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シスプラチンによる化学療法不適格な尿路上皮がんの一次治療に対するアテゾリズマブを優先審査

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シスプラチンによる化学療法不適格な尿路上皮がんの一次治療に対するアテゾリズマブを優先審査

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

進行性膀胱がんおけるアテゾリズマブについて2回目の優先審査が許可された

 

2017年1月8日、ロシュ・グループの一員であるGenentech社は、米国食品医薬品局(FDA)が、Genentech社の生物製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理し、atezolizumab[アテゾリズマブ](TECENTRIQ[テセントリク])の優先審査を承認したことを公表した。その適応は、未治療(一次)あるいは術前または術後補助化学療法の12カ月以降に疾患が進行し、シスプラチンを用いた化学療法に適格ではない局所進行性もしくは転移性の尿路上皮性がん(mUC)患者の治療である。

 

尿路上皮がんは、すべての膀胱がんの90%を占め、また、腎盂、尿管、尿道にも認められるがんである。新たに診断された膀胱がんの約11%は進行期にある。早期膀胱がんと進行性膀胱がんの生存率は著しく異なる。診断後5年以上生存する患者の割合は、膀胱がんを最も早期の段階で診断を受けた患者では約96%であるのに対し、進行期(ステージIII~IV)で診断を受けた患者では39%である。一生のうちに膀胱がんを発症する可能性は、男性の方が女性よりも3~4倍高い。

 

2016年5月、アテゾリズマブは既治療の進行性膀胱がん患者に対して、FDAがこの30年以上の間に承認を与えた最初の治療薬となった。

 

このアテゾリズマブに対する生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の提出は、第2相 IMvigor210試験の結果に基づいており、FDAは承認に関する決定を2017年4月30日までに下す予定である。優先審査指定は、重篤な疾患の治療、予防、あるいは診断において、安全性あるいは有効性に顕著な改善をもたらす可能性があるとFDAが決定した薬剤に許可される。

 

現在のところ、アテゾリズマブは、局所進行性、もしくは転移性の尿路上皮がんの患者のうち、プラチナ製剤をベースとした化学療法期間中、もしくはその後に疾患が進行した患者、あるいは、プラチナ製剤をベースとした術前もしくは術後補助化学療法の後12カ月以内に疾患が増悪した患者を治療する目的でFDAの承認を受けている。アテゾリズマブは、腫瘍の奏効率および奏効期間に基づき、この適応に対して迅速承認による承認を受けた。この適応に対する承認の継続は、検証試験において臨床的有用性を証明し記載することが条件になると考えられる。

 

また、アテゾリズマブは、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者で、プラチナ製剤による化学療法の間、あるいはその後に疾患が進行した患者、および腫瘍にEGFR遺伝子変異あるいはALK遺伝子変異が認められる場合、FDAに認可された適切な分子標的治療中に進行した患者に対する治療に関して承認を受けている。

 

IMvigor210試験

 

IMvigor210は、第2相非盲検多施設共同単群試験であり、PD-L1発現に関係なく局所進行性もしくは転移性の尿路上皮がんの患者におけるアテゾリズマブの安全性と有効性を評価した。2つのコホートのいずれかに患者を登録した。コホート1は、この生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の提出の基礎となっているコホートで、シスプラチンをベースとした一次化学療法に不適格で、未治療(一次)、あるいは術前または術後補助化学療法の12カ月以降に疾患が進行した局所進行性もしくは転移性の尿路上皮がん患者で構成された。コホート2は、2016年5月のアテゾリズマブのFDAによる迅速承認の基礎となったコホートで、プラチナ製剤をベースとした化学療法レジメンによる前治療中、あるいはその後に疾患が進行した患者、あるいはプラチナ製剤をベースとした術前または術後補助化学療法レジメンの後12カ月以内に疾患が進行した患者を対象とした。本試験の主要評価項目は、客観的奏効率(ORR)とした。副次的評価項目は、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、および安全性などであった。

 

アテゾリズマブは、腫瘍細胞および腫瘍に浸潤した免疫細胞上に発現するPD-L1に結合するようにデザインされたモノクローナル抗体であり、PD-L1とPD-1およびB7.1レセプター両方の相互作用を阻害する。アテゾリズマブはPD-L1を阻害することでT 細胞を活性化させていると考えられ、正常細胞にも影響を与える可能性がある。

 

アテゾリズマブは重篤な副作用を引き起こすことがある。その副作用には、肺臓炎、肝炎、腸炎、ホルモン分泌腺疾患(とくに下垂体、甲状腺、副腎、膵臓)、神経系疾患(神経障害、髄膜炎、脳炎)、眼の炎症、重症感染症、重度のインフュージョンリアクションなどである。

 

過去にアテゾリズマブの投与を受けた尿路上皮がん患者でもっともよくみられた副作用は、疲労感、食欲減退、嘔気、尿路感染症、発熱、便秘などである。

 

女性において、アテゾリズマブは不妊問題を引き起こす可能性がある。

 

これらは、アテゾリズマブに起こりうる副作用のすべてではない。

 

 

原文掲載日

翻訳三浦 恵子

監修榎本  裕(泌尿器科/三井記念病院)

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