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HPVワクチンにおける3回未満の接種効果の報告

米国国立がん研究所(NCI)ニュースノート

原文掲載日:2015年6月10日

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関する2つの独立した臨床試験のデータを組み合わせて解析したところ、以前の試験から得られた知見を裏づける結果となった。それは、HPV 16/18 AS04アジュバント添加ワクチン(サーバリックス®)の3回、2回、1回のいずれかの回数で接種を受けた若年女性は、ワクチン接種後の4年間、ワクチンに含まれるHPV型による感染に対して同等に防御された、という結果である。今回の解析用にデータがプールされた2つの臨床試験は、米国国立がん研究所(NCI)助成によるCosta Rica Vaccine Trial(CVT)およびGSKバイオロジカルズ社の助成によるPATRICIA試験(PApilloma TRIal Cervical cancer In young Adults)である。これらの試験では、参加者はHPV 16/18ワクチンの3回接種もしくは対照ワクチン接種にランダムに割り付けられた。ただし、一部の参加者の接種回数は3回に満たなかった。この解析にあたって、最初に試験責任医師らは、接種回数にかかわらず有効性が同等であることを独立して示した。次に、HPV感染の徴候がない最初のワクチン接種時期(したがって、ワクチンの接種推奨年齢範囲内に代表される女子)もしくはそれ以前の女子集団のサブグループにおいてこの知見を確認した。プールされたデータには、接種を2回受けた611人の参加者と接種を1回しか受けていない292人の参加者が含まれる。さらに、6カ月間隔で2回の接種を受けた参加者には、ワクチン製剤に含まれていないHPV型に対して、交差防御と呼ばれる部分的な防御の証拠が認められた。ただし、単回接種の場合と、2回の接種を1カ月間隔で受けた参加者には交差防御の証拠はみられなかった。米国での現行のガイドラインによると、HPVワクチンは6カ月にわたって3回接種する必要がある。試験責任医師らによると、サーバリックスに関するこれらの新しいデータは、防御の獲得に実際に必要な接種回数に関して課題を提起し、単回接種の有効性を直接評価するためのランダム化臨床試験の必要性を示唆する、としている。組成の違いのため、今回の知見が他の2つの承認済みHPVワクチンに当てはまるかどうかは不明である。本試験は、NCIのがん疫学・遺伝学部門のAimée  R.Kreimer医師、GSK Vaccines社のFrank Struyf氏、ニューメキシコ大学健康科学センターのCosette Wheeler氏などによる共同研究であり、2015年6月10日付けのLancet Oncology誌に掲載された。

 

HPV 16型は子宮頸がんの60%以上の原因であり、HPV 18型はそれとは別に15%の原因となっている。残りの25%の子宮頸がんは、HPV 31、33、45型など他の10種類以上の発がん性HPV型が原因である。サーバリックスの単回接種によって、HPV型の16と18に対する完全防御は獲得されるが、他の型に対しては獲得されないと考えられている。専門家によると、交差防御は欠如するけれども、単回接種で世界中の子宮頸がんの患者数を大幅に減少させるのには十分であり、現在、世界の多くの地域でのワクチン接種を困難にしている費用とインフラの問題を克服するのに役立ち得ると期待されている。 また、Kreimer医師は、少ない接種回数による防御の持続期間を臨床試験で判断する必要があると述べている。

原文

翻訳矢次 真実

監修喜多川 亮(産婦人科/NTT東日本関東病院)

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