ハイリスクのウィルムス腫瘍の治癒率が標準療法の強化によって向上(ASCO2015)/米国臨床腫瘍学会(ASCO) | 海外がん医療情報リファレンス

ハイリスクのウィルムス腫瘍の治癒率が標準療法の強化によって向上(ASCO2015)/米国臨床腫瘍学会(ASCO)

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ハイリスクのウィルムス腫瘍の治癒率が標準療法の強化によって向上(ASCO2015)/米国臨床腫瘍学会(ASCO)

米国臨床腫瘍学会(ASCO) プレスリリース

 

ASCOの見解
ASCO次期会長Julie M. Vose医師(経営学修士、米国臨床腫瘍学会フェロー(Fellow of the American Society of Clinical Oncology:FASCO))
「私達は、稀でハイリスク型のウィルムス腫瘍を有する子供の治療においても進歩を遂げており、大変心強く思います。予後が悪い少数の患者グループを簡単に同定できるということは、低リスク患者にとっては副作用の減少、ハイリスク患者にとっては彼らに合った適切な治療を受けられる、ということを意味します。彼らががんを克服する可能性が高くなるということです」。

 

米国小児がんグループ(Children’s Oncology Group)による2つの第3相試験において、薬剤を追加した強化化学療法により、ハイリスク型のウィルムス腫瘍を有する小児の転帰が改善したことがわかった。ハイリスク型ウィルムス腫瘍の小児患者には、予後不良に関連する特定の染色体異常がみられる。過去の研究において、このような患者の4年無再発生存率は、ステージI/IIで74.9%、ステージIII/IVで65.9%であった。今回の新たな試験では、強化化学療法により、4年無再発生存率がステージI/IIで83.9%、ステージIII/IVで91.5%と増加した。

 

「患者それぞれの再発リスクに合わせたテーラーメイド治療は、小児腫瘍学の主な焦点となっています。再発リスクが低い腫瘍には治療を減らし、毒剤となり得る薬剤への曝露が最小限になるようわれわれは努力してきました。一方、再発リスクが高い患者さんには治癒の可能性が増えるように、治療を強化したいのです」と、主著者であり、カナダ、バンクーバーBritish Columbia Children’s HospitalのDavid B. Dix医師は述べる。「この研究は、ハイリスクの患者さんに対する強化化学療法の成功例です。強化化学療法によって、ウィルムス腫瘍の子供にみられる生物学的予後不良マーカーによる影響を克服できることがわかり、非常に励みになりました」。

 

ウィルムス腫瘍は腎腫瘍の稀な型で、主に5歳以下の子供にみられる。毎年北米では、新たに約500人がウィルムス腫瘍と診断されている。この試験では、小児腎腫瘍の中で75%を占める、いわゆる予後良好組織型のウィルムス腫瘍(favorable histology:FH)を有する小児を対象とした。このうち約5~6%は、染色体1pおよび16qにヘテロ接合性の喪失(loss of heterozygosity:LOH)として知られる染色体異常がみられる。過去に研究者らは、染色体1pおよび16qにLOHがある患者は再発リスクが高いということを発見していた。

 

今回の試験では、ステージI/IIでは35人、ステージIII/IVでは52人の患者に、1pおよび16qのLOHが検出された。ステージI/IIの患者には、標準療法(ビンクリスチン/ダクチノマイシンによる化学療法)にドキソルビシンを追加し、強化した。ステージIII/IVの患者には、レジメンM、すなわち標準療法(ビンクリスチン/ダクチノマイシン/ドキソルビシンおよび放射線治療)に、シクロホスファミドとエトポシドを外来投与で4サイクルを追加した強化療法をおこなった。

 

追跡期間中央値3.6年での4年無再発生存率は、ステージI/IIで83.9%、ステージIII/IVで91.5%であった。この無再発生存率を、標準治療レジメンの転帰(初期ステージで75%、後期ステージで66%)と比較すると、これらの試験は、強化化学療法が顕著に進行がんの転帰を改善することを示している。試験サンプルが少数であったことから、ステージが低い患者に対する効果は後期ステージの患者に対する効果ほど明確ではないが、転帰改善を示唆するものである。

 

全体にわたり、治療は忍容性が高かった。ステージI/IIの患者において、強化療法は、いかなる有意な短期間の副作用増加とも関連がなかった。ステージIII/IVの患者において、レジメンMで最も多かった重症な副作用は骨髄機能の抑制で60%の患者にみられたが、これは管理可能な程度であった。著者らによると、レジメンMによって、非常に強い再発治療を受けなければならない患者数は、大幅に減るという。しかしこのレジメンは一定の不妊リスクとの関連性が予測されている。著者らは、LOHのあるハイリスクの患者に対して、強化療法におけるリスクと利益について、家族としっかりと議論することを推奨している。

 

染色体1pおよび16qのLOHの検査は、オハイオ州コロンバスのNationwide Children’s Hospital米国小児がんグループ生物病理学センター、および、北米の他の数施設にて可能である。

 

この試験は米国国立衛生研究所(NIH)より資金援助を受けた。

 

本試験の抄録の閲覧(英語)

 

参考情報

 

原文掲載日

翻訳平沢 沙枝

監修寺島 慶太(小児血液・神経腫瘍/国立成育医療研究センター腫瘍科)

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