番目のグループは毎週プレドニゾンとdocetaxelの投与を受けました。
・ 2番目のグループは3週間毎に高用量docetaxel、とプレドニゾンの投与を受けました。
・  3番目のグループは3週間毎のプレドニゾンとmitoxantroneの標準的な投与を受けました。
この試験はAventis Pharmaceuticals社.によって支援されました。(docetaxelの製造元)

 

試験2結果
平均20.7カ月間、患者の追跡が行われました。 3週間の投与間隔で、docetaxelとプレドニゾンの治療を受けた患者の生存期間の中央値は18.9カ月でした。 一方、毎週docetaxelの投与をうけた患者の生存期間の中央値は17.4カ月でした。 プレドニゾンとmitoxantroneでの治療を受けた患者の生存期間中央値は16.5カ月でした。

 

白血球カウントの減少は3週間のdocetaxel/プレドニゾン治療をうけた患者が最も多く見られたにもかかわらず、それらの感染症と倦怠感のレベルは他のグループと同様でした。

 

Study1のように、docetaxel治療群では、より多くの患者のPSAレベルが、プレドニゾン+mitoxantrone治療群と比べ。下がったとボルチモアのジョーンズ・ホプキンス大学のマリオ・アイゼンベルガー主責任医師は言いました。(ジャーナル要約参照) (See the journal abstract.)

 

この研究の調査結果に基づいて、ホルモン療法からの効能がもはや見られない進行性前立腺癌の治療に、米食品医薬品局は、プレドニゾンとの併用によるdocetaxelを最近承認しました。 SWOG試験(試験1)は、承認を支持するために追加データを提供しました。

 

制限事項
ASCOプレゼンテーションでの議論で、Vanderbilt-Ingram 癌センターのブルース.ロス医師.は、「まだ進行していない前立腺癌の化学療法のルーチン使用を指示するものではない」とその結果を警告しました。

 

コメント
化学療法をより早期の前立腺癌患者に施すことが、比較的早期の患者の生存を伸ばすのかどうかは、現在試験に参加者を登録中のいくつかの第3相臨床試験で調査されている課題です。しかし、Petrylak氏は、これらの調査の結果、ホルモン療法に抵抗力がついた進行性前立腺癌患者にとって「docetaxelは確実に新しい標準治療法です」と言いました。「これらの結果は将来への自信と希望です。」と、アイゼンベルガー氏は又、進行性前立腺癌に化学療法が奏効しないだろうという懸念を解消するとも言いました。進行前立腺癌などの非常に重篤な病気において生存期間中央値が2ヶ月から3ヶ月の延長を達成するということは、その治療は非常に効果があるということですと言い足しました。

 

(HAJI 訳・平 栄(放射線腫瘍科)監修)

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