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米国でワクチンが標的とする型のHPV感染有病率が低下

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米国でワクチンが標的とする型のHPV感染有病率が低下

米国国立がん研究所(NCI)ブログ~がん研究の動向~

 

米国ではHPVワクチン接種の推奨以降、4価HPVワクチンが標的とする型のヒトパピローマウイルス(HPV)による感染が、10代女児で約1/3に低下したことが新規研究の結果から示された。本研究は4価HPVワクチン導入以降、米国内の20代前半の女性でそのワクチンが標的とする4種類の型のHPV有病率が低下したことを示す最初の研究でもある。

 

米国では、HPV(ほとんど全ての子宮頸がんを引き起こし、性的接触を通じて感染する)の定期予防接種が2006年半ば以降、11~12歳の女児、および、まだワクチン接種歴がない26歳以下の女性に対して、推奨されている。

 

HPVワクチン接種は2011年以降、男性に対しても推奨されている。

 

本新規研究(2月22日、Pediatrics誌 に掲載)には、米国全国健康・栄養調査(NHANES;米国内の成人・小児の健康状態を評価する全国調査)に参加した14~34歳の女児・女性由来のデータが使用された。

 

HPVワクチン推奨以降、HPV 有病率が低下

 

2014年の間、米国内のHPVワクチン被接種者のほぼ全員が4価ワクチン(ガーダシル;HPV 6型、11型、16型、および18型による感染に対して防御効果を示す)の接種を受けた。16型と18型はいずれも全子宮頸がんの約70%、ならびに、ほとんどの肛門がん、口腔咽頭がん、腟がん、外陰がん、および陰茎がんを引き起こす高リスク型HPVである。6型と11型はがんを引き起こさないが、生殖器、肛門、口、もしくは咽頭の上やその周辺にいぼを引き起こす可能性がある。

 

本研究で、Lauri Markowitz医師 が率いる研究者ら(米国疾病予防管理センター;CDC)は、2003~2006年(4価HPVワクチン導入前)の各年齢群の女性におけるHPV有病率を2009~2012年(NHANESの結果が入手可能な最新の年)のそれと比較した。

 

本解析結果から「最初にHPVワクチン接種の効果を期待していた年齢群でHPV有病率が低下した」ことが示されたと、Markowitz氏は述べた。

 

14~19歳の女児の間で、4価HPVワクチンが標的とする4種類の型の感染有病率は11.5%(HPVワクチン導入以前)から4.3%(導入以降)に低下した。20~24歳の女性の間で、HPV感染の有病率は18.5%から12.1%に低下した。その一方で、その4種類の感染率は25~29歳または30~34歳の女性では変化しなかった。性交渉経験のある14~24歳の女性で、その4種類の有病率は4価HPVワクチン接種回数が1回以上の女性で2.1%、未接種女性で16.9%であった。

 

推奨されてきたHPVワクチンの3回接種を受けた米国内の女児・若年女性の比率が比較的低かったことを考慮すると、HPV有病率の低下は予測したよりも若干高かったと、Markowitz氏は述べた。「NHANESによると、2014年に13~17歳の女児の約60%は接種を1回以上受け、約40%は3回接種を受けました」。

 

こうした予測を上回るHPV有病率の低下は、HPVワクチンの2回以下の接種により得られた予防効果(最近の臨床試験が支持している見解から十分説明可能な解釈)、または、被接種者から未接種者への感染の減少(集団免疫という現象)のいずれかに起因する可能性がある、とMarkowitz氏は述べた。

 

改善の余地

 

「この(HPVワクチンの)効果を目撃したことは実に心強いです。米国ではワクチンに費やせる予算はわれわれが期待していたほど高くはありません」と、Markowitz氏は述べた。「こうした予算をより多く得ることができれば、子宮頸がんや女性および男性の他のHPV由来がんの予防という最終目標に向かってより大きな効果を得ることができるでしょう」。

 

NCIは CDCと他の政府機関、ならびに非政府機関と共同で、米国内のHPVワクチン接種率向上に努めています。「私たちはがん研究者に資金を供給してHPVワクチンの普及およびワクチン接種における障壁の解明を促す介入方法を開発させ、かつ、HPVワクチン普及の促進に関心を持っている関係者と幅広く連携もしています」とSarah Kobrin医学博士(公衆衛生学修士、NCIがん制御・疫学部門(DCCPS)保健制度・介入研究分野)は述べた。

 

「私たちは本研究が実地臨床に影響していることを確認することにも尽力しています」とCynthia Vinson医学博士(DCCPS実践研究チーム)は述べた。「CDCによる今回のような新たな研究の心強い結果により、私たちはHPVワクチン接種が(最終的に)子宮頸がんや他のHPV由来がんを減少させているという確信に関して支援し続けることができます」とKobrin氏は言い添えた。

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HPVワクチン導入以前(2003~2006)とHPVワクチン導入以降(2009~2012)を比較

  • 4価HPVワクチンが標的とする型のHPV感染有病率

14~19歳の女児で64%低下

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HPVワクチン導入以前(2003~2006)とHPVワクチン導入以降(2009~2012)を比較

  • 4価HPVワクチンが標的とする型のHPV感染有病率

20~24歳の女性で34%低下

(出典:Markowitz LE, Liu G, Hariri S, et al. Pediatrics. 2016 Mar; 137(3):1-9.)

 

参考文献

 

原文掲載日

翻訳渡邊 岳

監修喜多川 亮(産婦人科/東北医科薬科大学病院)

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