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がん治療後の致死的な白血病発症をバイオマーカーで予測

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がん治療後の致死的な白血病発症をバイオマーカーで予測

MDアンダーソンがんセンター 米国血液学会(ASH)

MDアンダーソンがんセンター

乳がん、大腸がん、およびその他のがんの治療に成功した患者でもしばしば致死的となる白血病を発症することがあり、時には治療終了後に数年経って発症する。これは遺伝子突然変異が、治療関連の骨髄性腫瘍(t-MNs)として知られる二次性悪性腫瘍につながるためである。

 

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らによって行われた研究では、クローン性造血と呼ばれる前白血病状態の変異が、t-MNs発現を予測する可能性があることを明らかにした。治療関連の骨髄性腫瘍は極めて予後不良と認識される白血病であり、これを発現する患者にとってクローン性造血はバイオマーカーとしての機能を果たすと思われる。本試験の結果は本日付のThe Lancet Oncology誌に掲載され、またサンディエゴで開催の米国血液学会(ASH)年次総会でも発表された。

 

「t-MNsは化学療法や放射線治療を受けたがん患者さんのうち、約5%に起こります」と、chair ad interim of Genomic MedicineであるAndy Futreal博士は述べた。「ほとんどの場合において治療関連骨髄性腫瘍は致命的なものですが、その危険性がある患者さんを予測したり、これを予防したりする方法は今のところありません」。

 

通常、化学療法や放射線治療後3年~8年経って白血病が発症することを考えれば、治療関連の骨髄性腫瘍を早期に検出できることは重要である。

 

「治療関連の骨髄性腫瘍sは早急に対応しなければいけない問題です」、とLeukemia and Genomic Medicineの助教であり、Lancet Oncology誌の共著者であるKoichi Takahashi医師は述べている。「現在は以前よりも長く生存しているがん患者さんが多いため、多くのがん克服者にとって治療関連骨髄性腫瘍への懸念が高まっています」。

 

Futreal博士のチームは治療関連骨髄性腫瘍を有する患者14人を調べ、そのうち10人に前白血病状態の突然変異の痕跡、またはクローン性造血の痕跡があることを発見した。患者が白血病を発症するかどうかを発症前の突然変異が確実に予測できるか判断するため、研究者たちは前白血病状態の突然変異の保有率について、その14人の患者と、治療後にt-MNsを発症しなかった患者54人とを比較した。

 

「前白血病状態の突然変異の保有率は治療関連骨髄性腫瘍を発症した患者さんの方が有意に高く、発症しなかった患者さんが26%であるのに対し、発症した患者さんは71%だったことがわかりました」とFutreal博士は述べた。「われわれはまた、別のコホートにおいてもこれらの結果を評価しました。その結果に基づくと、前白血病状態の突然変異は、治療関連骨髄性腫瘍の発症を予測するであろう新たなバイオマーカーとして機能する可能性があると思います」。

 

Futreal博士のチームは、治療関連の骨髄性腫瘍を発症した患者14人のサンプルで発症時の骨髄サンプルと、原発がん診断時に採取した血液サンプルを調べた。

 

「実際に治療関連骨髄性腫瘍を発症した白血病サンプルに存在する遺伝子突然変異は、原発がん診断時に採取した血液サンプルに見られることがわかりました」とTakahashi.医師は述べ、さらにこのように続けた。「さらなる研究が必要ではありますが、この研究結果に基づきわれわれは本データが、がんを有する患者におけるクローン性造血のスクリーニングにより治療関連骨髄性腫瘍を発症するリスクのある患者を特定可能であることを示唆しているのではないかと思います」。

 

MDアンダーソン研究チームの参加者は以下のとおりである。Hagop Kantarjian, M.D.; Courtney DiNardo, M.D.; Simona Colla, Ph.D.; Farhad Ravandi, M.D.; and Guillermo Garcia-Manero, M.D., all of Leukemia; Feng Wang, Ph.D.; Li Zhao, Ph.D.; Curtis Gumbs; and Jianhua Zhang, Ph.D., Genomic Medicine; Denaha Doss; Kanhav Khanna; and Erika Thompson, Genetics; Keyur Patel, M.D., Ph.D.; and Carlos Bueso-Ramos, M.D., Ph.D., Hematopathology; Sativa Neelapu, M.D.; and Felipe Samaniego, M.D., Lymphoma and Myeloma; Xuelin Hang, Ph.D., Biostatistics; and Xifend Wu, M.D., Ph.D., Epidemiology。本研究には、Kyoto University, Kyoto, Japanの参加も含まれる。

 

本研究は以下の団体から資金提供を受けた。the Cancer Prevention and Research Institute of Texas (R120501 and RP100202); the Welch Foundation (G-0040); the UT System STARS Award (PS100149); the Edward P. Evans Foundation; the Fundacion Ramon Areces; the Red and Charline McCombs Institute for the Early Detection and Treatment of Cancer Award; the National Cancer Institute SPORE Career Development Grant; the Khalifa Scholar Award; the National Institutes of Health (P30 CA016672); and donations to MD Anderson’s MDS/AML Moon Shot Program。

原文掲載日

翻訳中村由紀子

監修吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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