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精巣がんサバイバーに多いテストステロン低下が健康問題と関連

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精巣がんサバイバーに多いテストステロン低下が健康問題と関連

米国臨床腫瘍学会(ASCO)

ASCOの見解

「現在、精巣がんは20人中19人の割合で治癒可能ですが、非常に多くの精巣がんサバイバーでテストステロンの低下がみられ、ほかの健康面に影響を及ぼす場合があります。本試験およびほかの試験に基づき、臨床医は精巣がんサバイバーにテストステロン低下の症状がないか尋ね、それに関連した健康問題の徴候がないか注意すべきです」と、ASCO専門委員Timothy D. Gilligan医師(理学修士)は語った。

 

ある大規模試験で、精巣がんサバイバー491人のうち38%が性腺機能低下症として知られるテストステロン低下の状態にあった。テストステロン値が正常であるサバイバーと比較して、テストステロン値が低下しているサバイバーは高血圧、糖尿病、勃起機能不全、および不安やうつ状態など、多岐にわたる慢性的な健康問題を有する傾向が高かった。

 

本試験は本日の記者会見で紹介するとともに、2017年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表する予定である。

 

「精巣がんは若年齢層で発症し、治癒する可能性が高いため、多くのサバイバーは50年以上生存する可能性があります。われわれの知見は、臨床医が精巣がんサバイバーに性腺機能低下症の身体的な徴候または症状がないか観察し、そうした徴候または症状を呈するサバイバーのテストステロン値を測定する必要性を明確に示しています」と、試験の筆頭著者で、インディアナ州インディアナポリスのインディアナ大学School of Medicine助教であるMohammad Issam Abu Zaid医師(MBBS)は述べた。

 

テストステロン低下は精巣がん診断時に認められる場合もあれば、外科手術または化学療法の副作用として発生する場合もある。テストステロン低下が精巣がんサバイバーにはかなり高い割合で起きていることは以前からわかっていたが、本試験は北米の患者におけるテストステロン低下と、長期にわたる健康上の合併症との関連性を初めて検討した試験の一つである。

 

試験について

この解析はPlatinum試験に参加した最初の患者491人によるものであり、同試験は、世界中の精巣がんサバイバーを対象とする最大規模の試験を目指しており、すでに1,600人以上のサバイバーが登録済みで、今もなお積極的に登録者を募っている。患者はすべて、化学療法を受けており、がんと診断された時点で55歳未満であった。臨床評価時年齢の中央値は38歳であった。

 

Platinum試験の目標は、精巣がん治療のためにシスプラチン化学療法を受けた男性の生涯を通じた健康状態を追跡することである。研究者は包括的な質問票を回収し、血液サンプルを採取すると同時に、血圧や聴力検査などの基本的な測定を行って、健康情報を収集する。本試験は神経障害や聴力喪失などの長期間にわたる健康問題を起こす可能性を高める遺伝子の特定も目的としている。本試験は米国国立がん研究所および米国国立衛生研究所から資金を受けている。

 

主な知見

サバイバー491人のうち38%はテストステロン低下がみられたか、テストステロン補充療法を受けていた。過体重または肥満は、高年齢とともに、低テストステロンの可能性の高さに関連していた。研究者はまた、(性ホルモン結合グロブリン遺伝子内での)ある遺伝子異常が一部の男性においてテストステロン低下になる素因となりうることを見出した。しかし、このことはより大きな規模の試験で確認する必要がある。激しい運動を行うサバイバーはテストステロン値が高い傾向がみられた。

 

テストステロンが低下している精巣がんサバイバーはテストステロンが正常であるサバイバーと比較して、以下の症状に対して薬剤を服用している割合が高かった。

・高コレステロール(20%対6%)
・高血圧(19%対11%)
・勃起機能不全(20%対12%)
・糖尿病(6%対3%)
・不安またはうつ(15%対10%)

 

「これらの健康問題の一部は、一般集団および精巣がんサバイバーに対するいくつかの試験における男性のテストステロン低値と関連があることが以前からわかっていました。しかし、本試験は現時点で最も包括的な試験の一つです。われわれは異なった15項目の健康状態を観察しています」とAbu Zaid医師は述べた。

 

次の段階

研究者はこのサバイバー群の追跡を継続し、現時点までに本試験に参加したサバイバー1,600人全員へ解析を拡大する予定である。また、最終的には、外科手術だけで治癒したサバイバー群を登録し、有害な健康結果の発生に対する影響を外科手術対化学療法で解析し、さらにテストステロンの値を検討する計画を立てている。

 

本試験は米国国立衛生研究所の資金を受けた。

 

全要約はこちら

 

原文掲載日

翻訳有田 香名美

監修榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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