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免疫療法が有効な神経芽腫患者をバイオマーカーで特定

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免疫療法が有効な神経芽腫患者をバイオマーカーで特定

米国がん学会(AACR) AACR2017

高リスク神経芽腫患者の中で、特定の組み合わせの遺伝子型を有した患者は、イソトレチノイン治療に免疫療法を追加することで十分な利益を得たが、その組み合わせを欠いた患者では免疫療法の利益を受けたかどうかは不明であるとのランダム化第3相臨床試験の結果が2017年 4月1日〜5日開催の米国がん学会(AACR)年次総会で発表された。

 

以前に報告された226人の第3相臨床試験のデータでは、イソトレチノインにジヌツキシマブ[dinutuximab](商品名:Unituxin)、アルデスロイキン[aldesleukin]およびサルグラモスチン[sargramostim]などの免疫療法を追加することにより、高リスク神経芽腫患者の無イベントおよび全生存率の有意な改善が示された。これらのデータにより、米国食品医薬品局(FDA)は、本適応にてこのジヌツキシマブ療法を承認した。

 

しかし、免疫療法を受けたすべての患者が奏効したわけではなく、また多くの患者に重大な有害事象が認められた。

 

われわれは、NK細胞と呼ばれる免疫細胞に関連する特定の遺伝子型(KIR/KIR-リガンド遺伝子型)により、高リスク神経芽腫患者の免疫療法への反応性を予測できるかを判断したかったのです」とマディソンにあるウィスコンシン大学医学部・公衆衛生学部ヒト腫瘍科の副研究員であるAmy K. Erbe博士は述べた。「免疫療法の奏効の指標となるバイオマーカーを特定することで、奏効する可能性の低い患者を有害事象の可能性から救うことができ、将来的には、患者の個別化治療を可能にするかもしれません」。

 

「われわれのデータは、特定の組み合わせのKIR/KIRリガンド遺伝子型により免疫療法の有用性を予測しうる可能性があることを示しています」とErbe氏は続けた。「しかし、KIR/KIRリガンド遺伝子型に基づいて高リスク神経芽腫患者の臨床的意思決定を考慮する前に、これらの知見を検証する必要があります」。

 

Erbe氏らのグループは、解析可能な十分なDNAを有した第3相試験の174人よりKIR/KIR-リガンド遺伝子型を決定し、特定の遺伝子型が無イベントおよび全生存率に関連しているかを評価した。

 

KIR2DL2/HLA-C1遺伝子型およびKIR3DL1/HLA-Bw4遺伝子型ともに陽性であった49人の患者のうち、23人がイソトレチノイン+免疫療法、26人がイソトレチノイン単独投与を受けた。研究者らは、イソトレチノイン+免疫療法を受けた患者は、無イベントおよび全生存率が有意に改善したことを見出した。5年間で免疫療法併用群では、無イベント生存率が27%から61%に、全生存率が34%から91%に改善した。

 

KIR2DL2/HLA-C1遺伝子型およびKIR3DL1/HLA-Bw4遺伝子型ともに陰性であった125人の患者のうち、65人がイソトレチノイン+免疫療法、60人がイソトレチノイン単独投与を受けた。2つの治療群間で無イベントまたは全生存率のいずれにも有意差はなかった。 5年間での無イベント生存率は、免疫療法+イソトレチノイン投与群で57%、イソトレチノイン単独投与群で53%、全生存率は両治療群とも68%であった。

 

「われわれのデータは、免疫療法併用後の治療効果の差に関連するKIR/KIR-リガンド遺伝子型を同定するだけでなく、KIR/KIR-リガンド相互作用、すなわちNK細胞によって調節される免疫細胞が、この免疫療法治療の抗がん効果に主要な役割を果たすことも示しています」とErbe氏は述べた。「NK細胞の関与を示すことは、治療法を理解するのに役立ち、改善の手がかりを提供するため重要なことです」。

 

Erbe氏によると、本研究の主な限界は、2つの治療群の患者数が比較的少なく、異なるKIR/KIR-リガンド遺伝子型を有するサブグループがさらに小さくなったことである。したがって、この単一の研究から得られた結論は決定的なものとはみなされず、検証される必要があると彼女は説明した。

 

本研究は、Hyundai Hope on Wheels Grant, Midwest Athletes Against Childhood Cancer, Stand Up To Cancer, The St. Baldrick’s Foundation 、米国がん学会(AACR)、ウィスコンシン大学カルボーンがんセンター、国立がん研究所公衆衛生局から資金援助を受けている。Erbe氏は利益相反がないことを宣言している。

原文掲載日

翻訳橋本奈美

監修林正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

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