テモゾロミド維持化学療法により、まれな脳腫瘍である退形成性神経膠腫の転帰が改善(ASCO2016)/米国臨床腫瘍学会(ASCO) | 海外がん医療情報リファレンス

テモゾロミド維持化学療法により、まれな脳腫瘍である退形成性神経膠腫の転帰が改善(ASCO2016)/米国臨床腫瘍学会(ASCO)

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テモゾロミド維持化学療法により、まれな脳腫瘍である退形成性神経膠腫の転帰が改善(ASCO2016)/米国臨床腫瘍学会(ASCO)

米国臨床腫瘍学会(ASCO) プレスリリース

 

米国臨床腫瘍学会(ASCO)の見解

「医師として、私たちの目的はあらゆる治療を意味のあるものにすることです。その1つは患者に必要な治療だけを推奨すること、それ以上でもそれ以下でもありません。今回の試験では、長年結論が出ないままになっていた問いに対する良い回答が得られました。つまり放射線治療あるいは同時化学放射線治療後に、テモゾロミドを追加することの有益性が明らかに示されたのです。何十年もの間、退形成性神経膠腫は治療が難しいだけでなく、非常にまれな疾患であるがゆえに試験の実施も困難とされてきました。だからこそ今回の結果は重要なのです」と、ASCO脳腫瘍部門専門医で公衆衛生修士のBrian Alexander医師は述べた。

 

欧州第3相臨床試験の初期結果から、維持化学療法は1p/19q共欠失のない退形成性神経膠腫患者に対して有益であることが示された。推定5年生存率は、放射線治療後のテモゾロミド維持療法群で56%、維持療法を実施しない群で44% であった。また、テモゾロミド維持療法の追加により最長2年間、進行を遅らせた。

 

この試験結果は、2016年6月3日の記者会見で紹介され2016年ASCO年次総会で発表される。

 

「この試験結果が出るまでは、グレード3の退形成性神経膠腫患者に対するテモゾロミド維持療法を推奨するエビデンスがありませんでした」と、オランダのロッテルダムにあるエラスムス大学がんセンター(Erasmus MC Cancer Center)の神経腫瘍学教授で筆頭著者のMartin J. van den Bent医師は述べた。「今回の結果により、このまれな型の脳腫瘍は、治療の選択肢が広がり、治療法が変わるに違いありません」。

 

試験内容

ある特殊な型の脳腫瘍では1番染色体短腕1pと19番染色体長腕19qの共欠失がみられる。この遺伝子異常のある患者は化学療法に良好な反応を示し、生存期間が長い傾向がある。非1p/19q欠失退形成性神経膠腫におけるテモゾロミドの併用および維持療法を検討する臨床試験(The Concurrent and Adjuvant Temozolomide Chemotherapy in Non-¬1p/19q Deleted Anaplastic Glioma :CATNON試験)は1p/19q共欠失のない患者に限定して実施された(このマーカーのある患者を対象とした試験は別個に行われている)。試験研究者は患者748人を以下の4つの異なる治療群にランダムに割り付けた。

  • 放射線単独
  • テモゾロミド放射線同時併用
  • テモゾロミド放射線同時併用+放射線後のテモゾロミド(テモゾロミド維持療法)
  • 放射線+テモゾロミド維持療法

 

試験は欧州がん研究治療機関(EORTC)により、ヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリアの118施設で実施された。

 

主な結果

放射線治療後にテモゾロミド維持療法を実施した群では、テモゾロミド放射線同時併用の有無にかかわらず、維持療法を実施しなかった群より進行までの期間が延長した。無増悪期間中央値は維持療法群で2倍以上延長した(維持療法群:42.8カ月、対照群:19カ月)。

 

全生存期間の中央値は維持療法治療群では追跡期間中に生存割合が50%を切るに至らなかったので示すことができなかった。長期生存期間もテモゾロミド維持療法を支持することを示した。テモゾロミド維持療法群の5年生存率が56%であったのに対し、テモゾロミド併用放射線群と放射線単独群(でテモゾロミド維持療法のない群)では44%であった。テモゾロミドの放射線同時併用の結果は未公表であり、本試験の最終結果は2020年に公表される予定である。

 

テモゾロミドは経口製剤で、忍容性は概ね良好である。テモゾロミド投与群に最も頻発した副作用は、主に血小板減少、白血球減少などの血液学的毒性であり、そのうち重篤な毒性の頻度は5~10%であった。

 

次のステップ

今後の試験で、テモゾロミド維持療法が最も有益と思われる患者を明確にする予定である。研究者らは退形成性神経膠腫の予後に影響する因子として知られる他の遺伝子異常、すなわちMGMT遺伝子プロモーターのメチル化と IDH 変異の評価あるいは再試験を検討中である。

 

退形成性神経膠腫とは

神経膠腫(グリオーマ)とは、脳内の支持細胞であるグリア細胞から発生する腫瘍である。退形成性神経膠腫はまれな腫瘍であり、原発性脳腫瘍の約2%を占め、非常に悪性度の高い腫瘍である。しばしば若年成人にみられ、診断時の年齢中央値は35歳から50歳である。グレード3の退形成性神経膠腫は急速に成長、進行し診断から2、3年以内に膠芽腫に進行することもある。

 

本試験は以下から無制限に資金提供を受けた。シェリングプラウ/MSD、欧州がん研究治療機関(EORTC)、キャンサーリサーチUK(試験番号CRUK/07/028)、NRG grants U10CA180868(NRG Oncology Operations)およびU10CA180822(NRG Oncology SDMC)、Cancer Australia(grants APP1078665、APP1026842)。テモゾロミドはシェリングプラウ/MSDより提供された。

 

抄録の全文はこちら

原文掲載日

翻訳武内優子

監修西川 亮(脳腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター)

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