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CAR T細胞療法がリンパ腫および白血病患者に対して有望性を示す

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CAR T細胞療法がリンパ腫および白血病患者に対して有望性を示す

米国がん学会(AACR) プレスリリース

 

化学療法による前処置がCAR T細胞療法の治療効果を改善する助けとなる可能性

 

第1/2a相試験において、化学療法による前処置を組み合わせた第三世代のCD19 CAR T細胞療法が、一部のリンパ腫および白血病患者に完全寛解をもたらしたことが、9月16~19日開催のCRI-CIMT-EATI-AACR国際がん免疫療法会議にて発表された試験結果で示された。

 

「第三世代のCAR T細胞は、米国で白血病患者を対象として順調に臨床試験が実施されています。そこで、我々の臨床試験の主な目的は、スウェーデンの白血病患者でも良好な結果を示せるかどうかを評価し、さらにリンパ腫の患者にもこの治療が有効であるかどうかを確認することとしました」と、スウェーデンにあるウプサラ大学の免疫療法学教授であるAngelica Loskog博士は述べた。

 

Loskog氏によると、この試験はウプサラ大学と米国にあるベイラー医科大学との連携で実施されており、米国以外でCD19 CAR T細胞を用いた結果が示された最初の試験となる。

 

B細胞に発現するCD19と呼ばれるタンパク質を標的とした第三世代のCAR T細胞は、米国において白血病患者を対象とした試験が実施されており、有望な結果を示しているとLoskog氏は説明した。しかしながら、このタイプの治療法でリンパ腫を治療することは、CAR T細胞が作用するのを妨げる免疫抑制細胞の濃度が高いことから、難しいとされてきた。その上、障害のある血管や繊維組織のような障壁が、CAR T細胞が腫瘍に到達するのを難しくする可能性がある。

 

これらのことから、臨床試験では、化学療法による腫瘍の縮小と免疫抑制細胞数を減らすためのプレコンディショニングを組み合わせることで、治療効果が改善されるかどうかをLoskog氏は同僚らと調べた。

 

「この試験に登録された11人の患者のうち6人で完全寛解が得られました」とLoskog氏は述べた。「発表された他のデータと比較して低い用量でのプレコンディショニングしか受けていないという事実にもかかわらず、リンパ腫の患者で完全寛解が認められたのは驚きでした。CAR T細胞投与前の腫瘍縮小のための数週間の化学療法とともに、CAR T細胞を投与する直前のプレコンディショニングを組み合わせる戦略が有望であると思われます」。

 

Loskog氏とウプサラ大学の研究者であるHannah Karlsson博士が同僚らとともに行った臨床試験に登録された11人の患者のうち、4人が白血病(急性リンパ芽球性白血病あるいは慢性リンパ性白血病)、7人がリンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫あるいはバーキットリンパ腫)であった。

 

CAR T細胞療法を受ける3から30日前に、すべてのリンパ腫患者は腫瘍量を軽減するために化学療法を受け、6人の患者(白血病の患者3人とリンパ腫の患者3人)が免疫抑制細胞数を減らすためにCAR T細胞療法の1から2日前に、プレコンディショニングのための併用化学療法(シクロフォスファミド+フルダラビン)を受けた。すべての患者はCAR T細胞の投与を外来にて一回受けた。各患者への投与は、試験に用いられた3用量のうちの1用量で行われた。

 

白血病患者3人とリンパ腫患者3人の合計6人の患者で、完全寛解が得られた。後に、このうち2人で再発が認められた。完全寛解が認められた患者のうち5人が、プレコンディショニングのための治療を受けていた。CAR T細胞療法でよく見られる副作用のサイトカイン放出症候群は外来治療で対処しうるものであり、ほとんどの患者ですぐに症候の軽減が見られたとLoskog氏は報告している。

 

「CAR T細胞の投与前日にプレコンディショニングのための治療を受けなかった最初の5人の患者のうち、第一完全奏効が得られたのは1人だけで、残りの患者では急速な疾患の進行が認められました。これとは対照的に、プレコンディショニングのための治療を受けた患者6人中5人で完全奏効が得られました」とLoskog氏は述べました。

 

「われわれが現在行っている解析によって、試験登録からT細胞投与前のいろいろな時点およびT細胞投与後の複数の時点での免疫抑制細胞数が示されるでしょう」とLoskog氏は述べた。
「CAR T細胞の機能を妨げることがないよう、長期にわたって免疫抑制細胞をコントロールする方法を見つけ出すことが、白血病とリンパ腫のみならず固形悪性腫瘍においても、長期間の完全寛解を得るためにおそらく重要となっていくでしょう」。

 

この試験は、AFA Insurances AB社およびスウェーデンがん協会より資金提供を受けた。Loskog氏は、Lokon Pharma AB社の最高経営責任者兼取締役である。Loskog氏はまた、Vivolux AB社およびRePos Pharma AB社の会長であり、NEXTTOBE AB社の科学顧問でもある。同氏は、Lokon Pharma AB社とAlligator Bioscience AB社との間で、ロイヤリティ契約を交わしている。Karlsson氏は、利益相反はないと公表している。

 

原文掲載日

翻訳田村克代

監修吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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