2回の幹細胞移植で高リスク小児神経芽腫患者の転帰が改善(ASCO2016) | 海外がん医療情報リファレンス

2回の幹細胞移植で高リスク小児神経芽腫患者の転帰が改善(ASCO2016)

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2回の幹細胞移植で高リスク小児神経芽腫患者の転帰が改善(ASCO2016)

米国臨床腫瘍学会(ASCO) プレスリリース

米国臨床腫瘍学会(ASCO)の見解

「小児がん治療の進歩に関するストーリーにおいて、多くは強力な治療法を活用できるようになっています。これは、臨床研究に尽力することにより、人命を救う可能性のある結果をもたらすことができた一例です。しかし、これは従来よりも積極的な治療法であり、長期的な副作用について、患者の生涯を通じた綿密な追跡調査が必要でしょう」とASCO小児がん専門医Stephen P. Hunger医師は述べた。

 

現在のところ、高リスク神経芽腫患者が診断後5年以上生存する割合は50%未満である。米国国立がん研究所(NCI)が資金援助を行い、米国小児腫瘍学グループが実施した第3相試験により、2回目の自家造血幹細胞移植(ASCT、患者自身の造血幹細胞を用いる移植のこと)を標準治療に追加して行うと高リスク神経芽腫患者の転帰が改善することが明らかにされた。

 

3年経過時点で生存かつ無がん状態であった患者の割合は、2回移植患者で61.4%であり、1回移植患者では48.4%であった。副作用は、1回移植と2回移植のいずれも同程度であった。

 

本データはASCOプレナリーセッションで報告される。プレナリーセッションでは、ASCO年次総会の一環として、5,000件を超える抄録のうち、患者ケアに影響を与える可能性が最も高いと思われる4件が取り上げられる。

 

筆頭著者で、シアトル小児病院指導医およびワシントン大学医学部(ワシントン州シアトル)小児科教授であるJulie R. Park医師は、「今回の知見により、北米での高リスク神経芽腫患者の治療法が変わるでしょう。北米では、高リスク神経芽腫によって多くの若い命が奪われており、より優れた治療法が早急に求められています。しかし、私たちが高リスク神経芽腫に行っているレジメンは、がん患者に行う治療の中で最も積極的で毒性の強いレジメンでもあります。こうした理由から、今後の研究は本治療法によって起こりうる遅発作用の探索と、より毒性が低い新規治療法の開発の両方に着目することが求められます」と話す。

 

試験について

本試験は、高リスク神経芽腫と新規に診断された小児(年齢中央値3.1歳)を登録した。患者の大多数(88%)がステージ4疾患で、38.2%の腫瘍にMYCN増幅と呼ばれる高リスク遺伝的異常が認められた。

 

全患者に対し、寛解導入療法のための多剤併用化学療法レジメンを6サイクル行った。その内最初の2サイクルは、高用量のシクロホスファミドとトポテカンを投与した。化学療法後に、移植に使用するための造血幹細胞を血液から採取した。寛解導入療法終了後に無作為化を行い、カルボプラチン―エトポシド―メルファラン(CEM)化学療法の後ASCTを1回実施する群(1回ASCT群)、またはThiotepa[チオテパ]–シクロホスファミド投与後に初回ASCTを行い、引き続きカルボプラチン―エトポシド―メルファラン(CEM)変法化学療法後に2回目のASCTを実施する群(2回[タンデム]ASCT群)のいずれかに患者を割り付けた。タンデムASCT群において、初回移植から2回目の移植までの期間は6~8週間であった。

 

1回ASCT群の患者179人中129人を、地固め療法として幹細胞移植を行った後、抗GD2(Dinutuximab[ジヌツキシマブ])+サイトカイン免疫療法を行う試験に引き続き登録した。タンデムASCT群についても、地固め療法としてタンデム移植を行った後、同割合の患者(176人中121人)に同様の免疫療法を実施した。本試験の主要評価項目は3年無イベント生存(EFS)すなわち無作為化から3年後に「イベント」が発生していない患者の割合とした。「イベント」の定義は、がんの悪化または再発、二次がんの診断あるいは死因を問わない死亡とした。

 

主要試験結果

本試験における全患者において、登録から起算した3年EFS率は51%であり、3年全生存(OS)率は68.3%であった。無作為化を受けた患者において無作為化から起算した3年EFS率は、タンデム移植後の方が1回移植後よりも顕著に高かった(61.4%対48.4%)。3年OS率は、タンデム移植群の方が1回移植群よりもやや高かった(74%対69.1%)が、統計的有意差は得られなかった。

 

「神経芽腫における再発の大多数は診断から2~3年以内に生じること、そして3年経過時点で再発していない患者では長期生存の可能性がより高いことが知られています。本試験のデザインは全生存の差の観察を目的としていません。というのも、全生存の差の観察には長い歳月を要することが予想され、また初回再発後に受ける追加的な治療を十分にコントロールすることが不可能だからです」とPark博士は話す。本研究の研究者らにより、本試験の対象患者への追跡が10年間継続される予定である。

 

移植後、抗GD2抗体+サイトカイン投与を含む免疫療法試験に登録された患者では、概してより良好な転帰が得られた。また、3年EFS率は、タンデム移植に割り付けられた患者の方が1回移植に割り付けられた患者よりも顕著に高かった(73.2%対55.5%)。3年OS率は、タンデム移植群の方が1回移植群よりも顕著に高かった(85.6%対75.8%)。

 

重篤な毒性の発生率はいずれの群でも同程度であった。治療関連死は、タンデム移植群の方が1回移植群よりも少なかった(2件対8件)。

 

神経芽腫とは

神経芽腫は頭蓋外の神経細胞に生じる腫瘍である。米国での年間新規診断数は700件程度であり、全体としては希少ながんであるが、小児では2番目に多い固形腫瘍であり、乳児では最も多いがんである[1]。6歳未満の小児に最もよく発症する。

 

本疾患は、臨床的、病理組織および遺伝子マーカーの併用によって特定される。通常、高リスク神経芽腫患者は、手術療法、化学療法、放射線治療や造血幹細胞移植などを行う強力な治療レジメンを受ける。

 

本試験は国立衛生研究所から資金提供を受け、米国小児腫瘍学グループコンソーシアムによって実施された。

 

抄録の全文はこちらを参照のこと。

 

[1]
http://www.cancer.org/cancer/neuroblastoma/detailedguide/neuroblastoma-key-statistics Accessed May 19, 2016.

原文掲載日

翻訳前田愛美

監修寺島慶太(小児血液・神経腫瘍/国立成育医療研究センター 小児がんセンター)

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