経口ビタミン剤の服用だけで、よく認められる非黒色腫性皮膚がんの発生リスクが低下(ASCO2015)/米国臨床腫瘍学会(ASCO) | 海外がん医療情報リファレンス

経口ビタミン剤の服用だけで、よく認められる非黒色腫性皮膚がんの発生リスクが低下(ASCO2015)/米国臨床腫瘍学会(ASCO)

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経口ビタミン剤の服用だけで、よく認められる非黒色腫性皮膚がんの発生リスクが低下(ASCO2015)/米国臨床腫瘍学会(ASCO)

米国臨床腫瘍学会(ASCO) プレスリリース

 

ASCOの見解
ASCO会長、米国内科学会名誉上級会員(Fellow of American College of Physicians:FACP)、米国臨床腫瘍学会フェロー(Fellow of the American Society of Clinical Oncology:FASCO)、Peter Paul Yu医師

「がんの予防法はどれも歓迎されるニュースです。今回の試験により、われわれは、最もよく認められるある種の皮膚がんについて繰り返し診断せずに済む、きわめて簡便で安価な方法を手にしました。日焼け防止と皮膚がんの定期検査を行うとともに、経口ビタミン剤を毎日服用するだけで、このタイプの皮膚がんを発生しやすい高リスク者は優れた予防計画を手にすることになります」。

 

オーストラリアで実施されたONTRAC試験の結果から、皮膚がんの高リスク者において、ニコチンアミドと呼ばれるビタミンB3製剤は皮膚がんの新規発生率を有意に低下させることが示されている。すなわち、ニコチンアミドを1日2回服用することで、非黒色腫(非メラノーマ)性皮膚がんの新規発生率が23%低下した。
ニコチンアミドは安全、安価で、ほとんどの国で一般用医薬品として販売されている。今回の知見から、皮膚がん(世界的に肌の色の薄い人に最もよく認められるがん)による健康負担や経済的損失を低減できるかもしれない。

 

「今回の結果は、有効な日焼け防止を行うとともにビタミンを服用するだけで皮膚がんが減ることを示した、最初の明確なエビデンスです。われわれは、これらの知見が実地臨床に迅速に導入されるよう期待します」、と本試験の上席著者でシドニー大学皮膚科学教授のDiona Damian医学博士(MBBS)は述べた。「ただし、それでも皮膚がんの高リスク者は医師の診察を定期的に受ける必要があります」。

 

非黒色腫性皮膚がんの主な原因は日光への曝露である。日焼け防止を促進するキャンペーンが活発に行われているにもかかわらず、世界的に皮膚がんは増え続けている。米国では、年間で約500万人が非黒色腫性皮膚がんの治療を受け[1]、オーストラリアでは、国民の半数以上が一生のうちに非黒色腫性皮膚がんに罹患する[2]。

 

本試験では、過去5年間に非黒色腫性皮膚がんを2個以上有して高リスクと判定された患者386人を対象として、ニコチンアミドまたはプラセボを無作為に割り付けて12カ月間毎日投与した。試験集団は、皮膚がん専門クリニックで通常みられる多様な患者を反映するものであった。平均年齢は66歳で、患者の2/3は男性であった(皮膚がんは男性に多くみられる)。多くの患者は、心疾患、関節炎、高血圧、慢性肺疾患などの医学的な問題を伴っていた。

 

ニコチンアミド群における非黒色腫性皮膚がんの新規診断率は、プラセボ群と比較して、23%低かった。ニコチンアミド群における日光角化症(皮膚の肥厚鱗状斑でがん化の可能性あり)の発生件数は、プラセボ群と比較して、投与3カ月時点で11%低く、投与9カ月時点で20%低かった。別のビタミンB3製剤であるニコチン酸は頭痛や潮紅、低血圧といった副作用を引き起こすことが知られている。一方、ニコチンアミドはこのような副作用を引き起こさず、本試験において重篤な副作用と関連しなかった。

 

非黒色腫性皮膚がんで最もよく認められるタイプは、基底細胞がん(BCC)と扁平上皮がん(SCC)である。SCCはリンパ節や内臓に転移することがある。BCCはほとんど転移しないが、顔に好発するため美容上の問題を引き起こすことがある。ニコチンアミドによるBCCとSCCの予防効果は同程度であった。

 

日光からの紫外線は、DNA損傷と皮膚免疫抑制(皮膚の免疫系は、異常細胞ががん化する前に、これらの細胞を除去する)の2つの主要経路を介し、皮膚がんを引き起こす。今回の試験は、ニコチンアミドが日光により損傷された皮膚細胞DNAの修復を促進し、さらに紫外線から皮膚免疫系を防御することが示された、ここ十年間に実施された非臨床試験と早期臨床試験の結果に基づいている。

 

DNAの修復はエネルギーを消費するプロセスである。紫外線は、皮膚細胞のエネルギー産生を強く抑制する。細胞内でニコチンアミドはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドと呼ばれる分子に変換される。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは細胞のエネルギー産生に必須の分子である。ニコチンアミドは日光曝露後の細胞エネルギーの補充を助け、DNA損傷の修復や免疫抑制の阻止に必要なエネルギーを細胞に与えると考えられている。

 

生涯にわたり免疫抑制薬を使用し続けなければならない臓器移植患者などの免疫抑制者において、ニコチンアミドが皮膚がんの発生を抑制できるかを検討するために、他にも試験が計画されている。免疫抑制者における皮膚がんの発生率は、免疫正常者と比較して50倍近く高い[3]。

 

本試験はオーストラリアのNational Health and Medical Research Council(HMRC)から資金提供を受けている。

 

本試験の抄録の閲覧(英語)

 

参考情報

 

1. Guy GP, Machlin SR, Ekwueme DU, Yabroff KR. Prevalence and costs of skin cancer treatment in the U.S., 2002-2006 and 2007-2011. Am J Prev Med 2015; 48:183-7.
2. Fransen M, Karahalios A, Sharma N, English DR, Giles GG, Sinclair RD. Non-melanoma skin cancer in Australia. Med J Aust 2012;197:565-8.
3. Moloney FJ, Comber H, O’Lorcain P, O’Kelly P, Conlon PJ, Murphy GM. A population-based study of skin cancer incidence and prevalence in renal transplant recipients. Br J Dermatol 2006;154:498-504.

 

原文掲載日

翻訳永瀬 祐子

監修東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)

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