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ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

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ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

NCIファクトシート 原文更新日:2015年2月19日


<目次>

  • ヒトパピローマウイルス(HPV)とは何ですか。
  • どのようながんがHPVにより引き起こされますか。
  • どのような人がHPVに感染しますか。
  • HPV感染を予防することはできますか。
  • どのようなHPVワクチンが使用できますか。
  • HPVワクチンはどのようにして作用しますか。
  • HPVワクチンはどのようにして効果を示しますか。
  • なぜHPVワクチンは重要ですか。
  • なぜほとんどの人にとってHPVワクチン接種は重要ですか。
  • どのようにしてHPVワクチンは安全性が確定されますか。
  • どのような人がHPVワクチン接種を受けるべきですか。
  • HPV既往感染者にHPVワクチンを接種すべきですか。
  • 子宮頸部細胞がすでに変化した女性はHPVワクチン接種を受けるべきですか。
  • HPVワクチン被接種女性でも子宮頸がん検診を受ける必要がありますか。
  • HPVワクチンの接種費用はいくらですか。また、保険で補償されますか。
  • HPV感染症予防戦略に関してどのような研究が実施されていますか。
  • どうすればHPV感染症に関してより詳しく知ることができますか。

ヒトパピローマウイルスとは何ですか?

ヒトパピローマウイルス(HPV)は200種類以上あるウイルスの一群です。その内の40種類以上の型が直接的な性的接触を通じて、感染者の皮膚や粘膜からそのパートナーの皮膚や粘膜へ容易に伝染する可能性があり、膣性交、肛門性交、および口腔性交により伝染します(1)。他の型のHPVは生殖器以外にできるいぼの原因になりますが、こうしたいぼは性感染しません。

性感染性HPVは以下の2種類の型に分類されます。

  • 低リスク型:がんを引き起こしませんが、生殖器、肛門、口、もしくは咽頭上に、またはその周辺に皮膚のいぼ(専門用語で尖圭コンジローマと言われます)を引き起こすことがあります。具体的には、HPV6型と11型が性器いぼ全ての90%を引き起こします。HPV6型と11型は、鼻および口から肺に至る気道内において良性腫瘍が増殖する、再発性呼吸器乳頭腫症も引き起こします。
  • 高リスク型:がんを引き起こすことがあります。これまでに約10種類の高リスク型HPVが特定されています。このうちHPV16型と18型の2種類が、ほとんどのHPVによるがんを引き起こします(23)。

HPV感染症は米国で最も頻度の高い性感染症です。毎年、性器HPV感染症が新たに約1,400万症例発生しています(4)。実際、性交渉経験がある男性の90%以上と性交渉経験がある女性の80%以上が、生涯のある時点で1種類以上のHPVに感染すると米国疾病予防管理センター(CDC)は算出します(5)。 こうしたHPV感染の約半数は高リスク型HPV感染です(6)。

ほとんどの高リスク型HPV感染は、何の症状も発現せずに1~2年以内に消失し、がんを引き起こしません。しかし、一部のHPVは長期間持続感染することがあります。高リスク型HPVの持続感染により細胞が変化することがあり、また未治療だとがんになることがあります。

 

どのようながんがHPVにより引き起こされますか?

高リスク型HPVは以下の数種類のがんを引き起こします。

  • 子宮頸がんHPVはほとんど全ての子宮頸がんを引き起こし、HPV16型と18型の2種類が全症例のうち約70%を引き起こします(78)。
  • 肛門がん肛門がんの約95%がHPVにより引き起こされます。そのほとんどがHPV16型により引き起こされます。
  • 中咽頭がん(軟口蓋、舌根、および扁桃を含む咽喉中間部のがん):中咽頭がんの約70%がHPVにより引き起こされます。米国では、中咽頭がんと診断されたもののうち半数以上がHPV16型に関係しています(9)。
  • 希少がん:HPVは膣がんの約65%、外陰がんの約50%、および陰茎がんの約35%を引き起こします(10)。こうしたがんのほとんどがHPV16型により引き起こされます。

高リスク型HPVは全世界で全てのがんの約5%を引き起こします(11)。米国では、高リスク型HPVは女性のがん症例全ての約3%と、男性のがん症例全ての約2%を引き起こします(12)。

 

どのような人がHPVに感染しますか?

性交渉経験がある(すなわち、膣性交、肛門性交、または口腔性交を含む皮膚同士が接触する性行為をしたことがある)人は誰でもHPVに感染する可能性があります。HPVはパートナー同士の間で性行為を介して容易に伝播します。性的パートナーが多数いる人や、あるいは性的パートナーが多数いた人と性交している人ではHPV感染がより起こりやすくなります。HPV感染はよく起こることなので、ほとんどの人は初めての性交の直後にHPVに感染します(1314)。性的パートナーが1人だけの人でもHPVに感染する可能性があります。

何年も前にたまたまHPV感染者と一度だけ性交をし、その後何の症状も出ていないという人でも、HPVに感染している可能性があります。

 

HPV感染を予防することはできますか?

性交渉経験がない人は、性器HPV感染症を発症することはほとんどありません。また、性交前のHPVワクチン接種により、そのワクチンが標的とする型のHPVによる感染リスクが減少する可能性があります。

米国食品医薬品局(FDA)は HPV感染予防ワクチンであるガーダシル®ガーダシル®9、およびサーバリックス®の3種類を承認しています。こうしたワクチンは新たなHPV感染に対して強い防御効果を示しますが、 HPVの感染が確立した場合やHPVによる疾患の治療には効果がありません(1516)。

正しくかつ常にコンドームを使用することで、性的パートナー間のHPV感染が減少しますが、余り使用しないと感染は減少しません(8)。しかし、コンドームで覆われていない部分がHPVに感染する可能性があるため(7)、コンドームはHPV感染に対して完全な防御効果を示す可能性は低いです。

 

どのようなHPVワクチンが使用できますか?

HPV感染予防ワクチンであるガーダシル®ガーダシル®9、およびサーバリックス®の3種類がFDAにより承認されています。これら3種類のワクチンは全て、高リスク型HPVである16型と18型による感染を予防します。これら2種類の型のHPVは子宮頸がんの約70%と、その他にもHPVが関与するがんの大半を引き起こします(910)。ガーダシル®は性器いぼの90%を引き起こすHPV6型と11型による感染も予防します(17)。ガーダシル®は4種類の型による感染を予防するので、4価ワクチンと言われます。ガーダシル®9はこれら4種類のHPVの型に加え、5種類の高リスク型HPV(31型、33型、45型、52型、および58型)による感染も予防するので、9価ワクチンと言われます。これらの3種類のワクチンは全て、6カ月の間に3回筋肉内投与されます。

FDAはガーダシル®とガーダシル®9を、9~26歳の女性に対するHPVによる子宮頸がん、外陰がん、膣がん、および肛門がん、子宮頸部、外陰部、膣、および肛門の前がん病変、ならびに性器いぼの予防ワクチンとして承認しています。ガーダシル®とガーダシル®9は男性に対するHPVによる肛門がん、肛門の前がん病変、および性器いぼの予防ワクチンとしても承認されています。ガーダシル®は9~26歳の男性に対して承認されており、またガーダシル®9は9~15歳の男児に対して承認されています。

ガーダシル®接種歴がある女性と男性は、ガーダシル®9の接種を受けることもできます。FDA にはhttp://www.fda.gov/downloads/BiologicsBloodVaccines/Vaccines/ApprovedProducts/UCM426460.pdfに、患者向けのガーダシル®9に関する情報があります。

サーバリックス®はグラクソ・スミスクライン(GSK)社製です。サーバリックス®はHPV16型と18型の2種類を標的とする2価ワクチンです。FDAはサーバリックス®を、9~25歳の女性に対するHPVによる子宮頸がんの予防ワクチンとして承認しています。

これらのワクチンは、標的とするHPVの型に対する防御効果を示すだけでなく、他にもがんを引き起こすいくつかの型に対し部分的な防御効果を示します。これを交差防御と言います。これらのワクチンは他の性感染症の予防にはならず、また既にHPV感染症がある場合やHPVによる疾患の治療にもなりません。

現在使用されているHPVワクチンは、発がん性HPV感染症全てに対する防御効果を示さないため、ワクチン接種歴がある女性も子宮頸がん検診を受け続けることが重要です。ワクチン接種歴がある女性に対する推奨事項については、将来変更があるかもしれません。

 

HPVワクチンはどのようにして作用しますか?

ウイルス感染を予防する他のワクチンと同様に、HPVワクチンは、人体が将来HPVに感染したときにそれに結合し、細胞への感染を予防する抗体を産生するよう促します。現在使用されているHPV ワクチンは、HPV外殻タンパク質によって作られるウイルス様粒子(virus-like particle : VLP)を基盤としています。VLPはウイルスDNAを持たないので、感染性を示しません。しかしながら、VLPは野生型ウイルス粒子に酷似し、また抗VLP抗体は野生型ウイルス粒子に対する活性も示します。VLPは免疫原性が強いことが分かっており、このことはVLPが体内において大量の抗体産生を誘導することを意味します。これによりHPVワクチンは高い効果を示します。

HPVワクチン製造に使用されるVLP製造技術は、米国国立がん研究所(NCI)と他の研究者により開発されました。メルク社(米国とカナダ以外では MSD)とGSKが市販用HPVワクチンを開発するように、NCIはVLP製造技術の使用を許諾しました。

 

HPVワクチンはどのようにして効果を示しますか?

HPVワクチンはHPVに最初に曝露される前に、すなわち性行為をし始める前に接種されると、標的とする型のHPVによる感染予防に高い効果を示します。ガーダシル®サーバリックス®が承認されることになった臨床試験では、これらのワクチンがHPV16型と18型による子宮頸部への持続感染と、それに伴う子宮頸部の細胞の変化に対して、ほぼ完全な防御効果を示すことが分かりました。ガーダシル®9は、ガーダシル®と共通の4種類の型(6型、11型、16型、および18型)が引き起こす疾患に対する予防ワクチンとして、それと同等の効果を示します。これは臨床試験の参加者で同等の抗原抗体反応が生じたことに基づいています。ガーダシル®9が承認されることとなった臨床試験では、新規に追加された5種類の型(31型、33型、45型、52型、および58型)が引き起こす子宮頸部、外陰部、および膣の疾患の予防に97%の効果を示すことがわかりました(18)。

現在までに、標的となるHPVの型に対する防御効果はガーダシル®で8年以上(19)、およびサーバリックス®で9年以上持続したことが分かりました(20)。ガーダシル®9による防御効果の持続期間についてはまだわかっていません。現在ワクチンの効果に関する長期試験が行われており、その結果から研究者らは防御効果の総持続期間をより詳しく理解するでしょう。

男性に対するガーダシル®の臨床試験から、ガーダシル®はHPVの持続感染が引き起こす肛門の細胞の変化と性器いぼを予防することが示されました(21)。サーバリックス®の臨床試験に参加した女性由来データの解析により、サーバリックス®は、肛門(22)と口腔23)におけるHPV16型と18型による持続感染から女性を防御することが示されました。

これらのHPVワクチンは全て、6カ月にわたり3回接種されることになっています。しかしながら、ある臨床試験ではHPV16型と18型による持続感染について、サーバリックス®を2回接種した女性でも3回接種した女性と同等の防御効果が認められ、かつこの効果は4年間の追跡調査を通じて認められました(24)。さらに1回接種でも防御効果が認められました。他の臨床試験では、サーバリックス®またはガーダシル®を2回接種した思春期女児において、3回接種した15~25歳の女性と同程度の強い免疫反応が認められました(2526)。米国では3回接種が現在でも推奨されていますが、これまでのエビデンスに基づき世界保健機関(WHO)は、HPVワクチンの2回接種を標準的な接種として推奨しています。

HPVワクチンの2回以下の接種でも防御効果の持続期間が適切なものになるかどうかを判断するためには、より多くの臨床試験が必要です。

 

なぜHPVワクチンは重要ですか?

サーバリックス®またはガーダシル®接種の普及により、全世界の子宮頸がん発生率が3分の2程度減少する可能性があり、またガーダシル®9はさらに高率で子宮頸がんを予防する可能性があります。さらにHPVワクチンは、治療、生検そして子宮頸がん検診に伴う侵襲性処置の必要性を減らすため、結果的には医療費の削減および追跡調査に関連する不安の軽減に役立つことになります(27)。

最近まで、子宮頸がんに比べHPVによる他のがんはそれほど一般的ではありませんでした。しかしながら、HPV陽性中咽頭がん肛門がんの発生率が上昇している一方で(12)、子宮頸がんの発生率は低下しています。これは主に非常に効果的な子宮頸がん検診プログラムによります。したがって米国における子宮頸部以外の HPV陽性がん(非子宮頸がん)の発生数は現在、子宮頸がんの発生率と差がありません。さらにHPV陽性非子宮頸がんのほとんどが男性に発生します。子宮頸がん以外のがんに対する正式な検診プログラムがないので、HPVワクチン接種の普及は公衆衛生上重要な利益になる可能性があります。

 

なぜほとんどの人々にとってHPVワクチン接種は重要ですか?

HPVワクチン接種は、子宮頸部以外の部位におけるHPV関連がんの発生リスクの減少を目的とする、承認された公衆衛生的介入です。HPVワクチン接種と子宮頸がん検診を併用することで、子宮頸がんに対する最大の防御効果が示される可能性があります。できる限り多くの人がHPVワクチン接種を受けることが重要です。HPVワクチン接種は、各ワクチンが標的とする型のHPVによる感染から被接種者を防御するだけではありません。ある集団において、ある程度の割合でHPVワクチンを接種することで、標的の型となるHPVの有病率を低下させることが期待できます。その結果、ワクチン非接種者に対する防御効果がある程度示されます(集団免疫と言う現象)。例えば女児が高率でガーダシル®接種を受けているオーストラリアでは、当時ワクチン接種を受けていなかった若年男性においても、ワクチン接種プログラム開始後4年以内には、若年女性と同様に性器いぼの発生率が低下しました(28)。

 

どのようにしてHPVワクチンは安全性が確定されますか?

どのワクチンでも認可する前に、FDAがその安全性と効果を確定する必要があります。3種類のHPVワクチンは全て、米国と他の多くの国々で幾万人の人々を対象に臨床試験が実施されました。現在まで、HPVワクチンにより引き起こされる重篤な副作用はないことが示されています。最も頻度が高い問題は、接種部位における一時的な疼痛と他の局所症状です。こうした問題は他のワクチンで高頻度に認められるものと同様です。HPVワクチンは妊娠中における臨床試験が十分に実施されていないので、妊婦に対しては使用すべきではありません。

FDAとCDCによる最近の安全性レビューにより、ガーダシル®の認可以来予防接種後副反応報告システムに報告されている、このワクチンに関連した有害な副作用が検討されました(2930)。その安全性レビューによると有害な副作用の発生率は、ガーダシル®の認可前に実施された安全性試験で認められたものと合致し、また他のワクチンで認められたものと同様でした。しかしながら、失神と静脈血栓塞栓症イベント(血栓)は、他のワクチンで通常認められるものと比較して、ガーダシル®で高率に認められました。血栓が形成された患者には、経口避妊薬の服用など血栓形成に関する既知の危険因子がありました。デンマークとスウェーデンで実施されたガーダシル®の安全性レビューでは、血栓のリスクの増加は特定されませんでした(30)。

失神後の転倒は時に頭部外傷などの重篤な外傷を引き起こすことがあります。ワクチン被接種者を接種後最大15分間椅子に腰を掛けさせることで、こうした外傷を大抵は予防することができます。FDAとCDCは医療従事者に対して、失神と外傷を予防するために、ワクチン被接種者全員を接種後15分間椅子に腰を掛けさせる、もしくは体を横たえさせる、そして入念に観察するよう指示しました。詳細はCDCのサイトhttp://www.cdc.gov/vaccinesafety/Vaccines/HPV/Index.htmlから入手することができます。

 

どのような人がHPVワクチン接種を受けるべきですか?

3種類のHPVワクチンは全て、HPVに感染する前に接種した場合にのみ効果を示すことが証明されています。従って、性交渉をする前にワクチン接種を受けることが推奨されています。

ワクチンはFDAによる認可を受けた後に、米国予防接種諮問委員会(the Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)が米国保健社会福祉省長官とCDC所長に対し、ワクチン接種対象者、接種年齢、接種間隔、適切な接種量、および接種すべきではない状況に関する追加勧告を行います。

米国予防接種諮問委員会(ACIP)は医療や公衆衛生の専門家15人から成り、米国における疾病管理用ワクチンの使用法に関する勧告を作成しています。ACIPはHPVワクチン接種に関して以下の勧告を作成しました(31)。

  • 11~12歳でのHPVワクチンの定期接種開始(9歳になった時点で3回接種を始めることができます)。
  • ワクチン接種歴のない、または3回接種を済ませていない13~26歳の女性と13~21歳の男性に対する接種。22~26歳の男性は接種を受けることができます。
  • 男性と性交している26歳までの男性と接種歴のない免疫不全患者に対する接種。
  • 過去に接種されたHPVワクチン製剤が不明もしくは無効、または医療従事者がガーダシル®9の接種に切り替えている場合、使用可能なHPVワクチン製剤を女性に使用して3回接種を続けるか、または済ませることができます。ガーダシル®9またはガーダシル®を男性に使用して3回接種を続けるか、または済ませることができます。

 

HPV既往感染者にHPVワクチンを接種すべきですか?

HPVワクチンはHPV既往感染者に接種しても安全であることが分かっていますが、HPV感染症を治療しません。性交渉をする前にHPVワクチン接種を受けると、HPVワクチンは最大の利益をもたらします(15)。

HPVに曝露された人は、たとえHPVワクチンに含まれるその型のうち1つまたはそれ以上にすでに感染していたとしても、ワクチンから得られる利益はあります。

現在のところ、HPVに曝露された人を特定するための一般に利用可能な検査方法は存在しません。現在承認済みのHPV検査では、子宮頸部において高リスク型HPVにその時点で感染しているかどうかが示されるだけで、既往感染に関する情報は示しません。

 

子宮頸部細胞がすでに変化した女性はHPVワクチン接種を受けるべきですか?

細胞診で異常が認められた場合、HPV感染が示唆されますが、HPVワクチンは未感染の高リスク型HPVから防御する可能性があることから、接種年齢群に属するこうした女性は接種を受けるようACIPは推奨しています。しかしながら、HPVワクチン接種は、すでに罹患しているHPV感染症や細胞診における異常を治療しないということを本人に伝える必要があります(32)。

 

HPVワクチン被接種女性はそれでも子宮頸がん検診を受ける必要がありますか?

その通りです。HPVワクチンは発がん性の型全てに対する防御効果を示さないため、子宮頸部細胞における前がん病変を、それらががん化する前に発見するために子宮頸がん検診が引き続き不可欠です。また、子宮頸がん検診の検査方法であるHPV-DNA検査、またはHPV-DNA検査細胞診を同時に行うことは、ワクチン未接種女性やHPV既往感染女性にとって非常に重要です。被接種女性に対する検診に関する推奨事項については、将来変更があるかもしれません。

 

HPVワクチン接種費用はいくらですか、また保険で補償されますか。

HPVワクチンの販売価格は、1回接種当たり約130~160ドルです(33)。しかし、ワクチン接種の実費は、それを実施する医療施設によって決まることがあります。医療施設は人件費やワクチン接種用備品費を請求することがあります。実例として、各人の所得水準や保険金に従って接種費用を設定する費用スライド制を設けることがあります。

HPVワクチン接種費用を知る最善の方法は、民間保険プランや医療施設と連絡を取ることです。

ほとんどの民間保険プランはHPVワクチン接種費用に適用されます。米国連邦政府医療費負担適正化法(Affordable Care Act:ACA)は全ての新規民間保険プランに対し、推奨済みの予防医療(HPVワクチン接種を含む)には、患者の負担や控除免責がないような保険を適用するよう命じています。

メディケイド(米国における公的医療保険制度)は、ACIPによる勧告に従ってHPVワクチン接種費用に対して適用されます。なお、メディケイドの下では、20歳以下の有資格者の予防接種は必ず保険適用となる医療行為です。また、米国連邦政府による小児のためのワクチン接種プログラムは、18歳以下の小児に予防接種を受けさせるものです。その対象となる小児は、メディケイドの有資格者、保険未加入者、保険内容が十分でない者、連邦政府認可保健センターもしくは地方診療所で予防接種を受けた者、または、アメリカ先住民もしくはアラスカ先住民です。同プログラムに関する詳細は、http://www.cdc.gov/vaccines/programs/vfc/index.html から入手することができます。

ワクチン製造企業もまた、HPVワクチン接種を受ける経済的余裕がない人への支援をしています。GSK社はワクチン接種プログラムを提供しています。同プログラムでは、小児のためのワクチン接種プログラムの対象年齢を超えた19~25 歳の女性のうち、健康保険未加入で所得の低い人を対象として、サーバリックス®を無料で提供しています。詳細は、http://www.GSK-VAP.comから、または1–877–822–2911に電話することで入手することができます。

メルク社はメルクワクチン患者支援プログラムを提供しています。同プログラムでは、健康保険未加入またはワクチン接種を受ける経済的な余裕がない20歳以上の人に対して、ガーダシル®を無料で提供します。詳細は、http://www.merck.com/merckhelps/vaccines/から、または1–800–293–3881に電話することで入手することができます。

 

どのような研究がHPV感染症予防戦略に関して実施されていますか?

NCIは子宮頸がんの発生率が高いコスタリカを対象にした、サーバリックス®の臨床試験に参加した女性に関する長期追跡調査を実施しています。本調査は、サーバリックス®の長期にわたる安全性、防御効果の範囲と持続期間、2回以下の接種で示される防御効果の範囲、被接種女性に対する子宮頸がん検診の各種検査の性能、免疫の防御機構、およびサーバリックス®に含まれていない型のHPVの自然感染歴 に関する情報を得るように考えられています。GSK社とメルク社は、スカンディナヴィア諸国在住の被接種者を15年間以上追跡調査し、サーバリックス®とガーダシル®の両者による防御効果が15年以上持続することを立証しています。

NCIと他の施設の研究者らは、HPV感染歴のある女性においてがんの発症を予防することができるような、HPV 治療用ワクチンの開発に取り組んでいます。理想的な戦略は予防ワクチンと治療用ワクチンの併用になるでしょう。

現在研究中のもう1つの予防戦略は局所性殺ウイルス薬です。カラギーナンは海藻の一種から抽出され、食品や他の製品に幅広く使用される化合物ですが、基礎研究においてはこのカラギーナンがHPV感染を阻害することが分かりました。現在、カラギーナン含有局所性殺ウイルス薬による性器HPV感染症の予防効果を検証する臨床試験が進行中です。

 

どうすればHPV感染症に関してより詳しく知ることができますか?

以下の米国連邦政府関係機関がHPV感染症に関してより詳しい情報を提供しています。

機関:米国疾病予防管理センター
住所:〒30333 ジョージア州アトランタ市クリフトン通1600
電話番号:1–800–CDC–INFO (1–800–232–4636)午前8:00~午後8:00(東部標準時)、月~金曜日
テレタイプ番号:1–888–232–6348
ウェブサイト:  http://www.cdc.gov/std
http://www.cdc.gov/hpv/
電子メール:cdcinfo@cdc.gov

 

主要参考文献

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原文掲載日

翻訳渡邊 岳

監修朝井 鈴佳(獣医学・免疫学)

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