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尿路感染症予防ー2016年10月号

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尿路感染症予防ー2016年10月号

MDアンダーソン月刊OncoLog誌2016年10月号

MDアンダーソン OncoLog 2016年10月号(Volume 61 / Issue 10)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

 

尿路感染症予防

プログラムによって、がん患者の術後感染症が減少

尿路感染症(UTI)は尿路カテーテルを必要とする患者(特に泌尿器がん、婦人科がん治療のために長時間にわたる複雑な手術や手技を受ける患者)の術後の発病、死亡率、医療費を押し上げ、入院期間を延長させる。UTIの発生を減らすため、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの臨床医らは同施設で手術を受ける患者に対する質向上プログラムを作成した。

 

全国的には、術後UTIは手術患者の2%~5%に発生する。2011年にMDアンダーソンの外科医らは術後患者連続800例のカルテをレビューし、術後30日以内にUTIが2.9%で発生していることを明らかにした。外科医らはこの発生率を、米国外科学会(ACS)の手術の質改善プログラム(NSQIP)のメンバーで患者転帰データベースを保有する施設における発生率と比較した。この分析では、MDアンダーソンの術後UTI発生率は他の多くの施設に比べて低かったものの、改善の余地があった。このためUTIは、外科部門におけるデータ主導の質改善対策の重点事項となった。

 

「MDアンダーソンはデータ主導型という点で注目に値する施設です」と、ACSとの連絡役を担当する腫瘍外科学准教授のThomas Aloia医師は述べた。「私たちがまだ改善可能であることを示すデータを当施設の人々に提示して改善が得られなかったことはまだありません。当施設の医療提供者は質改善を願っており、患者さんが最良の結果を得られるよう望んでいるのです」。

 

UTI率の抑制

 

UTIの問題に取り組むため、外科部門では外科医、看護師、麻酔科医、薬剤師、高度医療提供者、研修生、環境エンジニアのチームを結成し、当施設の主病院で手術を受けるほぼ全ての患者が使用する尿路カテーテルを調べた。チームは質の評価と向上に取り組むS.T.O.P. UTIと呼ばれるプログラムを立ち上げた。S.T.O.P. UTIの名称はカテーテル管理の4つの側面を表している。

 

S(sterile): カテーテルの無菌的挿入

 

T (timely): 適切なタイミングでのカテーテル抜去

 

O (optimal): カテーテルの最適な位置決め(膀胱に尿が逆流しないようにする)

 

P (proper): 適切な検体採取(UTI診断を実証するために清潔な尿検体を採取する)

 

看護手順の変更やカテーテル留置に必要な材料の整備など、改善の対象となる領域を絞りこむために初回評価が役立った。S.T.O.P. UTI を開始した2012年から2015年にかけてMDアンダーソンの術後UTI率は2.90%から0.46%に低下した。そして思いがけない効果も得られた。S.T.O.P. UTIは外科部門に特化した改善プログラムであったが、尿路カテーテルを留置するも手術を行わなかった患者のUTI率までもが2014年の2.4%から、2015年には0.6%に低下したのだ。

 

「他部門には、この結果を説明しうる同様のプログラムはありません」とAloia医師は語った。「ですから、外科の品質向上プログラムの初期に得られた知識が施設全体へと広がったのだと考えています。ACSは文献検索を行ったところ、知りうる限りにおいて、本件はこの種の術後の質向上プログラムが施設全体に広がったという最初の事例であります。当初からプロセスの改善に関与し、手術を行う患者のみならずカテーテルを留置する入院患者全員に新たな看護手順を適用した看護スタッフを称賛すべきです。最終的に、病院全体が利益を得たのです」。

 

2014年ACS NSQIP年次総会でS.T.O.P. UTIの取り組みについて最初の報告が行われた。また2016年6月の会議ではAloia医師らによって、プログラムが施設全体に与えた影響のついて追加の発表が行われた。それ以来、国内の医療施設からMDアンダーソンに、このプログラムについての問い合わせが行われている。

 

「S.T.O.P. UTIプログラムは、施設が自らのカテーテルの使用手順を評価するために用いることができるうえに、弱点を見つけ改善するために使用できるツールです。願わくば口コミで広がってほしいです。」とAloia医師は述べた。

 

質の向上に関する別のプロジェクト

 

MDアンダーソンでUTI率の減少が得られてから、Aloia医師らは別の質の向上プロジェクトに目を向けてきました(Oncolog2015年9月号 「術後回復強化プログラムによってがん患者の周術期の成績が改善する」を参照)。これらのプロジェクトで取り組んでいる問題の中には術後の創感染と術後肺炎もあり、プロジェクト開始以来、発症率はともに30%減少している。

 

「質の向上が可能な領域を追い続けています。私どものNSQIPからの最新の報告書には、MDアンダーソンは全面的に模範的であり、これは問題がおきるごとに体系的にその問題に取り組んだことが大きな要因である、とあります。質向上のための私どもの努力は大いに成功しています。」 とAloia医師は述べた。

 

For more information, contact Dr. Thomas Aloia at 713-563-0189 or taaloia@mdanderson.org or visit the American College of Surgeons National Surgical Quality Improvement Program.

 

【画像キャプション訳】 2012年第二四半期に術後感染症予防を目指すS.T.O.P. UTI プログラムが開始されてから、MDアンダーソンで手術を受けた患者の尿路感染症発生率は減少を続けている。

 

—–Laura L. Russell

 

 

 

 

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳大倉綾子

監修榎本  裕(泌尿器科/三井記念病院)

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