FDAが脂肪肉腫の治療にエリブリンメシル酸塩を承認 | 海外がん医療情報リファレンス

FDAが脂肪肉腫の治療にエリブリンメシル酸塩を承認

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

FDAが脂肪肉腫の治療にエリブリンメシル酸塩を承認

FDA(米国食品医薬品局)

速報

 

米国食品医薬品局(FDA)は1月28日、手術で取り除くことができない(切除不能)もしくは進行性(転移性)の脂肪肉腫(軟部肉腫の一種)の治療として、化学療法のひとつであるエリブリンメシル酸塩(商品名:ハラヴェン)を承認した。この治療は、以前にアントラサイクリンを含む化学療法を受けたことのある患者に対して承認された。

 

FDA医薬品評価研究センターの血液学・腫瘍製品室長Richard Pazdur医師は、次のように語る。「エリブリンメシル酸塩は、脂肪肉腫の患者の生存期間を改善して承認された最初の薬剤です。FDAが審査した臨床試験データは、エリブリンメシル酸塩が全生存期間を約7カ月延長させたことを示しており、患者にとって臨床的に有意義な薬剤と言えます」。

 

軟部肉腫は、筋肉、腱、脂肪、血管、リンパ管、神経、関節周辺組織など、体内の軟部組織でがん細胞が形成される疾患である。脂肪肉腫は、脂肪細胞に発生する特殊な軟部肉腫である。軟部肉腫は体内のほぼあらゆる箇所で形成されるが、特に頭部、頸部、腕、脚、体幹、腹部に発生することが多い。米国国立がん研究所(NCI)によると、米国では2014年に推定12,000症例の軟部肉腫が診断されている。

エリブリンメシル酸塩の有効性と安全性の評価は、切除不能もしくは近傍のリンパ節(局所進行)やほかの部位(転移性)に拡がった進行性脂肪肉腫患者で化学療法を受けたことのある143人を対象に実施された。患者は、転移が認められるまで、もしくは治療の副作用に耐えられなくなるまで、エリブリンメシル酸塩もしくはダカルバジンと呼ばれる別の化学療法薬による治療を受けた。この試験は、治療開始から患者が死亡するまでの期間(全生存期間)を計るように設計された。エリブリンメシル酸塩を投与された脂肪肉腫患者の全生存期間中央値は15.6カ月で、ダカルバジンを投与した患者は8.4カ月であった。

 

エリブリンメシル酸塩を投与された患者で発現頻度の高い副作用は、疲労、悪心、脱毛(脱毛症)、便秘、両手足の脱力やしびれの原因となる特定の神経損傷(末梢神経障害)、腹痛、発熱などがある。また、エリブリンメシル酸塩は、感染症を防御する白血球の低下(好中球減少症)、カリウムもしくはカルシウムの減少を引き起こす可能性もある。

 

エリブリンメシル酸塩治療の重篤な副作用として、白血球数の減少(重篤な感染の危険性を増加させ、死に至る可能性もある)、両手足のしびれ・ピリピリ感・灼熱感(神経障害)、胎児発育への害、死に至る可能性のある心拍変化(QT延長)がある。

 

FDAは、エリブリンメシル酸塩の申請に優先審査を適用している。これは、重篤もしくは生命を脅かす疾患を抱える患者にとって有益となる可能性を考慮し、特定の薬剤の開発および審査を円滑・促進させることを意図している。また、エリブリンメシル酸塩は希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されている。この指定は、税額控除、ユーザーフィー免除(審査費用免除)、独占権などの優遇策を講じることで、希少疾病用の薬剤開発を支援・奨励している。

 

エリブリンメシル酸塩は、ニュージャージー州ウッドクリフ・ レイクに拠点を置くエーザイ社が販売している。

 

FDAは、連邦政府保健福祉省内に設けられた機関で、国民の健康を増進しこれを守るために医薬品、動物用医薬品、ワクチンおよび生物製剤や医療機器の安全性と有効性の確保に努めている。FDAは、米国の食糧供給の確保や食品安全、化粧品、健康補助食品、電磁波を放出する製品の安全性を保証し、たばこ製品を規制する責務も担っている。

 

原文掲載日

翻訳白石里香

監修遠藤 誠(肉腫、骨軟部腫瘍/国立がん研究センター中央病院)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 五十音 アルファベット 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他