新生児黄疸の光線療法とがんとの関係は確定的ではないが検討が必要 | 海外がん医療情報リファレンス

新生児黄疸の光線療法とがんとの関係は確定的ではないが検討が必要

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新生児黄疸の光線療法とがんとの関係は確定的ではないが検討が必要

Pediatrics誌の論説では、不確定な知見に過剰に反応しないよう注意を促しながらも、どの小児に光線療法が必要であるかについて再検討することを勧めている。

ダナファーバーがん研究所 ニュースリリース

 

2件の新たな試験により小児がんと新生児黄疸に対する光療法との関係に関する疑問が提起されている。乳幼児は黄疸が自然に消失することが多いため、治療の実施にあたって臨床医は注意が必要であるとPediatrics誌に本日掲載された論説でダナファーバー/ボストン小児がん・血液疾患センターの小児腫瘍医が論じている。しかし、そのような関連性が示唆されるからといって、その治療を実施しなければ脳損傷または難聴のリスクのある乳児に対しては、光線療法としても知られるその治療の実施が阻止されるべきではない。

 

本知見は確定的ではないものの、論説では、この研究は環境因子が小児がんの発現にかかわっているかどうかの検討を開始するため、ビッグデータを用いた重要で新しい試みであるとの認識が示されている。

 

本日、Pediatrics誌に掲載された2つの姉妹試験でも、光線療法と小児がんとの相関が検討されている。最初の試験、カリフォルニアでの光線療法の遅発性の影響に関する試験(CLIPS)では、カリフォルニア州の病院で1998年から2007年までの間に生まれた500万人の乳幼児のデータが分析された。この試験では、光線療法の課金コードと小児がんの診断コードを関連づけた管理データが用いられた。最も強い相関が急性骨髄性白血病(AML)のリスクの1.6倍の増大である。ウィルムス腫瘍、小児腎臓がんのリスクも統計学的に有意であった。次の試験は、高ビリルビン血症発症にみられる光線療法の遅発性の影響(LIGHT)に関する試験であり、カイザー・パーマネンテ・北カルフォルニア・ヘルスケアシステムで1995年から2011年までの間に生まれた50万人の小児のデータが分析された。光線療法と小児がんとの相関は統計学的に有意ではなかったが、急性骨髄性白血病(AML)との相関がみられた。

 

光線療法を受けている乳幼児の数が増加しているのは光療法装置が自宅で使用可能であることが一因であると研究者らはみており、このようなときに同時にこうした試験が実施されている。カイザー試験では、光線療法を受けた乳児は1995年の3パーセントから2011年には16パーセントに増加している。

 

両試験とも、相関はダウン症児で強くみられて、統計学的に有意であった。ダウン症児は白血病のリスクが高いことが既に知られている。

 

このような結果は確定的ではないとしても懸念されており、光線療法はリスクがないとみなすべきではない。とはいえ、「高ビリルビン値による脳損傷および難聴は確認されて明確に記録されており、今回のような新たな試験により明らかになったがんのリスクは不明確であり、きわめて小さいものです」とこの論説の筆頭著者、ダナファーバー/ボストン小児がん・血液疾患センターのLindsay Frazier医師は述べている。「懸念されるのは、少なくともカイザーパーマネンテ北カリフォルニア・ヘルスケアシステムで光線療法を受けている小児の数が飛躍的に増加していることです。そのような光線への暴露の広がりに伴うリスクを精査する必要があります」。

 

光線療法と小児がんとの統計学的に有意な相関がみられたCLIPS試験でも、対象となった絶対数はきわめて少なかった。被験者となった500万人の乳幼児のうち光線療法を受けた58人がのちにがんを発現した。たとえば、AMLのリスクの増大は、光線療法を受けなかった490万人の小児のうちの103例に対して光線療法を受けた17万8千人の小児のうちの10例に基づいている。

 

「小児がんはきわめてまれな疾患であるため、その発現に関する研究は非常に困難です」とFrazier医師は述べている。「肺がんは小児がんの10倍以上認められるため、喫煙との相関を確認するのが比較的容易です臨床医は。米国では毎年新たに肺がんが約22万5千例みられるのに対して、小児がんは1万5千例みられます。したがって、小児がんを研究するには、研究者は大規模な集団を研究する方法を探る必要があり、著者らがその方法を見つけたならば称賛されるはずです。しかし、大規模な集団を対象としたこのような試験でさえも、がんを実際に発現している小児の数は依然としてかなり少ないです」。

 

この論説では、小児がんになる確率がわずかであっても、がんとの関連性に留意して光線療法を必要とする乳児を判断するよう勧告している。

 

「結局、一般小児科医と新生児科医は、情報が不完全であることを認識したうえで選択をしなければならない」とこの論説は締めくくられている。「このようなデータは、光線療法が無害とは限らないことや光線療法の装置のスイッチを入れる前にその有益性だけでなくリスクも検討する必要があることを示している」。

 

Frazier医師は、共著者である南カルフォルニア大学Keck医学研究所の生物統計学者、Mark Krailo医学博士とミネソタ大学の疫学者であるJennifer Poynter医学博士の呼びかけによりこの論説の執筆に参加した。

 

 

原文掲載日

翻訳木村素子

監修林 正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

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