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新規薬剤atezolizumabが転移性尿路上皮がんに有望(ECC2015)

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新規薬剤atezolizumabが転移性尿路上皮がんに有望(ECC2015)

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

転移性尿路上皮がんに対する、PD-L1標的薬atezolizumabによる二次治療についての第2相IMvigor 210試験で、主要評価項目であるRESIST 1.1基準による全奏効率を達成

 

 議題:泌尿生殖器がん/免疫腫瘍学

オーストリアのウィーンで2015年9月25~29日にかけて開催されている欧州がん学会議(ECC)で発表された第2相臨床試験の結果によると、転移性尿路上皮がん(mUC)で、白金製剤ベースの化学療法を受けた後に増悪した予後不良の患者に対して、atezolizumab[アテゾリズマブ]が臨床的有用性を持つことが示された。

 

atezolizumabは、プログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)を標的とすることで免疫応答を回復し、有効な治療が切望されている尿路上皮がんに対して有用であることが示された。

 

PD-L1を発現する尿路上皮がん患者を対象としてatezolizumabは、米国食品医薬品局による「画期的治療薬指定(breakthrough therapy designation)」を受けた。

 

atezolizumabが非小細胞肺がん患者で奏効し、腫瘍のPD-L1の発現量に比例して腫瘍が縮小することはすでに示されていた。

 

IMvigor試験の主席試験医師である、米国ニューヨークのスローンケタリング記念がんセンター腫瘍内科のJonathan Rosenberg氏により、局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するatezolizumabの国際多施設共同第2相試験から得られた知見が報告された。

 

IMvigor 210試験では、白金製剤ベースの化学療法を受けている間、または受けた後に増悪した患者316人が登録された。atezolizumab 1200 mgを、21日1サイクルの第1日目に静注し、これを臨床的有用性がみられなくなるまで継続した。治療期間中央値は12週(期間の幅は0〜46週)だった。

 

主要評価項目は奏効率(ORR)で、中央判定(RECIST v1.1)による評価に加え、改変したRECIST v1.1に基づいた試験担当医師による評価も行った。副次的評価項目は奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性だった。

 

腫瘍組織のPD-L1発現を、SP142免疫組織化学(IHC)を用いて、中央判定により前向きに評価した。PD-L1の状態については、SP142抗体を用いた免疫組織化学によって、腫瘍細胞および免疫細胞(IC)のそれぞれで評価した。ただし、PD-L1の状態は患者と治験責任医師のどちらにも伏せておいた。

 

atezolizumabに対する反応はPD-L1に比例

2015年5月5日のデータカットオフの時点で、311人の患者データで有効性と安全性の評価が可能であった。ベースラインの背景では、ECOG PS 1が62%、年齢中央値が66歳、男性が78%、肝転移患者が31%を占めた。患者は濃厚な前治療歴があり、40%の患者は転移後に全身療法を2回以上受けており、74%の患者はシスプラチンベースの化学療法歴があった。

 

結果の解析は、免疫細胞でのPD-L1の発現量によって患者を分けた場合と、全患者を合わせた場合について行った。解析によると、すべての場合で奏効率が有意に改善し、とくにPD-L1の発現量が高いほど改善幅が大きかった。RECIST 1.1基準に基づく奏効率は、参加した全患者で15%(p = 0.0058)、IC1/2/3(PD-L1発現が1%以上)の患者で18%(p=0.0004)だったのに対し、IC2/3(PD-L1発現が5%以上)の患者では27%(p=0.0001)となった。

 

全体では、完全奏効(CR)が12人、部分奏効(PR)が35人だった。それに加えて15人が、RECIST v1.1基準では不確定の完全奏効および部分奏効となった。追跡期間中央値24週でのPFS中央値は、3つのグループすべてで2.1カ月だった。

 

カットオフ時点で奏効期間は中央値に到達しなかったものの、最短でも24週間の追跡期間で、奏効した患者の92%(47人中43人)で奏効が持続していた。全生存期間については十分な情報が得られていない。しかしPD-L1の発現量が高い患者では、全生存期間が長くなることが認められた。

 

治療関連の有害事象(AE)は、すべてのグレードを合わせると患者の66%にみられた。グレード3および4のAEは15%の患者でみられ、そのうち最も高頻度でみられたのは疲労で6人(2%)の患者に生じた。治療中止に至るAEは3%の患者にみられた。

 

オランダのErasmus大学メディカルセンター・ロッテルダムのRonald de Wit教授は、試験結果について考察し、転移性膀胱がんの二次治療で従来の化学療法を行ってもあまり効果がないと述べた。アメリカで最も用いられている薬剤はドセタキセルであるが、ヨーロッパのいくつかの国ではvinflunine[ビンフルニン]が使用されている。

 

将来的には、二次治療はPD-L1を標的としたatezolizumabおよびPD-1を標的としたpembrolizumab[ペンブロリズマブ]、VEGFR-2を標的としたドセタキセル+ラムシルマブになると思われる。IMvigor 210試験では、すべての患者を登録した。VENTANA PD-L1(SP142)CDxアッセイを用いて腫瘍浸潤免疫細胞を前向きに測定し、PD-L1の発現を3つのIHCスコアレベルに基づいて分類した。

 

本試験のデータは有望であるものの、第3相試験の結果が出るのを待たねばならない(IMvigor試験やKeynote試験など)。また、どのような患者に(最も)有用であるのかを特定することも重要であり、de Witt教授はそういう意味で免疫組織化学が実質的に有効である可能性があるのか疑問を呈した。

 


結論

試験担当医師らは、IMvigor 210試験が尿路上皮がんに対してPD-L1/PD-1標的薬を使用する初の第2相試験であると述べ、さらにatezolizumabと化学療法を比較する第3相試験のほかに、未治療で白金製剤が適応でない患者を対象とした試験も進行中であると補足した。

 

本臨床試験は、白金製剤による治療歴のある患者で奏効が持続するなど、主要評価項目を達成し、予備的なデータからは、免疫細胞での高いPD-L1の発現が、高い全奏効率および長い生存期間と関連することが示唆された。

 


出典

21LBA Atezolizumab in patients (pts) with locally-advanced or metastatic urothelial carcinoma (mUC): Results from a pivotal multicenter phase II study (IMvigor 210)

本試験はロシュ・グループのジェネンテック社から資金提供を受けた。

 

 

原文掲載日

翻訳筧 貴行

監修榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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