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四価ヒトパピローマウイルス(HPV)組み換えワクチンのFDA承認

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四価ヒトパピローマウイルス(HPV)組み換えワクチンのFDA承認

原文 2013/07/01 更新

商品名:ガーダシル

9歳から26歳までのヒトパピローマウイルス(HPV)6型、11型、16型および18型によって発生する肛門癌および関連する前癌病変の予防ワクチンとして承認(2010/12/23)
9歳から26歳までの青少年におけるヒトパピローマウイルス(HPV)6型、11型による生殖器疣贅(尖圭コンジローム)の予防ワクチンとして承認(2009/10/16)
9歳から26歳までの女性におけるヒトパピローマウイルス(HPV)16型及び18型に起因する外陰癌及び膣癌の予防ワクチンとして承認(2008/09/08)
9歳から26歳までの女性におけるヒトパピローマウイルス(HPV)6、11、16、18型に起因する子宮頚癌、前癌症状である生殖器の病変、生殖器疣贅(ゆうぜい)の予防ワクチンとして承認

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物相互作用および禁忌などの全処方情報はFull prescribing information (原文)で参照できます。

肛門癌
2010年12月23日、米国食品医薬品局(FDA)は、9歳から26歳を対象に、ヒトパピローマウイルス(HPV)6型、11型、16型および18型によって発生する肛門癌および関連する前癌病変の予防ワクチンとして、ガーダシルを承認しました。

ガーダシルはすでに、同年齢群の女性を対象にHPV6型、11型、16型、18型による子宮頸癌、外陰部癌、膣癌さらに関連する前癌病変の予防に、また男女両方を対象にHPV 6型、11型による生殖器疣(いぼ)の予防を目的として承認されています。

「肛門癌の治療は困難でです。予防のためにガーダシルを使用すると、結果的に、肛門癌と診断される人や診断されたあとに個人が耐えなければならない外科手術および放射線療法または化学療法を受ける人が減少する可能性があるため重要である」とFDA生物製剤評価研究センター局長のKaren Midthun医師は述べました。

一般に肛門癌は頻繁にみられないが、その発生率は増加しつつある。肛門癌の約90%がHPVによるものである。米国癌協会は、米国で毎年約5,300人が肛門癌と診断されていると推定しており、診断を受けるのは男性よりも女性のほうが多いです。

ガーダシルの肛門癌および肛門のHPV16/18型感染による関連の前癌病変[肛門上皮内癌(AIN)グレード1、2、3]を予防する効果は、男性と性行為を行ったと自認する男性(MSM)を対象に実施したランダム化対照試験で検証された。この群を対象に試験が実施されたのは、この集団での肛門癌の発症率が最も高いためです。試験期間終了時、ガーダシルは、HPV16型および18型に関連するAINの予防に78%有効であることが明らかになりました。肛門癌は男女両方において同じ生物学的特徴を持つため、この有効性のデータは女性に関しても適用を裏づけるとして使用されました。

ガーダシルは、ワクチン接種時すでにHPV感染による肛門の前癌病変がある場合にはその進展を予防することはできません。FDAが承認した使用の全適応において、ガーダシルはワクチンに含まれるHPVの株種に感染する前にワクチンの接種を受けた人たちに最も有効です。

医療関係者に肛門癌検診を勧められている人は、ガーダシルの接種を受けた後も、検診を中止するべきではありません。

2010年5月31日現在、メーカーのMerck & Co., Inc.社(ニュージャージー州ホワイトハウスステーション)によると、2006年にガーダシルが承認されてから、全世界で6,500万回分が流通している。最も多く報告されている有害事象は、失神、穿刺部位疼痛、頭痛、悪心および発熱です。失神は、特に青年の場合に注射やワクチン接種の後で発現することが多いです。失神後の転倒は頭部外傷などの重篤な外傷の原因となる場合があるが、ワクチン接種後15分間程度座らせておくことで予防できます。また、接種後に発症するおそれのある重度のアレルギー反応に注意するために、このような観察期間を設けることを推奨しています。

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松長えみ 訳
後藤悌(呼吸器内科/東京大学大学院医学系研究科) 監修
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生殖器疣贅(尖圭コンジローム)
2009年10月16日、FDAは、9歳から26歳までの青少年におけるヒトパピローマウイルス(HPV)6型、11型による生殖器疣贅(尖圭コンジローム)の予防に、四価ヒトパピローマウイルス組換えワクチン(ガーダシル®、Merck & Co., Inc.社製)の使用を承認しました。

毎年、米国では男性1000人のうち2人が新たに生殖器疣贅と診断されています。

ガーダシルは現在、HPV16型、18型に起因する子宮頸癌、外陰癌、膣癌のほか、HPV6型、11型、16型、18型に起因する前癌病変、さらにHPV6型、11型に起因する生殖器疣贅などを予防するために、9歳から26歳までの女性への使用が承認されています。

HPVは米国で最も一般的な性感染症で、ほとんどの生殖器疣贅の原因となっています。

「9歳から26歳の青少年における生殖器疣贅に対してはこのワクチンが初めての予防治療となり、これにより生殖器疣贅の治療を要する男性の数は少なくなるでしょう」と、FDA生物製剤評価研究センター局長代理のKaren Midthun医師は述べています。

ガーダシルの有効性について、16歳から26歳の男性4055人を対象にしたランダム化試験が行われました。その結果、試験開始時にHPV6型、11型に感染していなかった男性のほぼ90%について、HPV6型、11型に起因する生殖器疣贅の予防にガーダシルが有効であることが示されました。

9歳から15歳までの少年におけるワクチンへの免疫反応を測定する調査も行われました。その結果、16歳から26歳までを対象にした場合と同じく良好な免疫反応が見られ、このワクチンがこの年代においても同様の有効性を有することが示唆されました。

製造元のMerck & Co., Inc.社は、ガーダシルの青少年における安全性および有効性について追加情報を得るため、市販後調査を行う予定です。

ガーダシルは6カ月間に3回接種します。最も多く見られた副作用は、頭痛、発熱、接種部位の痛み、痒み、発赤、腫れ、あざなどでした。

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河原恭子 訳
林正樹(血液・腫瘍科) 監修
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外陰癌及び膣癌
2008年9月8日、FDAは、ヒトパピローマウィルス(HPV)16型及び18型に起因する外陰癌及び膣癌の予防を目的として、ガーダシルワクチンを9歳から26歳までの女性を対象として承認することを発表しました。これら2種類のHPVウィルスの型は子宮頸癌の発病原因の70%を占めており、また、割合は不明であるが外陰癌及び膣癌の一部の原因となることも知られています。

「今や、このワクチンが子宮頸癌の予防のみならず、同ウィルスによって引き起こされる外陰癌及び膣癌から保護することに役立つ可能性を示す強力な証拠がある」とFDA生物製剤評価研究センター局長であるJesse L. Goodman医師は述べました。 「外陰癌及び膣癌はまれだが、それらの予防に役立つ機会があれば、それはHPVに対するワクチン接種から得られる重要な付加的利益の一つとなり得る」と同氏は続けました。

FDAは2006年にHPV16型および18型による子宮頸癌、HPV 6型、11型、16型および18型による外陰部の前癌病変, およびHPV 6型、11型による生殖器疣贅を予防することを目的として、9歳から26歳までの女性を対象に初のガーダシル使用を承認しています。

HPVには100以上の関連ウィルスがあり、30以上の型が性的接触を通じて感染するおそれがあります。 米国疾病管理予防センター(CDC)によると、HPVは米国において最も一般的な性感染症であり、毎年620万人のアメリカ人が生殖器HPVに感染しています。

ほとんどの女性では、自らの身体が有する免疫システムによってHPVは排除され重大な健康上の問題に発展することは防がれています。しかし、HPVの型のなかには子宮頸部、膣、外陰部およびその他の部位において異常細胞の成長を引き起こすものがあり、それらの細胞は数年後に癌化することがあります。

外陰癌及び膣癌の予防について、ガーダシルを製造しMerck & Co. Inc.,社は1万5千人以上の臨床試験参加者を原研究からさらに約2年間フォローアップしました。約半数の参加者らが原研究の一部としてガーダシルを投与され、残り半数は対照群として、ガーダシルを投与されませんでした。

上記研究の開始時にHPV16型および18型が陰性だった女性において、ガーダシルはこれらの型に関連する外陰部および膣の前癌病変(癌の前兆と考えられている)を予防するのに極めて有効でした。ワクチンを投与されなかった対照群においては、10人が外陰部の前癌病変を発症し、9名が膣の前癌病変を発症しました。これらは全てHPV16型および18型に起因します。ガーダシルを投与された群ではHPV16型または18型によるいずれの前癌病変も発症した者はいませんでした。

ワクチン接種以前に既にワクチンの対象となる型のHPVに感染していたことが分かった女性に対する利益については、エビデンスが一切ありませんでした。従って、ガーダシルによる利益の可能性を充分に得るためには、ワクチンに含まれているHPVの株種に感染する前にワクチン接種を受けることが重要です。

現在、FDAが承認している年齢である26歳を超えた対象者に本剤を使用することを裏付けるに十分な情報はないとの記載をガーダシルの添付文書は、改訂されています。また、ガーダシルよってワクチンに含まれていない型のHPVによる疾病からは保護されないことを示す情報が新しく追加されました。

どのワクチンも100パーセント有効ではなく、接種時に既に感染しているおそれのあるHPVから女性を保護しません。従って、全ての女性はワクチン接種後であっても定期的にパップスメア検査を受ける必要があります。定期的なスクリーニングテストは、前癌病変を発見することで癌に発展する前に治療することが可能となるので極めて重要です。

FDAが2006年にガーダシルを承認して以来報告された有害事象の大多数は重大なものではありませんでした。最も一般的に報告される有害事象には、意識喪失(失神)、接種箇所の痛み、頭痛、吐き気および熱が含まれていました。失神は特に10代の対象者へ予防接種した後によく見られました。失神後に倒れることによって、場合によっては頭部挫傷など重大な負傷を引き起こすおそれがあります。このような頭部外傷はワクチン接種後、接種された者を15分間席に座ったままにするなどの簡単な処置で防ぐことが可能です。いずれのワクチンであっても接種後に発生するおそれのある重篤なアレルギー反応に注意するため、このような観察期間を設けることを推奨しています。

最初の承認の一部として、Merck & Co., Inc.社は総合健康管理された機関において4万4千人の参加者を対象に安全な調査研究を行いました。この研究では全ての承認されたガーダシルの使用について短期的および長期的な安全性を評価しています。

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佐々木了子 訳
林 正樹(血液・腫瘍内科) 監修
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子宮頸癌
FDAは本日ガーダシルを、ヒトパピローマウイルス(HPV)6、11、16、18型に起因する子宮頚癌、前癌症状である生殖器の病変、生殖器疣贅(ゆうぜい)を防ぐために開発された最初のワクチンとして承認すると発表しました。このワクチンは9~26歳までの女性における使用が承認されている。ガーダシルは優先審査指定を受け6カ月未満で評価、承認されました。優先審査制度とは著しく健康に有益性をもたらす可能性のある製品の審査過程のことです。

「今日は、国民の健康、女性の健康、そして子宮頚癌のような生命を脅かす深刻な疾病との絶え間ない我々の闘いにとって重要な日となります」と保険社会福祉省(HHS)の副長官であるAlex Azar氏は述べた。「HHSは全国民の健康を守り、促進させる新しく有望なワクチンの開発など前進的で重要な健康対策と取り組んでいます。」

HPVは米国における最も一般的な性感染症です。疾病対策予防センターによれば毎年約620万人がHPVに感染しており、性交渉をもつ男女の半数以上は生涯のいずれかの時期に感染します。平均すると毎年米国内で9,710件が子宮頚癌と新たに診断され、子宮頚癌による3,700件の死亡が確認されています。世界的に子宮頚癌は女性の癌の2番目に多い癌で、毎年470,000人が新たに子宮頸癌と診断され233,000人の死亡が確認されています。

ほとんどの女性は体内防御システムがウィルスを排除するので感染した女性も関連した健康問題を引き起こしません。しかしHPVの中には子宮頚部上皮の異常細胞の原因となり数年後に癌へと進行させる可能性があるものもあります。また生殖器疣贅を引き起こすHPVもあります。ワクチンは、約70%の子宮頚癌で原因とされるHPV16、18型や、約90%の生殖器疣贅の原因であるHPV6、11型に対して有効です。

「このワクチンは多くの子宮頚癌の根本原因である感染を妨げることにより女性の健康を守る上での大きな進歩です」とFood and Drugsの代理長官Andrew C. von Escgebbach医師は述べました。「このワクチンの開発は、満足できない医学的な必要性を解決する目的で、まったく新しいワクチンの開発の推進に協力した科学者や、FDAの審査チームの多大な労力のたまものである。この取り組みは最近Gardasilを含む多くの新しい薬剤の承認という結果につながった。ガーダシルは著しく国民の健康における必要性を満たすものである。」

ガーダシルは組換え型のワクチン(生ウィルスは含まない)で、6カ月間に3回接種します。ガーダシルに伴う免疫化はワクチンに含まれるHPVに起因する子宮頚癌のほとんどの例を防ぐことを期待されています。しかし、女性たちがワクチン接種以前にHPVに感染していた場合は防御することができないため、ウィルスにさらされる可能性がある前に免疫化することが重要であることを示唆しています。また、ガーダシルは、ワクチンに含まれない、あまり一般的でない型のHPVに対しては防御できません。それゆえ子宮頚癌を発症する前の段階で治療をするためには、頚部の前癌症状の変化を見つけるための定期的な一般の子宮癌細胞診スクリーニングが不可欠であることはかわりありません。

「これは子宮頚癌の予防に特化して承認された最初のワクチンです。迅速な承認は安全で効果的なワクチンのできるだけ早い使用をうながすためのFDAの努力であると強調している。ワクチン接種は幼児や子供の小児麻痺および麻疹のような疾病の数を劇的に減少させただけでなく、青少年や成人の生命を防御し改善する大きな役割を果たしている」とFDA生物製剤評価研究センター局長であるJesse Goodman医学は語りました。

4つの臨床検査のうち1つはアメリカ国内で3つは諸外国で行われ、16~26歳の21,000人の女性を対象としてワクチンあるいはプラセボを用いてガーダシルの効果が調べられました。その結果、未感染の女性においてガーダシルはそれが直接効果を及ぼす型のHPV感染による前癌症状の頚部病変、膣および外陰部の病変、生殖器の疣贅をほぼ100%予防した。研究の期間が短く子宮頚癌を発症するまでには至らなかったが、子宮頚癌の前癌症状病変の予防が結果的に子宮頚癌の予防になると思われます。

臨床検査ではまた、すでにワクチンに含まれるいくつかのHPVに感染しており、そのウィルスに関連した症状を示した女性を防御できるかどうかを評価しました。その結果ワクチンは感染前に接種した場合にだけ効果があることが分かりました。

また2つの臨床検査が9~15歳の若い女性のワクチンに対する免疫反応を評価するために実施されました。その免疫反応は16~26歳の女性における反応と同様に効果が高くワクチンは9~15歳のグループでも同様の効果があったことを示していました。

ワクチンの安全性は約11,000人で評価されている。ガーダシルの接種を受けた症例のほとんどの有害事象は注入時の痛みや圧痛のような軽度あるいは中等度の局所反応でした。

Merck & Co.社は、承認後も一般的安全性と長期にわたる持続効果についての付随臨床試験などの承認数回の臨床試験を行うことに同意しました。Merck & Co.社はまた妊娠を知る前に、ガーダシルの投与を受けた女性の妊娠の経過観察をすることになっています。またMerck & Co.社は男性におけるガーダシルの安全性と効果の評価をする臨床試験中です。

 

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。
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