ニボルマブとエベロリムスを比較した試験は、ニボルマブが良好な生存期間を示したため早期終了

キャンサーコンサルタンツ

進行性または転移性腎臓がん患者を対象とした第3相臨床試験の結果によれば、ニボルマブ(オプジーボ)の投与を受けた患者 の全生存期間は、エベロリムス(アフィニトール)の投与を受けた患者よりも良好である。ニボルマブ投与での生存期間の改善が予想以上に早く明らかになったため、試験は早期に終了となった。

米国では毎年、58,000人以上が腎臓がんと診断される。最も一般的な腎臓がんは、腎細胞がん(RCC)で、腎臓内の非常に細い管(尿細管)の上皮から発生する。進行期腎細胞がん(体内の他の部位に転移したがん)では、分子標的療法が治療の重要な役割を果たす可能性がある。

ニボルマブはPD-1阻害剤と呼ばれる新しい種類の薬剤に属し、免疫系ががんを認識して攻撃する機能を補助するという作用のため、大きな話題を呼んでいる。PD-1はある種の免疫応答を阻害するタンパク質で、PD-1を阻害する免疫療法薬では、がんを攻撃する免疫系の機能を増強する可能性がある。
エベロリムスはmTORとして知られるタンパク質を阻害する作用をもつ経口薬である。mTORタンパク質には、がん細胞分裂および血管増殖の制御において重要な役割を果たしている。エベロリムスは2009年以来、腎臓がん治療に認可されている。

進行性または転移性腎臓がんにおけるニボルマブとエベロリムスを比較する第3相臨床試験は、CheckMate-025と呼ばれている。試験に参加したのは、前治療歴のある腎臓がんの患者であった。研究者らは患者を、ニボルマブ投与群(2週間毎に注射)あるいはエベロリムス投与群(病巣の増大もしくは重篤な副作用が出現するまで毎日内服)に割りつけた。

研究者らは、ニボルマブ投与群の患者は、エベロリムス投与群の患者よりも良好な全生存期間を示すことを見出した。ニボルマブを製造したブリストルマイヤーズスクイブ社では、これらの結果の詳細を発表する予定である。同社はこのほど患者に対して、ニボルマブ投与群では治療の継続を、エベロリムス投与群ではニボルマブに変更する選択を許可している。

参考文献:
CheckMate -025, a Pivotal Phase III Opdivo (nivolumab) Renal Cell Cancer Trial, Stopped Early [press release]. Bristol-Meyers Squib website. Available at: http://news.bms.com/press-release/checkmate-025-pivotal-phase-iii-opdivo-nivolumab-renal-cell-cancer-trial-stopped-early. Accessed July 23, 2015.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 橋本奈美

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性の画像

腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ進行した腎がんの患者にとって、皮下注射投与型ニボルマブ(販売名:オプジーボ)は、本来の静脈内投与の適切な代替方法であることが、臨床試験の初期...
進行腎がんに対する免疫療法薬+グアデシタビン新治療の可能性を示す研究の画像

進行腎がんに対する免疫療法薬+グアデシタビン新治療の可能性を示す研究

オハイオ州立大学総合がんセンター進行淡明型腎細胞がん(ccRCC)の一部の患者に対する2剤併用療法はさらなる研究に値することが、Big Ten Cancer Research Cons...
腎がん術後キイトルーダの延命効果が初めて試験で示されたの画像

腎がん術後キイトルーダの延命効果が初めて試験で示された

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「KEYNOTE-564試験の最新結果は、腎臓がんの術後療法におけるペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)の有効性に焦点を当て...
体幹部定位放射線治療(SBRT)が早期腎臓がんの重要な治療法となる可能性の画像

体幹部定位放射線治療(SBRT)が早期腎臓がんの重要な治療法となる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ一部の腎臓がん患者にとって、体幹部定位放射線治療(SBRT)と呼ばれる治療法は、手術が選択できない場合に非常に有効な治療法と考えられることが...